飛んでる音好き爺・・・オーディオ・映画・音楽・愛犬

音楽を楽しむ・愛犬との暮らし・記録や楽しみとしての写真・映画・DIY・・・いろんなことに興味があり過ぎるリタイアした爺さんの独り言を綴ります。 映画や音楽、そしてかわいい愛犬との楽しい日々・・・では、どうぞお楽しみ下さい。(上部のクリックでブログ全体が見れます。)

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70mmフィルム 思い出の大画面映画大集合!シネラマ巨大スクリーン vs 映画技術者 苦闘と工夫』についてのお話しから1年が経過しました。 そして、今回はその第2弾として35mmネガをブローアップした70mmフィルムのヒット作品についてのお話しです。第1弾でもブローアップ70mm映画には触れていますので、今回はその続編となります。 
00-Blow-up 70mm Movies
35mmフィルムの画質向上が進んだとはいえ、サウンドトラックがデジタル化される前は、70mmフィルムが大変高価だったにもかかわらず、70mmフィルムの6トラック立体音響の圧倒的な迫力は、映画会社にとっては勿論、観客にとっても魅力だったのでしょう。
以下、 デジタル音響が使えた『タイタニック』を除けば、35mm磁気録音や光学式ドルビーステレオ等のマトリックス方式のアナログ音響時代、大スクリーンへのスペクタクル映画の上映にブローアップ70mm磁気録音のディスクリート方式が大活躍することになりました。
これらの映画を70mm劇場でご覧になった方は、大迫力の音響も思い出してみましょう。
(これらはブローアップ70mm作品のごく一部です。また、日本での上映に限りませんのでご承知下さい。) 
          
ダイ・ハード Die Hard1988年 主演 ブルース・ウィリス (Bruce Willis)   
01-ダイ・ハード Die Hard (1988)
ジョン・マクティアナン監督(John McTiernan) の作品には、本作と『ダイ・ハード3』『プレデターレッド・オクトーバーを追え!』(The Hunt for Red October) ラスト・アクション・ヒーロー』(Last Action Hero)等がありますが、 私は本作とレッド・オクトーバーを追え!がお気に入りです。(画像は1回クリックで全体、 2回目のクリックが標準大・・・是非標準画像をどうぞ。)

さて、 ブルース・ウィリスと言えば、『ダイ・ハード・・・』や『アルマゲドン』(Armageddon)を思い出す人も多いかも知れませんね。確かにその通りですが『こちらブルームーン探偵社』(Moonlighting : TV Series)ブラインド・デート』(Blind Date) でのコミカルな彼も同時に思い出しませんか? そんな面を見て来た私は、バットマンに触れた号で掲載したマイケル・キートンに通じるものを感じます。
トリヴィア】
このダイ・ハードは元々 アーノルド・シュワルツェネッガーの『コマンドー』の続編と考えられていました。
しかし、 テロリストが娘役のアリッサ・ミラノをそう度々誘拐することは出来ないことから、ブルース・ウィリスが引き継いだということです。(笑)

この映画の最初のポスターにはブルースの顔はありませんでした。  当時、コメディタッチのTV俳優と認知されていたため、彼のイメージが興行の成功を妨げることを心配した映画会社が、敢えて載せなかったのです。
 ・ハンス役のアラン・リックマンは舞台俳優でした。シェークスピアの俳優が普段しないことのひとつが機関銃を撃つことです。 そして、 マクティアナン監督は、 彼が銃を撃つたびに画面を
彼の顔から他の画面に切り替えました。 その訳は、尻込みする発砲シーンでのリックマンが、まばたきばかりしていたからです。 たとえ、監督から要求されても、 よほど銃撃戦に慣れた俳優でない限り発砲の瞬間のまばたきは、 止められないかも知れません。(笑) 
 
ハンスの手下カール役アレクサンダー・ゴドゥノフは、1979年にソ連から米国に亡命したボリショイ・バレエ団の花形ダンサーでした。👈   なお、 この映画の3年前「刑事ジョン・ブック 目撃者」では善良なアーミッシュのダニエル・ホッフライトナー役で、ハリソン・フォードやトップガンのケリー・マクギリスと共演しました。
また、 彼は45歳で死亡・・・ ソ連からの亡命者だったためかいろんな憶測が飛びました。 検視では外傷もなく、 体内からアルコールや薬物が検出されなかったため自然死に。  ところが、 その後死因は、 慢性? 急性?のアルコール中毒による肝炎という話も ・・・ それにしても、死因が不明?怖い話ですね。

