70mmフィルム 思い出の大画面映画大集合!シネラマ巨大スクリーン vs 映画技術者 苦闘と工夫』についてのお話しから1年が経過しました。 そして、今回はその第2弾として35mmネガをブローアップした70mmフィルムのヒット作品についてのお話しです。第1弾でもブローアップ70mm映画には触れていますので、今回はその続編となります。 
00-Blow-up 70mm Movies
35mmフィルムの画質向上が進んだとはいえ、サウンドトラックがデジタル化される前は、70mmフィルムが大変高価だったにもかかわらず、70mmフィルムの6トラック立体音響の圧倒的な迫力は、映画会社にとっては勿論、観客にとっても魅力だったのでしょう。
以下、 デジタル音響が使えた『タイタニック』を除けば、35mm磁気録音や光学式ドルビーステレオ等のマトリックス方式のアナログ音響時代、大スクリーンへのスペクタクル映画の上映にブローアップ70mm磁気録音のディスクリート方式が大活躍することになりました。
これらの映画を70mm劇場でご覧になった方は、大迫力の音響も思い出してみましょう。
(これらはブローアップ70mm作品のごく一部です。また、日本での上映に限りませんのでご承知下さい。) 
          
ダイ・ハード Die Hard1988年 主演 ブルース・ウィリス (Bruce Willis)   
01-ダイ・ハード Die Hard (1988)
ジョン・マクティアナン監督(John McTiernan) の作品には、本作と『ダイ・ハード3』『プレデターレッド・オクトーバーを追え!』(The Hunt for Red October) ラスト・アクション・ヒーロー』(Last Action Hero)等がありますが、 私は本作とレッド・オクトーバーを追え!がお気に入りです。(画像は1回クリックで全体、 2回目のクリックが標準大・・・是非標準画像をどうぞ。)

さて、 ブルース・ウィリスと言えば、『ダイ・ハード・・・』や『アルマゲドン』(Armageddon)を思い出す人も多いかも知れませんね。確かにその通りですが『こちらブルームーン探偵社』(Moonlighting : TV Series)ブラインド・デート』(Blind Date) でのコミカルな彼も同時に思い出しませんか? そんな面を見て来た私は、バットマンに触れた号で掲載したマイケル・キートンに通じるものを感じます。
トリヴィア】
このダイ・ハードは元々 アーノルド・シュワルツェネッガーの『コマンドー』の続編と考えられていました。
しかし、 テロリストが娘役のアリッサ・ミラノをそう度々誘拐することは出来ないことから、ブルース・ウィリスが引き継いだということです。(笑)

この映画の最初のポスターにはブルースの顔はありませんでした。  当時、コメディタッチのTV俳優と認知されていたため、彼のイメージが興行の成功を妨げることを心配した映画会社が、敢えて載せなかったのです。
 ・ハンス役のアラン・リックマンは舞台俳優でした。シェークスピアの俳優が普段しないことのひとつが機関銃を撃つことです。 そして、 マクティアナン監督は、 彼が銃を撃つたびに画面を
彼の顔から他の画面に切り替えました。 その訳は、尻込みする発砲シーンでのリックマンが、まばたきばかりしていたからです。 たとえ、監督から要求されても、 よほど銃撃戦に慣れた俳優でない限り発砲の瞬間のまばたきは、 止められないかも知れません。(笑) 
 
ハンスの手下カール役アレクサンダー・ゴドゥノフは、1979年にソ連から米国に亡命したボリショイ・バレエ団の花形ダンサーでした。👈   なお、 この映画の3年前「刑事ジョン・ブック 目撃者」では善良なアーミッシュのダニエル・ホッフライトナー役で、ハリソン・フォードやトップガンのケリー・マクギリスと共演しました。
また、 彼は45歳で死亡・・・ ソ連からの亡命者だったためかいろんな憶測が飛びました。 検視では外傷もなく、 体内からアルコールや薬物が検出されなかったため自然死に。  ところが、 その後死因は、 慢性? 急性?のアルコール中毒による肝炎という話も ・・・ それにしても、死因が不明?怖い話ですね。

