【Altec A7-500-8を聴く環境づくり】 オーディオ編 =お約束の低音再生のまとめ=
≪趣味としてのオーディオ・・・初めてこのブログをお訪ね下さった方のために、これまでの音づくり苦労話のダイジェストを兼ねて、Altec A7-500-8での豊かな低音再生への挑戦についてお話しします。愛犬家の皆さんは、退屈しのぎにボルゾイのレオンやそのお友だちの写真でお楽しみ下さい。(*^。^*) ≫ と言いながら写真が少ないのではって? 少しずつUPしていきますので・・・。
【アルテックA7-500-8・・・その姿を隠すと、ますます魅力的なスピーカーに変身!】
レースのカーテンでわざわざスピーカーを隠した理由が、聴く人の先入観や偏見をなくし、聞こえて来る音だけで音楽を楽しんでもらうことを目指したことはお話ししました。
そして、『心地よい音づくり』には、基礎的なオーディオとしての再生は勿論、錯視や錯聴も積極的に利用しました。レースのカーテンも錯視による作戦のひとつです。
また、訳の分からないことを言ってる!と思われるかも知れませんね。
例えば、 目の前に大きく無機質な機械としての音響装置(ここではスピーカーのことを指します。) があれば、多くの人は聞こえて来る音楽より『音』に注目することでしょう。
一方、映画やテレビのように映像がある場合は、映像の方に意識が集まり、音質への意識が薄れます。裏返せば、映像がメインとなる場合、音響面に多少の不満があっても許容されてしまうのでしょう。これも、脳の働きが関係するのかも知れません。
映画やテレビを含め多くの演奏シーンを見て来て感じたことがあります。音楽にとってノイズともなる人々の会話が聞こえるクラブでのピアノ演奏、歓声の中を行進する軍楽隊、熱気あふれるライブ・・・どれも音楽鑑賞としては不利な状況です。 でも、 映像があればあまり問題を感じさせません。音楽を聴くのが主目的なのに、生演奏のコンサート会場で目をつぶって聴く人って、それほど多いとは思えませんよね?
ところが、映像なしで音楽を聴く人の中には、じーっと目をつぶって聴く人が意外と多いのでは、と思います。その人が『音楽』を聴いているのか、『再生音』を検証しているのかは定かではありませんが、いずれにしても視覚が邪魔になるからなのでしょう。
そうであれば、いっそのことカーテンで視覚を遮って、機器への偏見や思い込みがなく音楽(音質の検証も含めて)に集中しやすくしようと考えた訳です。(勿論、自分を含めて)これは、"A7-500-8"の再生音やこの部屋で聴く音場が、心地よく豊かに感じられることへの自信!・・・自己満足?・・・こちらもまた定かではありませんが・・・ (^_^;)
それでは、これまでブログでお話しして来た"Altec A7-500-8"(SRスピーカー全般に言えることかも)の弱点を、音楽ソフトのデジタル化のお陰で克服し、家庭でしっかり楽しむことが出来た私の方法などをお話しします。まずは、オーディオ趣味の経緯から・・・。
【アナログ時代の音楽鑑賞・・・かつての苦労と工夫】
レコード盤、オープンテープ、カセットテープ、そしてFM放送の再生しか選択肢がなかったアナログ時代、私なり勉強して、 録音・再生には各種の興味深い機器を使い(このブログでも、その概要をお話ししました。)自分にとって心地よい音楽再生に努めて来ました。
(写真のテープ類のソースは、レコード盤とFMエアチェックが主です。FM放送から音楽テープにまとめる方法・・・アナログ時代はS-VHS(VHSも同様)デッキのHi-Fi音声に丸録り(FMですから映像はなし)したものからダビングしていました。
PCオーディオに変わってからは、音楽編集ソフトでパソコンに丸録りしていることは、以前お話ししましたね。そして、その中から気に入った曲をピックアップして残すという方法です。)
dbx社の各種機器、これは良い意味で強烈でした。 当時、私のオーディオ趣味に不可欠のテープデッキでの録音再生・・・テープのヒスノイズが全く消えてしまうのですから。
カセットテープのDolby Bも画期的な技術でしたが、オープンデッキにもカセットデッキにも使えるdbx-Noise Reduction System 224はそれ以上のものでした。
消えるという表現は誤解を生みますので概略を説明をします。dbx 224の機能のポイントは録音時にダイナミックレンジを2分の1に圧縮、再生時にダイナミックレンジを2倍にすることで、小さな音量(テープヒスを含め)をさらに小さく押し下げるという働きを電気的にするものです。当然、録音と再生時の両方でdbxを使用することが条件となります。
但し、ピアノ・ソロのように、音の有無が明確な場合、ブリージング・ノイズが出ることもありましたが、それ以上の効果を優先した訳です。
※ブリージング・ノイズ:例えば、ハンマーが弦を叩いた音を減衰 (ノイズも低減) の過程から元のレベルに伸長させる際、テープヒスや低レベルの連続したノイズも伸長されるため、僅かながらもあたかも呼吸するように聞こえる現象です。 It's a very effective function for magnetic tape sound reproduction.