01.1-Alexander Godunov 01
ところで、ダイ・ハードでのアクション・シーンの多くをブルース自身がこなしました。その一部が上の写真にもあります。 また、 印象的なシーンとしてコンピュータ・ルームの間仕切りガラスがテロリストの銃撃で粉々に散らばったフロアを裸足のマクレーンが走り抜ける場面があります。本物のガラスの破片かどうかはともかく、痛そうなシーンですね。でも、この時のマクレーンは素足ではなく、素足に見えるゴム製の履物をはいていました。マクレーンが裸足だと知ったテロリストのボス、 ハンスの「ガラスを撃て」との指示、その後の足の裏に刺さったガラスの破片を取り除くマクレーンのシーンから一層痛そうに感じさせることに成功しました。 見た目にもハードですが、 ハードと言えば、 この時期のブルース・ウィリスは前述TVシリーズ『こちらブルームーン探偵社』との掛け持ち! 昼間は探偵を演じ、 夜にはダイ・ハードのマクレーン役・・・ブルースは文字通りダイ・ハードでした。
(注:上記で悪人たちをテロリストと言ったのは、彼らが強盗団だと判明するまでそう思わせていたからです。)

ダイ・ハード 2 Die Hard 2 】①(1990)ブルース・ウィリス (Bruce Willis) 
02-ダイ・ハード2 Die Hard 2 - 01
お次も、ブルース・ウィリス扮するニューヨーク市警の刑事ジョン・マクレーンが活躍するダイ・ハードの第2弾です。舞台はクリスマスを迎えて混雑する空港。おっと、このブログではストーリーに触れないようにしていました。  その代わり映画ファンの私ですから、 特撮の苦労などもトリヴィアとしてご紹介したいと思います。 
 

ダイ・ハード2ではいくつもの航空機が登場します。 そして、 それらのシーンの多くで巨大な模型が使われました。 さらに実機を参考にしながら、 架空の軍用機の模型も製作されました。 これら模型の製作から視覚効果 (VFX)、 特殊効果 (SFX) などを引き受けたのが、 ジョージ・ルーカスが作ったI.L.M (Industrial Light & Magic)です。  その仕事の一部を下に掲載します。 どのシーンが実物だとか模型だなんてほとんど分かりません。 すぐにバレるような特撮は映画全体を台無しにすることもあり、模型づくりやCGをはじめとする特撮担当の技術者たちも真剣そのものです。 勿論、 常識的・物理的にあり得ないシーンは当然ながら作り物ですが、 観客の錯覚も利用して いかにも現実と感じさせる映像づくりは、まさに映像技術者の腕の見せどころとなります。
I.L.M作品例 :『スターウォーズ series』『スタートレック series』『E.T.』『インディ・ジョーンズ series』『アビス』『バック・トゥ・ザ・フューチャー series』『ターミネーター series』『ジュラシック・パーク series』『ハリー・ポッター series』『タイタニック』等々・・・・ その他の会社等の作品例 :『2001年 宇宙の旅』『スーパーマン』『未知との遭遇』『ブレードランナー』等
 
