ご来訪、有難うございます。
前回は、音楽鑑賞での視覚・聴覚・錯覚などの活用・・・私の奇策例などをお話ししました。でも、私がオーディオ変人を思われるのも困りますので、近年見つけた視覚・聴覚に関する学者などの興味深い研究発表もご紹介しました。
今回は、Altec A7-500-8の低音域についてのお話しをメインに進めて行きます。 
 

でも、ちょっとその前に、レオンの散歩コースの景色を紹介します。
こんな広々とゆったり出来る環境での散歩・・・贅沢さを満喫しながら体にも良いなんて、
本当に素敵なところです。あなたも、きっと住んでみたくなりますよ。
※レオンの散歩コース
また、車で少し出掛けてみると・・・三河湾に面した田原市と豊橋市一体には新しく出来た工業団地が広がっています。昔の記憶にあるような各地の工場地帯とはまるで違います。 環境にやさしい工場が多く集まっています。そして、その周辺には国内でも有数の再生可能エネルギー発電所がいくつもあります。風力と太陽光・・・この地方には豊富なエネルギーです。勿論、この地域での雇用創出にも大いに貢献していると思います。
※田原のソーラー発電+コメント
下の写真、両端は万場調整池から見える風力発電所。そして、中央2枚、その中の発電所の
ひとつに行ってみました。 遠目にはきゃしゃな風車ですが、 間近ではレオン同様巨大でした。
※背景の風車は隣エリアのもので、 頭上にそびえ立つ風車は近過ぎて写りませんでした。
※そこで、このブログの過去の号をご存知ない方のために、以前紹介した酒呑みおやじ』さん撮影の『万場調整池の全景を改めてご覧頂きましょう。本当にいい映像ですね。
●風力発電所のひとつに行ってみました。H720
では、A7の低域改善への取り組みについてお話しします。 
 

【それまでのスピーカーについての一言とAltec A7導入】
オーディオ趣味の初期、自宅で聴いてきたスピーカーは比較的大きなブックシェルフ型が多く、それなりに満足していました。社会人になってしばらくの間、オーディオ機器を置いていた部屋は遮音面などの問題はあるものの12畳程の洋間だったことから、その後ゆったり鳴らせる床置きの大型スピーカーを導入していました。Pioneer CS-100CS-770です。 特にCS-100は大きな部屋には最適で、ダンスホール等でも使われていたようです。
高級感あふれるローズウッド仕上げであの大きさですから見栄えがしました。また、密閉型ということもあってか、低域から中音域に変なクセもなく素直な音でした。まあ、逆の見方をすれば個性的ではなかったとも・・・。
そして、個性的な鳴り?を求めて、ALTEC A7を検討し始め、これが聴けそうなオーディオショップを見つけると出掛けて行きました。NETがない時代にはそんな情報を得るのも大変でした。 Altec A7狙いのところ“A5”だったり、“612C” “620A”といったモニタースピーカーだったり、JBL-4343等も試聴しました。勿論、カタログやオーディオ誌での情報も・・・。
結果はやはりA7!・・・揺らぎませんでした。ジャズボーカル、ピアノ、ベース、ドラム、シンバル・・・これしかないといった感じでした。・・・ところが・・・・。※Pioneer CS-100 & CS-770 ・・・
【A7の低音域を担うエンクロージャー(スピーカーボックス)】
独特な形状のエンクロージャーということもあり、手のひらを置いたり、こぶしで軽く叩いたり・・・おや?と思いました。その頃のメインスピーカーのCS-100CS-770・・・
どれもボックスの板が厚く、CS-100は3cmもあることから軽く叩いてもコツコツ! 再生中に手のひらを添えても振動はほとんど感じなかったのです。ところが、A7のは違いました。オーディオ誌でいうボックスをうまく鳴らした音づくりとは、このことかと。 極端に表現すれば、ギターやバイオリンの音色や響き等は胴の出来次第で決まるみたいな。
かつて、ギターやバイオリンに実際触れてきた来た私・・・それまでスピーカーボックスに求めて来た強固な作りとは相反するもので、これは使いこなしが難しい、と感じました。
そういえば、A7を聴いてきた場所は劇場は別としても、広いスペースでのデモ再生でした。これを狭い家庭のオーディオ室に持ち込んで、部屋の影響をまともに受けることになれば、あの響きは・・・などとの躊躇、まるで海辺の波のように何度も打ち寄せていました。
そこで、A7のエンクロージャー825 Type)の働きを再確認してみました。