01.1-Alexander Godunov 01
ところで、ダイ・ハードでのアクション・シーンの多くをブルース自身がこなしました。その一部が上の写真にもあります。 また、 印象的なシーンとしてコンピュータ・ルームの間仕切りガラスがテロリストの銃撃で粉々に散らばったフロアを裸足のマクレーンが走り抜ける場面があります。本物のガラスの破片かどうかはともかく、痛そうなシーンですね。でも、この時のマクレーンは素足ではなく、素足に見えるゴム製の履物をはいていました。マクレーンが裸足だと知ったテロリストのボス、 ハンスの「ガラスを撃て」との指示、その後の足の裏に刺さったガラスの破片を取り除くマクレーンのシーンから一層痛そうに感じさせることに成功しました。 見た目にもハードですが、 ハードと言えば、 この時期のブルース・ウィリスは前述TVシリーズ『こちらブルームーン探偵社』との掛け持ち! 昼間は探偵を演じ、 夜にはダイ・ハードのマクレーン役・・・ブルースは文字通りダイ・ハードでした。
(注:上記で悪人たちをテロリストと言ったのは、彼らが強盗団だと判明するまでそう思わせていたからです。)

ダイ・ハード 2 Die Hard 2 】①(1990)ブルース・ウィリス (Bruce Willis) 
02-ダイ・ハード2 Die Hard 2 - 01
お次も、ブルース・ウィリス扮するニューヨーク市警の刑事ジョン・マクレーンが活躍するダイ・ハードの第2弾です。舞台はクリスマスを迎えて混雑する空港。おっと、このブログではストーリーに触れないようにしていました。  その代わり映画ファンの私ですから、 特撮の苦労などもトリヴィアとしてご紹介したいと思います。 
 

ダイ・ハード2ではいくつもの航空機が登場します。 そして、 それらのシーンの多くで巨大な模型が使われました。 さらに実機を参考にしながら、 架空の軍用機の模型も製作されました。 これら模型の製作から視覚効果 (VFX)、 特殊効果 (SFX) などを引き受けたのが、 ジョージ・ルーカスが作ったI.L.M (Industrial Light & Magic)です。  その仕事の一部を下に掲載します。 どのシーンが実物だとか模型だなんてほとんど分かりません。 すぐにバレるような特撮は映画全体を台無しにすることもあり、模型づくりやCGをはじめとする特撮担当の技術者たちも真剣そのものです。 勿論、 常識的・物理的にあり得ないシーンは当然ながら作り物ですが、 観客の錯覚も利用して いかにも現実と感じさせる映像づくりは、まさに映像技術者の腕の見せどころとなります。
I.L.M作品例 :『スターウォーズ series』『スタートレック series』『E.T.』『インディ・ジョーンズ series』『アビス』『バック・トゥ・ザ・フューチャー series』『ターミネーター series』『ジュラシック・パーク series』『ハリー・ポッター series』『タイタニック』等々・・・・ その他の会社等の作品例 :『2001年 宇宙の旅』『スーパーマン』『未知との遭遇』『ブレードランナー』等
 
なお、
以前、『私の目指した音づくり②映画から学ぶこと』で、 マットぺインターの上杉裕世氏にも触れていますので、どうぞお立ち寄り下さい。
03-ダイ・ハード2 Die Hard 2 特撮について
模型作りは、航空機だけではありません。テロリストたちに爆破される工事中の空港ビルも作りました。また、小道具としての武器については、モデルガンの使用でも映画専門の武器コーディネーターが事故防止のため、 指導に当たっているようです。 ダイ・ハード・シリーズにはマイケル・パパックが付きました。武器といっても幅が広く、 銃器・ナイフ・剣・弓矢などがあり、これらの使用での出演者やスタッフへの安全確保が彼の重要な仕事となります。 武器に関する高度な知識は勿論、俳優に適した武器の選定をすることもあります。
マイケル・パパックの実績:「ダイ・ハード・シリーズ」「コン・エア」「マン・オブ・スティール」「プレデター」「リーサル・ウェポン」「ラスト・ボースカウト」 「アイアンマン」「スリー・キングス」「戦火の勇気」「8月のメモワール」「クリムゾン・タイド」等々。
ブルース・ウィリスがダイ・ハード2で使用するイタリア製Beretta 92FSは、 銃の両側に安全装置があり、マガジン(弾倉)キャッチも左右どちらにも変えられることから、左利き用に設定したことでマクレーン刑事の銃さばきを一層スムーズにしています。弾切れ時の素早いマガジン交換でもそれが分かります。なお、この銃は「リーサル・ウェポン」の劇中、メル・ギブソンが使用したものを左利き用に直して使いました。 
・工事中の空港建物での銃撃戦、さすがのウィリスもリックマン同様に発砲時には本能的にまばたきして目を保護します。また、長テーブルの上からテロリストが機関銃でマクレーンを撃つ直前の反撃の連射で、ウィリスは左耳の聴力に大きなダメージを負うことになりました。 強烈な銃声の連続  ・・・ クローズアップのためか ・・・ 彼は耳栓をしていませんでした。  これに近い状況ってオーケストラの管楽器群の真ん前の演奏者へのダメージ  ・・・唇の振動なのに『ホーン』によって相当の音圧になりますからね。しかも耳栓なしで! 
 