また、FMエアチェックでは、LP等の音源は放送法等の規制で周波数特性やダイナミックレンジが下がってしまうことがあります。そんな時には、別のdbx (以前、このブログで登場した‟dbx 3Band Dynamic Range Expander”)は再生時にダイナミックレンジを自然な雰囲気のままで拡大してくれます。 その働きは、前述のテープヒス等に対するノイズリダクション (NR) の役割の一部も期待出来ました。上の写真にカセットのNRがDolby-Bに戻った訳もあります。
(勿論、ほとんどのカッセトデッキと互換性があることも理由のひとつですね。)
しかし、こういった優れた機器の活躍も、音楽ソフトのデジタル化で終了となりました。
【 A7の低音域補正・補強手法の昔と今・・・まずは昔から】
かつて私は、 Altecの締まりのある低音に重低音を追加する試みに挑戦していました。 現在のように優秀なサブウーファーの完成品がなかったことから、 自作することにしたのです。
長岡鉄男氏※や日立のLo-DスピーカーHS-1400WAの重低音再生手法等もヒントにしながら、いろんなバージョンを設計、失敗を重ねながらも数年掛かりで完成させました。
(※長岡鉄男氏については、音工房Z『大山美樹音の 究極の自作 スピーカー追求道』で詳細情報を見つけることが出来ますので、 興味のある方は上記をクリックしてお訪ね下さい。大山氏のことを私は、 顔の見えるスピーカーづくりの研究者だと、大変興味深く見ています。 )
エンクロージャー(スピーカーボックス)自体にアコースティック・ローパス・フィルター(勝手に命名)機能を持たせる計画でしたが、これには苦戦しました。求めていない高めの周波数帯も開口部から漏れ出していたからです。休日をつぶし、設計から完成まで2年以上も費やしたのに・・・やはり、しっかりしたローパスフィルターが必要だと痛感し、失意のどん底に。当時、重低音用の市販のローパス・フィルターは大変高価で、高級スピーカーがワンセット買えるほどだったからです。とは言え、自信作の重低音用スピーカーに致命的な欠陥があったとは思えませんでした。
そこで目をつけたのが、以前お話ししたdbx Dynamic Subharmonic Synthesizerという機器でした。プロの現場では数多く使われていたようで、音楽ソースにある倍音成分を検出し、これの1オクターブ下の低音(基音)を電気的に作るシンセサイザーです。
※上のアンダーライン部分をクリックする前に、以下にご注意下さい。
(・・・おはよう!フェルプス君。上のリンク先は、重低音付加の参考YouTubeである。そこで、君の使命だが、この音を歪みなく再生して重低音を体験することにある。仮に後半の重低音がパサつくようなら、君が使用しているヘッドホンやスピーカーでの再生は困難かも知れない。例によって、 君の聴覚やオーディオ機器が不調となり、 あるいは破損しても当方は一切関知しないから、そのつもりで。なお、このコメントは自動的に消滅する・・・そんな訳ないか?! 成功を祈る!)