①位相反転型(バスレフ型)
ヘルムホルツ共鳴を利用して低域を増強する。(スピーカーユニットの後ろ側ではコーンから出る音は逆位相だが、前面にダクトを設けることで位相が反転して同位相となり、低域が増強される。 これらはユニットの情報とボックスの容量等から計算して、最良のダクト面積や長さを導き出すことが可能。Bass Reflex)

②フロントロード・ショートホーン
音の拡散を減らし、前方に集中させることで音圧を上げる(高能率化)ことが出来る。しかし、あの短いホーンと開口面積から低域をさらに引き下げるのは困難と判断した。(追記:ショートホーンの最も重要な役割は(私のエンクロージャーの作りは箱鳴りを抑えるための対策を除き、オリジナルのAltec 825に沿い、セッティングもマニュアルに従うため、これは敢えて記載は不要かも・・・。)低音ユニットと中高音ユニットの位相合わせと認識している。 即ち、ユニットの振動版の位置を合わせて、低音と中高音の音の繋がりを自然なものにする設計になっていること。)

③箱を響かせる
弦楽器を例に挙げたが、これを新しいオーディオ室(ひとつ前のモノクロ写真)で上手に制御するのは困難ではないかと、逆に響きを抑えることにした。ところが、オリジナルエンクロージャーでの補強は困難で、仮に響きを減らすことが出来たとしても、かなり音が変わりそうだと思った。その後、A7のオリジナルエンクロージャーの材質が米松合板から硬質パーティクルボードに変わったことを知り、既に採用していた耐水合板はその中間くらいの性質ではないかと幾分ホッとした。(板厚はホーン部分の18mmを除き、仕上げ突板を含めて21mmとした。) ※以下はAltec A7がどんな作りかの参考図面です。
※Altec A7 enclosure design for NET
【完成後のエンクロージャーの調整】
エンクロージャーの完成を待って、A7-500-8のスピーカーユニット等一式を購入、取り付けを完了するといよいよ試聴に入りました。A7採用を決定してから既に2年程経っていました。途中で気が変わらなかったのは、それほど“A7”の鳴り方などに魅力があったからだと思っています。 そして、その後も約2年程の楽しいながらも悪戦苦闘が続き、エージングもどうやら終わったのでしょう。中高域の硬さも取れたようで、かん高かった音も聴きやすくなって来ました。昔の車で言うなら、慣らし運転が終わった感じですね。
以前にも触れましたが、導入当初の頃、しかも小音量の時は、確かにカマボコ型周波数特性だったと思います。 音量を上げ始めると、低域も高域もそれなりに鳴ってくれましたが、我が家は映画館ではありませんから、A7の前にスクリーンのない部屋での適正音量はかなり落とさざると得ませんでした。そのためプリアンプの低域や高域は2.5dBから5dBほど上げる必要がありました。(音づくり④の低域・高域の増減のイメージ図参照下さい。概ね調整する低音/高音周波数の両端の音圧は2倍くらい上がる感じです。)これなら何とか・・・などとしばらく(数か月)聴いては、エンクロージャー上の左右の中高音ホーンの向きを広げたり、狭めたり、上に振ったり・・・ビニール袋に砂をたっぷり入れてホーンの上に置いてみたり等と頑張りました。(#^.^#)  ※ホーン鳴きを抑えるとか・・・ほとんど変わりませんでした。 というより、仮にホーン鳴き(言い方を変えれば、原音にない歪?)が中高域に悪影響を与えているならば、Altec社が素早くその対策を講じる筈なので、これを含めての鳴り方の良い面を残したかったのかも・・・と思ったりしています。

【アルテック A7-500-8・・・最終的な調整】(懐かしいA7-500-8のカタログ:既掲載)
A7の箱鳴り?を減らすために板厚を増やしたり、補強桟をつけたり・・・定在波を防ぐためなら対向面だけに張ればよい吸音材を一面に貼ってみました。勿論、アコースティックサスペンション(空気をスピーカーの制動に使う)の密閉型のように吸音材を詰め込むのではなく、内壁にカーテンを吊るような感じでとめました。 また、バスレフ用のダクト部分を塞いで密閉箱に近い状態から徐々にダクト面積を広げ、バスレフ効果を試しました。軽くて強靭なコーン紙の低音は密閉でなく、ほぼオリジナルの設計通りのダクト面積でかなり低域が出ていました。 笑い話ですが、音は目に見えないことから、バスレフダクト前にチラシなどを垂らして音を出すと、バタバタと激しく震えはじめ、やがて剥がれて飛び散る・・・こんなこともやりました。そして、出て来た低音は、バスレフによる変な盛り上がりも少ないようで調整しやすい感じでした。モニタースピーカーにも採用された416タイプのウーファーは、どうやら低域の暴れが少なく素直に低域が減衰しているのでしょう。(※下図)
※35mmフィルムとAltec Diaphragm コメント+++
 ※Altec 416-8Aの再生周波数特性グラフ。       ※映画フィルムの写真は、私の映画好きな一面をご紹介するものです。
 この図から100Hz~40Hzの音圧減衰は、       ビデオが普及していない時代、映画と言えばフィルムしかありませんね。
 滑らかで十分再生可能だと思われます。        一般家庭では8mm! 16mmや35mmの映画は、まずプロの世界でした。