ところで、飛行シーンで「模型」を使ったなどと古臭い表現を使いましたが、 あまりに巨大な模型飛行機(全長6~7m、 重量が数100キロ)をミニチュアというのは、どうもしっくり来ないからです。しかも、吊り上げるのに大型クレーンが必要だなんて、 もはやミニチュアのレベルを超えています。(笑) それに、大型模型とか実物大模型(時には実物より大きな場合も・・・)はあるとしても、 大型ミニチュアとかほぼ実物大ミニチュア・・・元々小さいのがミニ! 巨大なミニなんて・・・やっぱり変ですからね?😊 (ちょっと脱線しました。) 
 

【バック・トゥ・ザ・フューチャー Back to the Future(1985・1989・1990)
04-Back to The Future 1,2,3
スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮に名を連ねたロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、皆さんもご存じですね。ここでも見事な特殊効果等は I.L.M の技術者集団が当たっています。そして、第1作目のサントラ盤、最初に入っているのが、その後全米でNo.1となった『♫ パワー・オブ・ラブ』歌っているのがヒューイ・ルイスです。  彼は、 本編にもマーティが通う高校のダンスパーティで演奏するバンドのオーディションの審査員としてカメオ出演しています。 
 

その後『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(1989年)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990年)に続きます。 時空を超えてのSF冒険の傑作で、 SFファンタジーの傑作が『E.T.』そして、ある日どこかで』"Somewhere in Time"だと思います。  
 
【E.T.  The Extra-Terrestrial 】(1982)
05-E.T. the Extra-Terrestrial (1982)
スティーヴン・スピルバーグ監督のE.T.』は 以前ドリュー・バリモアの号 (5月6日)で、 少し触れています。 ちょっとだけ寄り道してはいかがですか?(上のをクリック)
なお、 右端はロンドンでのE.T.の試写会で、ダイアナ王妃にE.T.の人形をプレゼントするスピルバーグ監督たちです。スピルバーグ監督のブローアップ70mm作品『未知との遭遇』『インディ・ジョーンズ・シリーズ』等も、近々登場予定です。楽しみにしていて下さい。 

 
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【タイタニック Titanic
(1997)  主演 レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
06-タイタニック Titanic (1997)
ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』、 みんなが知っている大ヒット映画ですね。 従って、ここでは皆さんがご存じでなさそうな?トリヴィアを中心に進めていきます。  
 

悲劇の豪華客船タイタニックのことは皆が知っていることでしたから、逆にこの映画公開時には、事実と異なる描き方を含めていろんな苦労がありました。一般的に、映画では部分的であっても史実に沿った描写がリアルであればある程、フィクション部分の描写は手を抜けません。デジタル処理が可能になると、不都合な点などの画像修正は容易になりましたが、この映画では、 事実に反した描写で実在した人物の名誉を棄損することも・・・。こんなことは、事実を知った第三者にも不快なことですから十分な配慮が必要でした。 当然、 映画会社とキャメロン監督は遺族に謝罪しました。
   (この件の詳細には触れないでおきます。興味をお持ちの方、ネット検索で見つかります。) 
   
それにしても、この映画は非常に長編 (194分)です。 その理由のひとつは、1912年を表現したシーンの2時間40分は、タイタニックが氷山に衝突してから沈没するまでの実際の時間で、これに現在のシーンやオープニングとエンドクレジットが加わって、こんなに長くなったというのです。(それって、 フレッド・ジンネマン監督、 ゲイリー・クーパーとグレース・ケリーの『真昼の決闘』(1952年 上映時間85分) の実況中継的な進行を連想させます。上映時間は半分以下ですが。)
 

【映画タイタニックの製作費は、本物の旅客船タイタニックの建造費よりも高かった!】
07-タイタニック Titanic (1997)
映画の製作開始の頃、 サウサンプトン港に係留されたタイタニック号の写真が見当たらなかったこともあって、右舷側だけの外装セットを完成させました。ところが、 やっと見つかった当時の写真から1912年の係留が逆方向だったと分かったのです。 もはや巨大で高額なセットを造り直すことは不可能な時期でした。 そこで、 キャメロン監督は、写り込む文字をはじめボタンの掛け合わせにもこだわった左右反転の衣装を皆に着せて、撮影したネガを裏焼きすることで乗船のーンを完成させました。大きなセットに描かれた逆さ文字を見たケイト・ウィンスレットが大笑いしたなんてこともあったようです。 (ケイトの頬にあるほくろがシーンによって反対側に移動したり、出航するタイタニック号から手を振る乗客には異常なほど多くの左利きがいるように見えたのは・・・私だけ?) 
  