冗談はさておき、ダブルベースの名手ロン・カーター(Ron Carter)の心地よい演奏をお聴き下さい。曲名は『いそしぎ』The Shadow of Your Smile)です。
(あとでゆっくり聴いた方がいいかも知れませんね。でも、忘れてしまうかも・・・。)
(dbx 3Band Dynamic Range Expander - 3BX, dbx 224, & dbx 120)
お話しを戻して・・・このdbxが扱う周波数帯は(おそらく基音を含め)55Hz~110Hz・・・出力するのが27Hz~55Hzという帯域で、これを専用アンプでサブウーファーだけを鳴らすことは勿論、原音にミックスしてメインのスピーカーで鳴らすことも出来るという興味深い機器です。勿論、この帯域をフラットに再生するのは普通のスピーカーでは無理です。
Altec A7-500-8に、これらの重低域をミックスして鳴らすのを避けたい私は、当然、自作のサブウーファーでの再生を選択しました。 そして、これは大成功! 映画の効果音としては恐ろしいほど迫力のある音も出せました。壁が弾け飛びそうな感覚も受けました。
また、クラシックの再生でも大迫力・・・チャイコフスキー:1812年(序曲)第5部※大砲版やバスドラム版も正に驚きでした。
(※『1812年序曲』ヘッドホンでは音量に注意願います! 原曲は本物の大砲を要求していますので・・・。ホント笑いごとではないですね。 でも、もし、あなたのスピーカーで大砲の音がパサ!パサ!という音を伴っているようなら・・・完全に低音不足です。是非サブウーファーをつないで聴いて下さい。(笑))
ジョン・ウィリアムズの未知との遭遇やスターウォーズでも同様の印象を持ちました。実験だとしても、ちょっとやり過ぎかなと思いつつ歳月が流れ、クラシックのコンサートの生演奏でも聴かないほどのこんな低音域は必要ないと思い始めました。そして、音楽での重低音は、もっと自然でふわっとした音?の方が良いのではと、重低音の付加をぐっと抑えたり、OFFにするようになっていました。
確かに、海外歌手のコンサートではよく聴いた迫力のある低域でしたが、オーディオルームで、時として現れるクラシックでのクライマックスのドカ~ン! 大変重要な部分なのに、その雰囲気がどうも気になっていたようです。苦労して作ったのに、結局この手法はボツになりました。その理由は、このブログでも度々触れた音楽ソフトのデジタル化、そしてこれからお話しする興味深い機能を持った音楽再生ソフトによるものです。 (でも、DVD等の映画の効果音として、もう少しおとなしい別のサブウーファーは現役ですよ。)
では、もう一回、チャイコフスキー作曲『1812年(序曲) 第5部 Allegro vivace』をお聴き下さい。 クラシックはどうも、 と思っている方には、映画【のだめカンタービレ】の1シーンで映像も楽しんで下さい。
= はい、ここでひと休み。レオンと家族の今・昔 =
【低音再生・・・逆転の発想!?・・・・錯聴の活用・・・そして今!】
音楽での低音域の重要さは重々承知の上でお話ししたいと思います。正攻法でこれを攻めた結果、オーディオの落とし穴にはまった人も多かったのではないでしょうか。現在では小型サブウーファーの追加という手法が広く認知されており、出費と設置スペースをぐっと抑えることも出来ます。趣味としては、最も効果的な手法かも知れませんね。
かつての私、口径が46cmの巨大ウーファー(このブログの4月1日、音づくり③の最後にその残骸の写真あり)に挑戦したものの、結果として30cmウーファーによる前述のように比較的小型(それでも高さ1m強、奥行60cm強・・・重量55kgの巨大さ!)に収めて自作、これを2本並列にサブウーファーとして使用 ・・・ その後、設置スペースの関係からA7を乗せるための台を兼用なんて写真も紹介しました。(2017.1.22サブウーファー)映画の効果音、ロック・コンサートやディスコでの活躍はともかく、趣味としての重低音の追加は大変難しい面がありました。それは低音部での自然な音の繋がりの問題でした。
一般的に再生すら困難な重低音、さらに1オクターブ下げた重低音を加えても、プロの現場ならいざ知らず、コーン紙がゆらゆらするだけで、音にも風にもなりません。これを大迫力と感じたのは、40Hz程から上の低音部によるものと判断!・・・そう判断した理由は40年も前のオーディオ入門時代のJBL20cmフルレンジや2ウェイ・スピーカーの音を思い出したからです。重低音が聴こえてた?あり得ない!そうです!倍音・・・錯聴の出番です。
【参考】 このブログで、たびたび出てきた高音・低音の『倍音』について、興味深いものがありました。 Subharmonic Music (Anomalous Low Frequency Vibration)[変則的低周波振動と訳してみました。] こういった科学的視点での倍音・・・サブハーモニックの解説も有難いです。
Reverse idea of music reproduction method.