【雑談・・・すぐ飛ぶ(壊れる)高域ドライバーって? ・・・そんなことはありません!】
写真中央にあるAltec 802-8Dのダイヤフラム(振動版)は当初のA7の中高音用ドライバーのものです。これを飛ばすなんて、一体どんな音量だったの!?・・・私は知りません。
実は・・・以前、ここでA7の音を聴いた私の友人が中学生の息子さんを連れて、是非聴かせてやって欲しいと立ち寄られたのです。残念ながら、私は運悪く仕事が入って不在・・・。家の者がFM放送なら鳴らせるのでは・・・とアンプ等のスィッチを入れたのですが、ボリュームを上げても、全く音が出て来ません。 オーディオ装置の機嫌が悪かったのではありませんよ。いろんな再生機器とつながっているセパレートアンプ(プリとメインに分かれたアンプ)・・・ファンクションスイッチ・・・外付けセレクター・・・目的のソースが再生が出来るルートはたったひとつです。そして、運良く・・・私にとっては運悪く・・・接続が最も単純なFM再生のルートにたどり着いたのです。しかも、ボリューム最大で! 驚いたことでしょう。・・・すぐにボリュームを下げて、その後もしばらく音楽を聴いていたようです。家の者はスピーカーの500Hz以上が鳴っていなくても、音が出ていたことから壊れたなんて、今でも思っていないようです。(*´ω`) せっかく期待していたのに、その中学生の息子さん・・・私が中学校の授業で先生に聴かせてもらったラヴェルのボレロ(2/18付)
の時のように『あの程度なら家で聴く音の方が絶対良いよね!』とお父さんに話したことでしょう。(ちなみに家の者とは・・・事実上の・・・愛犬のご主人様のことですよ。) 

その後、中高音ドライバーを分解して断線を確認、ダイヤフラムを交換すべく、オーディオショップに・・・どこにも在庫はなく、しかも修理には1個当たり数万円・・・2個の修理費で安いステレオセットが買えてしまう。その頃は、まだ1ドルが200円以上の時代・・・苦労して計4万円でダイヤフラムを取り寄せ、自分で交換する羽目に。・・・お陰で、またエージングに逆戻り・・・。もっと早く、Mr.Altecの森本さんと知り合っていれば・・・。

では、ここで一服、ダニエル・バレンボイム指揮 The West–Eastern Divan Orchestra
ラヴェル作曲 ボレロ】をお聴き下さい。(YouTube提供)  
  

【低音の再生】
かつては、dbx "Dynamic Subharmonic Synthesizer"で55Hz以下の低音を取り出し、別のアンプで自作のサブウーファーを鳴らしていました。必要に応じて、かなり強烈な低音を出すことも出来ました。しかし、数年後にはクラシックのコンサートでも聴くことがないような重い低音・・・こんな低音が本当にいるのかな?なんて思うことが多くなりました。どうやら追加された低音が不自然、という印象を持ち始めたのでしょう。といっても、サブウーファーにアンプから送り込む低音の周波数は、これらの装置が扱うせいぜい27Hz~55Hz。さらには20Hzをまともに再生できるスピーカーなんて、とても自作出来ません。
こんなことから、40Hz以上を上手に鳴らせるならば、これ以下は要らないのではとの考えを持ち始めました。(これは費用対効果からの考えですので、誤解なきようお願いします。)