この長編映画の製作費は当時に換算すると本物のタイタニック号の建造費を超えていたそうです。どんどん増える製作費を賄うためキャメロン監督は私財を投入しました。   
『タイタニック』は20世紀に撮影
された最も高価な映画で予算は2億ドルでした。 その後、 製作費は2億8600万ドル(1ドル100円換算で286億円)に
膨れ上がり、この額は今世紀になって2007年に公開のジョニー・デップ主演『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(シリーズ第3弾)の332億円に抜かれるまでの最高額でした。そのため、資金面で大変苦戦していた20世フォックスは、パラマウント映画に北米の配給権を渡すことで資金を確保し、予定より遅れながらも映画の公開にこぎつけました。そして、 映画の大ヒットによりキャメロン監督をはじめ両映画会社が十分な利益を上げたのは、 ご想像の通りです。
08-タイタニック Titanic (1997)
以下・・・興味のない人字が小さ過ぎて読めないっ!方は・・・写真意外の素通りは可!です。(笑) 
・ジャック・スパロウ役で人気を博したジョニー・デップは、それ以前のタイタニックでジャック・ドーソン(Jack Dawson)の役を打診されましたが、断わっていたのです。ディカプリオのジャックが大当たりしたこともあり、それは後に大きな後悔となりました。 彼の他にこの役の候補に上がったのは、
 マシュー・マコノヒー、 クリスチャン・ベール、 リヴァー・フェニックス(死亡)、 ジャレッド・レト、 クリス・オドネル、 トム・クルーズ、 イーサン・ホーク、 ブラッド・ピットたちでした。
一方、ローズ役の候補としては、ジェニファー・アニストン、ロザンナ・アークエット、ドリュー・バリモア、ネーヴ・キャンベル、ジェニファー・コネリー、クレア・デインズ、ジーナ・デイビス、キャメロン・ディアス、ミニー・ドライバー、ジョディ・フォスター、アンジェリーナ・ジョリー、 ミラ・ジョヴォヴィッチ、 ニコール・キッドマン、 マドンナ、 ソフィー・マルソー、グウィネス・パルトロウ、クリスティーナ・リッチ、 ウィノナ・ライダー、 シャロン・ストーン、 シャーリーズ・セロン、 ユマ・サーマン、リース・ウィザースプーン
たちが上がっていました。(候補者の中から取り敢えず、 私が知っている名の俳優を上げてみました。 クリックをどうぞ👈) 
09-タイタニック Titanic (1997)
・当時から営業するカーペットメーカーは、映画のために18,000平方フィート(1,672平米:約500坪)のカーペットの再現を依頼されました。カーペット裏のタグは写らないのに・・・キャメロン監督のこだわり半端ない!
・この映画には100以上の会話のシーンに1,000人を超えるエキストラが動員されました。しかも、その全員が当時の雰囲気を感じさせる贅沢な衣装を着る必要がありました。
・主要な150組ものエキストラは、 彼らの服装に相応しい1912年当時のマナーを身につけるため、 エチケット・コーチで
映画振付師でもあるリン・ホックニー(
Lynne Hockney)から
3時間の研修を受けました。
レオナルド・ディカプリオ扮するジャック・ドーソンは、タイタニックが沈む時の最後の人々のひとりと同様、出航前の乗船する最後の乗客たちのひとりとして描かれました。
ケイト・ウィンスレットは、 長く海水につかっているシーンでもウェットスーツを着ることを拒んだ数少ない俳優の一人でした。 その結果、 彼女は低体温症を患い役を降りようとしました。  勿論、キャメロン監督彼女にとどまるよう説得しました。そうでなければ、ローズ役は他の女優に変わっていた筈ですから・・・ね。
海水が激流のように流れ込むシーンでは、
スタントマンの安全のためほとんどの小道具は発泡ゴム製でした。
10-タイタニック Titanic (1997)
・映画を見た天体物理学者ニール・ドグラース・タイソン(Neil deGrasse Tyson: ニューヨークのヘイデン・プラネタリウム館長)から『タイタニックが沈没した深夜、 冷たい海にいるローズの背景の星空が間違っている』と再三の指摘を受けたキャメロン監督は、タイソン博士に当時の星空が実際にどう見えたのか写真提供を依頼しました。 そして、再リリースでのその背景はタイソン博士が計算して作った星空に修正されました。(この映画の描写が微細な点にもこだわったことから生じた、思いがけない天文学者からの指摘でした。)
・アカデミー賞は、 作品賞、 監督賞、 撮影賞、 編集賞、 衣裳デザイン賞、 視覚効果賞、 音響効果賞、 音響賞、 美術賞、 主題歌賞、 作曲賞の11部門で受賞、これは現在も『ベン・ハー』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』に並ぶ最多受賞映画です。ジェームズ・ホーナー作曲の主題歌 My Heart Will Go Onセリーヌ・ディオンそして、 カミエル・レンメンスのホルン演奏をフィーチャーしたオーケストラ版でどうぞ 
 