なお、
以前、『私の目指した音づくり②映画から学ぶこと』で、 マットぺインターの上杉裕世氏にも触れていますので、どうぞお立ち寄り下さい。
03-ダイ・ハード2 Die Hard 2 特撮について
模型作りは、航空機だけではありません。テロリストたちに爆破される工事中の空港ビルも作りました。また、小道具としての武器については、モデルガンの使用でも映画専門の武器コーディネーターが事故防止のため、 指導に当たっているようです。 ダイ・ハード・シリーズにはマイケル・パパックが付きました。武器といっても幅が広く、 銃器・ナイフ・剣・弓矢などがあり、これらの使用での出演者やスタッフへの安全確保が彼の重要な仕事となります。 武器に関する高度な知識は勿論、俳優に適した武器の選定をすることもあります。
マイケル・パパックの実績:「ダイ・ハード・シリーズ」「コン・エア」「マン・オブ・スティール」「プレデター」「リーサル・ウェポン」「ラスト・ボースカウト」 「アイアンマン」「スリー・キングス」「戦火の勇気」「8月のメモワール」「クリムゾン・タイド」等々。
ブルース・ウィリスがダイ・ハード2で使用するイタリア製Beretta 92FSは、 銃の両側に安全装置があり、マガジン(弾倉)キャッチも左右どちらにも変えられることから、左利き用に設定したことでマクレーン刑事の銃さばきを一層スムーズにしています。弾切れ時の素早いマガジン交換でもそれが分かります。なお、この銃は「リーサル・ウェポン」の劇中、メル・ギブソンが使用したものを左利き用に直して使いました。 
・工事中の空港建物での銃撃戦、さすがのウィリスもリックマン同様に発砲時には本能的にまばたきして目を保護します。また、長テーブルの上からテロリストが機関銃でマクレーンを撃つ直前の反撃の連射で、ウィリスは左耳の聴力に大きなダメージを負うことになりました。 強烈な銃声の連続  ・・・ クローズアップのためか ・・・ 彼は耳栓をしていませんでした。  これに近い状況ってオーケストラの管楽器群の真ん前の演奏者へのダメージ  ・・・唇の振動なのに『ホーン』によって相当の音圧になりますからね。しかも耳栓なしで! 
 

ところで、飛行シーンで「模型」を使ったなどと古臭い表現を使いましたが、 あまりに巨大な模型飛行機(全長6~7m、 重量が数100キロ)をミニチュアというのは、どうもしっくり来ないからです。しかも、吊り上げるのに大型クレーンが必要だなんて、 もはやミニチュアのレベルを超えています。(笑) それに、大型模型とか実物大模型(時には実物より大きな場合も・・・)はあるとしても、 大型ミニチュアとかほぼ実物大ミニチュア・・・元々小さいのがミニ! 巨大なミニなんて・・・やっぱり変ですからね?😊 (ちょっと脱線しました。) 
 

【バック・トゥ・ザ・フューチャー Back to the Future(1985・1989・1990)
04-Back to The Future 1,2,3
スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮に名を連ねたロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、皆さんもご存じですね。ここでも見事な特殊効果等は I.L.M の技術者集団が当たっています。そして、第1作目のサントラ盤、最初に入っているのが、その後全米でNo.1となった『♫ パワー・オブ・ラブ』歌っているのがヒューイ・ルイスです。  彼は、 本編にもマーティが通う高校のダンスパーティで演奏するバンドのオーディションの審査員としてカメオ出演しています。 
 

その後『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(1989年)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990年)に続きます。 時空を超えてのSF冒険の傑作で、 SFファンタジーの傑作が『E.T.』そして、ある日どこかで』"Somewhere in Time"だと思います。  
 
【E.T.  The Extra-Terrestrial 】(1982)
05-E.T. the Extra-Terrestrial (1982)
スティーヴン・スピルバーグ監督のE.T.』は 以前ドリュー・バリモアの号 (5月6日)で、 少し触れています。 ちょっとだけ寄り道してはいかがですか?(上のをクリック)
なお、 右端はロンドンでのE.T.の試写会で、ダイアナ王妃にE.T.の人形をプレゼントするスピルバーグ監督たちです。スピルバーグ監督のブローアップ70mm作品『未知との遭遇』『インディ・ジョーンズ・シリーズ』等も、近々登場予定です。楽しみにしていて下さい。 

 
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【タイタニック Titanic
(1997)  主演 レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
06-タイタニック Titanic (1997)
ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』、 みんなが知っている大ヒット映画ですね。 従って、ここでは皆さんがご存じでなさそうな?トリヴィアを中心に進めていきます。  
 

悲劇の豪華客船タイタニックのことは皆が知っていることでしたから、逆にこの映画公開時には、事実と異なる描き方を含めていろんな苦労がありました。一般的に、映画では部分的であっても史実に沿った描写がリアルであればある程、フィクション部分の描写は手を抜けません。デジタル処理が可能になると、不都合な点などの画像修正は容易になりましたが、この映画では、 事実に反した描写で実在した人物の名誉を棄損することも・・・。こんなことは、事実を知った第三者にも不快なことですから十分な配慮が必要でした。 当然、 映画会社とキャメロン監督は遺族に謝罪しました。
   (この件の詳細には触れないでおきます。興味をお持ちの方、ネット検索で見つかります。) 
   