とは言え、オーディオ雑誌等で音楽を聴くためには20Hz辺りまで必要(というニュアンス)
なんて載っていると、違和感を持つようにもなっていました。20Hzや30Hzの基音の楽器があるとしても、これが演奏で重要な部分を占めるかには疑問をもっています。88鍵ピアノの鍵盤で一番左の音は約27Hz、パイプオルガンではもっと低い音が出るようですが、ピアノも趣味の私、一番左の鍵盤なんて一度も演奏で弾いたことがありません。 ポップスだからでしょうか? 多くがそこから8つ目の鍵盤程度の約40Hzより高い鍵盤ばかりです。しかも、一番低い鍵盤から数個上まで叩いてみても(弾くという感じでなく・・・)明瞭な音階は、残念ながら判りにくいです。勿論、プロの音楽家や批評家には判るのでしょう。
エレクトーンとピアノ
  ※左は概ね現状です。 右側の2枚は、何でも試した2度目の中高域エージング時代。 JBL 2405Hの追加前です。
【倍音の利用】
高音域で重要な倍音は低音でも重要です。 半世紀も前、テープレコーダーで音楽を聴いていた頃、ベースやバスドラなんてまともに再生できる筈もないのに、これを聴けていると感じました。低域の基音が無理でも倍音がうまく鳴っていればそのように聴こえてくるのです。ベースの一番低い周波数は開放弦の約40Hz、バスドラでもこんなものでしょう。 むしろ、倍音の響きを聴いているので、その迫力が感じられるのかも知れませんね。また、時として数千Hzにもなるアタック音も大切な音です。アタック音・・・弦楽器、打楽器、ほとんどの楽器の出だしのほんの一瞬の音とは言え、これが音楽を生き生きさせ、明瞭感(解像度)や繊細さ(適量ならば・・・)も感じさせますから。
20Hzの音が入ったCD、スピーカーでこの20Hzがまともに再生出来ないとしても、悩むことはありません。しっかりと倍音の40Hz辺りから再生出来るようであればよいのですから。
ところが、実際上、この40Hz辺りは良くできたスピーカーでもなかなか十分には鳴ってくれません。でも、心配いりません。80Hz前後がバランス良く鳴ってくれれば大丈夫です。

A7の低音、38cmの大型スピーカーユニットということもあり、何とか40Hz辺りまでは鳴ってくれそうです。 そして、これを増幅するため、壁面や床の反射を利用してみようという訳です。ここで増幅される低域は、ごく自然に聴こえます。重過ぎず軽過ぎず、おそらく倍音成分が上手に増幅されているのかと思います。
それでも音楽ソースの低域や高域、あるいは中域に不満がある場合、再生時のデジタル処理で自分の気に入る音に近づけています。 これがオーディオ趣味として、行き過ぎた邪道と考える方があっても、それは受け流します。原音再生、HiFiの回でお話ししたように、何が原音かの基準が示されていない以上、自分の基準で心地よく聴ける音づくり!これが自分のオーディオ趣味の最終目標ですからね。
Altec A7-500-8の低音を締まりがあるのに豊かに響くようにした・・・これについては、『もう少し具体的に言って欲しいなあ』というお話しもあり、近いうちにその方法(奇策のひとつ!錯聴の利用?)をお話しするつもりです。'16年10月24日および`'17年12月20日に掲載)

そして、今回の最後にひと言、オーディオ趣味で『裸の王様』になっては見苦しいと思うのです。私のオーディオ機器に超ド級はありません。ここで言う『超ド級』とは、今の価値で例えれば、アンプでは50万とか100万円なんて高額の製品です。それは、私がそれを必要としていないから、という単純な理由です。オーディオショップやオーディオ誌で、100万とか数百万円のアンプを推薦する言葉に出会うと、見えない服を薦められて、結果として裸で大勢の人々が見守るなかを行進する王様の童話を思い出します。『この音の素晴らしさが判らない人は真のオーディオマニアとは言えません。もし、本当のオーディオマニアならば、この違いが判ってしかるべき・・・』なんて、半世紀もオーディオで苦戦して来た私には、まるで童話の笑い話です。 但し、『これが判るので、是非導入したい』という人、それを否定するものではありませんよ。その価格もデザインもその人にとっての心地よい音づくりに大きく貢献することも理解できますから。誰よりも素晴らしい音を聴かせてくれる装置を持っていると感じられる・・・視覚・聴覚での錯覚・・・大事ですからね。これも、趣味としてのオーディオなればこそ可能な心地よい音づくりの手法でしょう。 でも、私には無縁の・・・猫に小判かも知れませんね。
       ≪そうそうZ800-FW168HRは別です!良いと思います!≫

では、次回、愛犬のレオンとアーサーを中心にお話しし、所どころでオーディオや映画にも触れようと思います。また、 お訪ね下さい。 どうも有難うございました。