逆転の発想!A7の締まりのある低音に倍音を適度に加えることが出来ればと考えました。
そう言えば、30年以上も昔、テープのダビング等で失われた高音域や倍音を取り戻す機能を持ったプロ用輸入機器を、テープデッキ等の老舗TEAC社の技術者が我が家に持参して、デモ再生をしてくれたことがありました。ビートルズ初期の曲でのデモだったような・・・。とにかく、ON・OFFでの効果を記憶しています。これなら私のコレクションの一部、オールディーズの数々の楽曲を蘇らせることが出来る・・・しかしながら、価格面で諦めました。
復刻版テープの制作会社でもないのに、数十万円・・・まだまだ輸入品は高額でした。その代わりに?半額以下の”dbx 3Band Dynamic Range Expander” (3BX)を購入。それでも、当時の価格は大変高額・・・オーディオやカメラの趣味はとにかくお金が掛かりました。
そして、忘れていた逆転の発想を実現できそうなもの・・・10数年前に見つけました!
デジタル音源に倍音成分などを加える機能を持ち、音楽再生ソフトとセットにして使う大型スピーカー専用の優れものです。 たとえ、大型スピーカーであっても、重低音から超高音までを違和感なく滑らかに再生することには大変な困難が伴います。 しかし、『重低音』が聴けている感覚を与えることは、このソフトを使えば簡単!『錯聴?』の効果に大満足です。
(その後、小型スピーカーのテストでも良好でしたから、大型スピーカーというのは、私の感覚ではパソコン用のそれに比べれば大型という意味かと思います。 このソフトの説明書には・・・ "This is a very deep bass. It is especially designed for large speakers." なんてあるので、そう思い込んだのかも知れませんね。)
⦅注:原音に含まれる重低音を、アンプでブーストすれば良いのではとお思いかも知れませんが、ほとんど聞こえない帯域を含んだ信号を普通のスピーカーに、むやみに送り込むことはスピーカーにもアンプにもかなりの負荷となります。時にはスピーカーを破損させます。
これで本当に重低音の再生が可能ならサブウーファーなんて不要ですよね。⦆(*^-^*)
しかも、このソフトでは付加したい倍音の深さは、低域と高域のそれぞれで調整でき、原音に加える量も再生音が自然に聴こえるように微妙な調整も可能です。さらに、高域には倍音と3倍音も任意に適量を付加できます。これら調整後の再生は、A7にとって何の負担もないばかりか、大音量でも締まりのあるAltec A7らしさを失いません。
勿論、10kHz以上はJBLのトゥイーター2405Hが受け持ちますから、高音域の再生も問題ありません。
また、古いモノラル音源等で、もう少し潤いが欲しい場合には残響付加の調整もできます。これら、隠し味的な使いこなし・・・最初は難しいところもありましたが、豊かな低音域と繊細な高音域の調整に慣れた頃、 我が家のA7は、 一層『心地よい音』(必ずしも静かな楽曲という訳ではありませんよ。)で鳴ってくれるようになっていました。そして、現在も大変満足しています。こうしたパソコンを使ったオーディオ趣味・・・どうも許容できない、 と言われる音楽趣味の方は、CDやネット配信の音楽なんて、とても許容できないですよね。
何故って、現在の音楽制作におけるデジタル処理・・・勿論、倍音や残響の調整等を含めた音づくり・・・もう、コンピュータなくしては出来ないものになっているからです。
【倍音についての技術的な資料】
2017年12月20日号の最後に表記しましたので、クリックしてお訪ね下さい。
【倍音に秘められた癒しの効果】
これまで、このブログで触れてきた倍音の活用とは若干ニュアンス等は異なりますが、癒しの歌声・・・心地よい歌、という面での倍音の役割・・・興味がおありでしたら、是非とも堀澤麻衣子さんの歌声をお聴き下さい。
http://www.maikohorisawa.com/baion/?gclid=COa54ZbY8M8CFUxvvAodQ44Ewg (小さ過ぎ?クリックでOKですよ)