それにしても、この映画は非常に長編 (194分)です。 その理由のひとつは、1912年を表現したシーンの2時間40分は、タイタニックが氷山に衝突してから沈没するまでの実際の時間で、これに現在のシーンやオープニングとエンドクレジットが加わって、こんなに長くなったというのです。(それって、 フレッド・ジンネマン監督、 ゲイリー・クーパーとグレース・ケリーの『真昼の決闘』(1952年 上映時間85分) の実況中継的な進行を連想させます。上映時間は半分以下ですが。)
 

【映画タイタニックの製作費は、本物の旅客船タイタニックの建造費よりも高かった!】
07-タイタニック Titanic (1997)
映画の製作開始の頃、 サウサンプトン港に係留されたタイタニック号の写真が見当たらなかったこともあって、右舷側だけの外装セットを完成させました。ところが、 やっと見つかった当時の写真から1912年の係留が逆方向だったと分かったのです。 もはや巨大で高額なセットを造り直すことは不可能な時期でした。 そこで、 キャメロン監督は、写り込む文字をはじめボタンの掛け合わせにもこだわった左右反転の衣装を皆に着せて、撮影したネガを裏焼きすることで乗船のーンを完成させました。大きなセットに描かれた逆さ文字を見たケイト・ウィンスレットが大笑いしたなんてこともあったようです。 (ケイトの頬にあるほくろがシーンによって反対側に移動したり、出航するタイタニック号から手を振る乗客には異常なほど多くの左利きがいるように見えたのは・・・私だけ?) 
  