・エンド・クレジットには "Filmed in Panavision"とあり、『タイタニック』の撮影にPanavisionを使ったことになります。通常この表示はアナモフィック・レンズを装着したパナビジョンカメラで撮影された場合に使われるようですが、この映画は
球面レンズ(
spherical lens)使用のスーパー35でした。撮影自体、 Panavisionカメラ(Panavision Panaflex Gold II, Panavision Panaflex Platinum : Panavision Primo Lensesで撮られたので、この表示はこれでもいいのでしょう。 

 
 とは言え、『スーパー35』の規格を言葉で説明するのは困難なため、 サンプルを作ってみました。 
11-Film Format 35-70mm
    補足【
 C列・(a)=SDDS soundtrack, (b)=Dolby Digital, (c)=Analog soundtrack, (d)=DTS Time-code 】
『スーパー35 (Super 35)』・・・ひとことで言えば・・・サイレント映画時代のフォーマットです。(笑)
A①が標準的ネガを示しています。両側のパーフォレーション(コマ送り用のミシン目風の穴)に挟まれた部分を目いっぱい使い、 4個のパーフォレーションで1コマになります。 サウンドトラック部分も映像用に使用します。
  注:スーパー35はネガとしてのみ使用しますが、説明用に敢えてポジに変換したのがB列です。
C列は上映用のプリント例で、C①は昔の映画の標準アスペクト比で、 かつてのブラウン管テレビに対応します。
D列はスーパー35を3個のパーフォレーションでひとコマとする手法です。フィルムを25%節約出来、カメラの駆動音も静かで、そのままでも現在の液晶テレビやビスタサイズのアスペクト比に近く、使い勝手が良かったのでしょう。右端は「リンカーン」を撮影中のスティーヴン・スピルバーグ、4Kデジタルとフィルム版はスーパー35の1コマ3パーフォレーション(上図のD方式)でした。 そして、 どちらもデジタル音響が使えました。
Eは70mmにブローアップしたイメージです。 茶色部分は磁気式サウントトラックですが、 デジタル・サウンドが普及したため、35mmで70mm以上の音質が得られるようになり、 それが70mm映画終焉の始まりでした。
(簡単な説明を組写真にも記載しましたので、興味のある方は上の写真をクリックしてご覧下さい。)

なお、ジェームズ・キャメロン監督はこの"スーパー35"を1コマ当たり通常の4パーフォレーションで撮影したようです。フィルムを節約することの出来る3パーフォレーションを敢えて使わなかったのは、VHSビデオでの販売を視野に入れると当時のテレビのアスペクト比(4:3)に合わせる方が都合がよかったのです。そのため、スコープサイズの映画館で見る画面よりビデオの方が上下に多くの映像が見えることになりますね。(笑)
 【 但し、海中シーンの撮影だけはテクニスコープ "Techniscope"で撮られました。】  
(Panavision Cameraカタログからの基本機能についてのコメント)
Panavision offers a wide variety of ground glasses for the Platinum in virtually every format (anamorphic or spherical), including Super 35. The Platinum is available in, 2-perf, 3-Perf®, or 4-perf configurations to enable significant savings in film costs without compromising image quality. 
 
今回は、ブローアップ70mm映画の5作品についてのお話しでした。次号でも第3弾として『未知との遭遇』『インディ・ジョーンズ・シリーズ』『トップガン』『地獄の黙示録』などを予定しています。
映画ファンの皆さん、トリヴィアでの新たな情報に興味のある方、お待ちしています。
最後までお付き合い下さり有難うございました。  
 

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