この長編映画の製作費は当時に換算すると本物のタイタニック号の建造費を超えていたそうです。どんどん増える製作費を賄うためキャメロン監督は私財を投入しました。   
『タイタニック』は20世紀に撮影
された最も高価な映画で予算は2億ドルでした。 その後、 製作費は2億8600万ドル(1ドル100円換算で286億円)に
膨れ上がり、この額は今世紀になって2007年に公開のジョニー・デップ主演『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(シリーズ第3弾)の332億円に抜かれるまでの最高額でした。そのため、資金面で大変苦戦していた20世フォックスは、パラマウント映画に北米の配給権を渡すことで資金を確保し、予定より遅れながらも映画の公開にこぎつけました。そして、 映画の大ヒットによりキャメロン監督をはじめ両映画会社が十分な利益を上げたのは、 ご想像の通りです。
08-タイタニック Titanic (1997)
以下・・・興味のない人字が小さ過ぎて読めないっ!方は・・・写真意外の素通りは可!です。(笑) 
・ジャック・スパロウ役で人気を博したジョニー・デップは、それ以前のタイタニックでジャック・ドーソン(Jack Dawson)の役を打診されましたが、断わっていたのです。ディカプリオのジャックが大当たりしたこともあり、それは後に大きな後悔となりました。 彼の他にこの役の候補に上がったのは、
 マシュー・マコノヒー、 クリスチャン・ベール、 リヴァー・フェニックス(死亡)、 ジャレッド・レト、 クリス・オドネル、 トム・クルーズ、 イーサン・ホーク、 ブラッド・ピットたちでした。
一方、ローズ役の候補としては、ジェニファー・アニストン、ロザンナ・アークエット、ドリュー・バリモア、ネーヴ・キャンベル、ジェニファー・コネリー、クレア・デインズ、ジーナ・デイビス、キャメロン・ディアス、ミニー・ドライバー、ジョディ・フォスター、アンジェリーナ・ジョリー、 ミラ・ジョヴォヴィッチ、 ニコール・キッドマン、 マドンナ、 ソフィー・マルソー、グウィネス・パルトロウ、クリスティーナ・リッチ、 ウィノナ・ライダー、 シャロン・ストーン、 シャーリーズ・セロン、 ユマ・サーマン、リース・ウィザースプーン
たちが上がっていました。(候補者の中から取り敢えず、 私が知っている名の俳優を上げてみました。 クリックをどうぞ👈) 
09-タイタニック Titanic (1997)
・当時から営業するカーペットメーカーは、映画のために18,000平方フィート(1,672平米:約500坪)のカーペットの再現を依頼されました。カーペット裏のタグは写らないのに・・・キャメロン監督のこだわり半端ない!
・この映画には100以上の会話のシーンに1,000人を超えるエキストラが動員されました。しかも、その全員が当時の雰囲気を感じさせる贅沢な衣装を着る必要がありました。
・主要な150組ものエキストラは、 彼らの服装に相応しい1912年当時のマナーを身につけるため、 エチケット・コーチで
映画振付師でもあるリン・ホックニー(
Lynne Hockney)から
3時間の研修を受けました。
レオナルド・ディカプリオ扮するジャック・ドーソンは、タイタニックが沈む時の最後の人々のひとりと同様、出航前の乗船する最後の乗客たちのひとりとして描かれました。
ケイト・ウィンスレットは、 長く海水につかっているシーンでもウェットスーツを着ることを拒んだ数少ない俳優の一人でした。 その結果、 彼女は低体温症を患い役を降りようとしました。  勿論、キャメロン監督彼女にとどまるよう説得しました。そうでなければ、ローズ役は他の女優に変わっていた筈ですから・・・ね。
海水が激流のように流れ込むシーンでは、
スタントマンの安全のためほとんどの小道具は発泡ゴム製でした。
10-タイタニック Titanic (1997)
・映画を見た天体物理学者ニール・ドグラース・タイソン(Neil deGrasse Tyson: ニューヨークのヘイデン・プラネタリウム館長)から『タイタニックが沈没した深夜、 冷たい海にいるローズの背景の星空が間違っている』と再三の指摘を受けたキャメロン監督は、タイソン博士に当時の星空が実際にどう見えたのか写真提供を依頼しました。 そして、再リリースでのその背景はタイソン博士が計算して作った星空に修正されました。(この映画の描写が微細な点にもこだわったことから生じた、思いがけない天文学者からの指摘でした。)
・アカデミー賞は、 作品賞、 監督賞、 撮影賞、 編集賞、 衣裳デザイン賞、 視覚効果賞、 音響効果賞、 音響賞、 美術賞、 主題歌賞、 作曲賞の11部門で受賞、これは現在も『ベン・ハー』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』に並ぶ最多受賞映画です。ジェームズ・ホーナー作曲の主題歌 My Heart Will Go Onセリーヌ・ディオンそして、 カミエル・レンメンスのホルン演奏をフィーチャーしたオーケストラ版でどうぞ 
 
・エンド・クレジットには "Filmed in Panavision"とあり、『タイタニック』の撮影にPanavisionを使ったことになります。通常この表示はアナモフィック・レンズを装着したパナビジョンカメラで撮影された場合に使われるようですが、この映画は
球面レンズ(
spherical lens)使用のスーパー35でした。撮影自体、 Panavisionカメラ(Panavision Panaflex Gold II, Panavision Panaflex Platinum : Panavision Primo Lensesで撮られたので、この表示はこれでもいいのでしょう。 

 
 とは言え、『スーパー35』の規格を言葉で説明するのは困難なため、 サンプルを作ってみました。 
11-Film Format 35-70mm
    補足【
 C列・(a)=SDDS soundtrack, (b)=Dolby Digital, (c)=Analog soundtrack, (d)=DTS Time-code 】
『スーパー35 (Super 35)』・・・ひとことで言えば・・・サイレント映画時代のフォーマットです。(笑)
A①が標準的ネガを示しています。両側のパーフォレーション(コマ送り用のミシン目風の穴)に挟まれた部分を目いっぱい使い、 4個のパーフォレーションで1コマになります。 サウンドトラック部分も映像用に使用します。
  注:スーパー35はネガとしてのみ使用しますが、説明用に敢えてポジに変換したのがB列です。
C列は上映用のプリント例で、C①は昔の映画の標準アスペクト比で、 かつてのブラウン管テレビに対応します。
D列はスーパー35を3個のパーフォレーションでひとコマとする手法です。フィルムを25%節約出来、カメラの駆動音も静かで、そのままでも現在の液晶テレビやビスタサイズのアスペクト比に近く、使い勝手が良かったのでしょう。右端は「リンカーン」を撮影中のスティーヴン・スピルバーグ、4Kデジタルとフィルム版はスーパー35の1コマ3パーフォレーション(上図のD方式)でした。 そして、 どちらもデジタル音響が使えました。
Eは70mmにブローアップしたイメージです。 茶色部分は磁気式サウントトラックですが、 デジタル・サウンドが普及したため、35mmで70mm以上の音質が得られるようになり、 それが70mm映画終焉の始まりでした。
(簡単な説明を組写真にも記載しましたので、興味のある方は上の写真をクリックしてご覧下さい。)

なお、ジェームズ・キャメロン監督はこの"スーパー35"を1コマ当たり通常の4パーフォレーションで撮影したようです。フィルムを節約することの出来る3パーフォレーションを敢えて使わなかったのは、VHSビデオでの販売を視野に入れると当時のテレビのアスペクト比(4:3)に合わせる方が都合がよかったのです。そのため、スコープサイズの映画館で見る画面よりビデオの方が上下に多くの映像が見えることになりますね。(笑)
 【 但し、海中シーンの撮影だけはテクニスコープ "Techniscope"で撮られました。】  
(Panavision Cameraカタログからの基本機能についてのコメント)
Panavision offers a wide variety of ground glasses for the Platinum in virtually every format (anamorphic or spherical), including Super 35. The Platinum is available in, 2-perf, 3-Perf®, or 4-perf configurations to enable significant savings in film costs without compromising image quality. 
 
今回は、ブローアップ70mm映画の5作品についてのお話しでした。次号でも第3弾として『未知との遭遇』『インディ・ジョーンズ・シリーズ』『トップガン』『地獄の黙示録』などを予定しています。
映画ファンの皆さん、トリヴィアでの新たな情報に興味のある方、お待ちしています。
最後までお付き合い下さり有難うございました。  
 

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    商業利用が目的ではないことから、関係者のご理解をお願いしたいと思います。 
    また、映画や楽曲の紹介については、YouTubeなどへリンクを利用しています。感謝しております。 
      
  • I have many images saved on my PC, but it is almost impossible for me to check copyright. 
    If there seems to be trouble in posting, please point out via the administrator. I will promptly do the best.
    Thank you everyone, especially who registered for Pinterest. 
    I also appreciate IMDb, Associated Press, YouTube and moon-city-garbage-agency.
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大変ご無沙汰いたしました。何とか時間が自由に使える状況を迎えることが出来ました。 そして、2週間程かかりましたが、フィルム時代の映画技術編にたどり着きました。
技術編』と言っても、そんなに堅苦しいものではありません。私はこの道のプロではありませんからね。多くの映画を見て来て、私が不思議に感じたことや疑問に思ったことなど、スクリーンの裏側から解き明かしてみたいという好奇心から進めたものです。
皆さんが退屈しないよう、所どころに懐かしい映画のポスターなどを散りばめてみました。但し、ポスターの順番等には、特に意味はありません。では、どうぞお付き合い下さい。
 

【懐かしい70mm映画①】写真のクリックで拡大します。(2回目のクリックが標準の大きさです。)
 
・・・  今回の号に限らず、アンダーラインのある青色文字をクリックすると外部情報等へのリンクを貼ってありますのでご活用下さい。・・・
②Lawrence of Arabia +
今回は、懐かしいフィルム時代の映画・・・特に大画面用の70mmフィルムで公開された映画を中心にお話しします。中でもシネラマD150等、若い人たちにとっては経験したことのない巨大湾曲スクリーンへの映写! そして、そのための興味深い技術面での工夫などにも触れてみたいと思います。ところで『大画面用70mmフィルム』って何か変な言い方ですが、70mmというのは上映用フィルムの規格で、 スクリーンの大きさを表わす訳ではありませんから、 敢えてそんな表現をしてみました。このブログで『グランプリ』👈に触れた号へはクリックを!
 

Pictureville Cinema(UK)
】 ピクチャーヴィル・シネマ(英国)    
① Cinerama Screen & Cinemascope
300席ほどの小振りなシネラマ劇場ですが、科学技術や映画文化等の保護や保存を目指す活動の一環として、その存在価値は非常に高いと思っています。
人間と比較してもそれ程大きなスクリーンではありません。とは言え、湾曲スクリーンが指定の細いテープで作られているので、本格的なシネラマ上映への意欲が感じられます。
    (スクリーン部分に細かい縦じまが見えます。これについては後で触れることにします。)
スクリーン全景・・・元祖シネラマの他、 70mmのTodd-AOD-150Super-Cinerama も上映可能でしょう。(注:3台の映写機で上映するシネラマをここでは便宜上元祖シネラマ』としています。)
35mmのスタンダード版からワイドスクリーン版を上映するフラットスクリーンは、湾曲スクリーンの前に下りて来ます。 シネラマ・スクリーンとドレープ・カーテン ・・・  さらにフラットスクリーンがあっては音響面に支障が出るためスピーカー群も下りて来ます。
 このスピーカーは、Electro-VoiceTS9040D-LXのようです。こちらも趣味として興味のある部分です。細かいことが気になるのが…私の悪いクセなので・・・(笑)
ワイドスクリーン設置完了・・・音を通すための小さな穴が開いてますが見えませんね。
 
以上、 英国 国立科学・メディア博物館 (National Science and Media Museum) にあるピクチャーヴィル・シネマの説明でした。〔補足:1992年~1993年にかけてブラッドフォードのライブラリー・シアターは、シネラマから70mmと35mm、さらには4Kデジタルまで上映可能な劇場に改装されました。 現在、3台の映写機を同期させての元祖シネラマ上映が可能な劇場は、ここピクチャーヴィル・シネマと米国2館シネラマドーム (Cinerama Dome)シアトルシネラマ (Seattle Cinerama) の3館だけとなっています。〕
                                   【懐かしい70mm映画②】
 70mm D-150 Cinerama Posters
さて、今回のテーマのひとつ、半世紀以上も前の映画館の巨大スクリーンの登場は、テレビジョンの誕生とその家庭への普及に危機感を抱いた映画製作会社の対抗策として考えられたものでした。これは50年以上も前のことですから、若い方にはそんな理由は理解出来ないかも知れませんね。  IMAXを除けば、現在多くの映画館はそれ程大きなスクリーンを備えていない上、画面のアスペクト比(幅と高さの比)も、ハイビジョン(16 : 9)に近いビスタサイズがほとんど・・・これでは、映画館ならではの大画面で、しかも アスペクト比が2対1以上のスコープサイズの魅力が味わえません。 但し、大画面や横長のスコープサイズが、直接映画そのものの良否にかかわる要素でないことは言うまでもありませんね。
 

【D150用 多目的スクリーンでの画面比較】(参考:当時のスクリーン・システム営業用資料)
③D150用の多目的スクリーンでの画面比較 H552
上図は70mm "Dimension 150" 対応スクリーン・システムの使用で、フラットスクリーンやスピーカー群を別に揃える必要がない点 (多目的) が売りの昔々の営業資料の一部です。 
 

初期のシネラマは、同期させた3台のカメラで撮影した3本の35mmネガフィルムから焼き付けた3本の35mmポジフィルムを同期させた映写機3台で巨大湾曲スクリーンへ投影するものでした。  また、音響用にはさらにもう1本の35mmフィルムを7チャンネル磁気サウンドトラックとして使いました。かなり大規模ですね。
こういったことに加えて、このシステムでの映画製作は、使用レンズをはじめとした撮影上の制約も多く、制作費が高額となるばかりか劇場側の設備投資も大変なものでした。
そこに登場したのが、『D-150, Todd-AO, Panavision70』といった70mmフィルム1本での大画面映画や35mmフィルムのワイドスクリーン映画のシネマスコープです。 
 

【大画面:フィルム時代の上映方式例】シネラマ、Todd-AO、D-150、シネマスコープ等
⑤photos furnished by Joe Kelly of D150
 ①のスクリーンに70mm映写機からを中心角120度の円弧で投影、そのイメージはSuperCinerama(スーパーシネラマ)、Todd-AO、D-150等の上映が出来ました。
 (参考映像・・・ Smilebox Cinerama の2001年宇宙の旅』イントロです。) 
 ②35mmフィルムのワイド設定のため、スクリーン③の上部と両サイドにブラックマスクが現れます。  がその投影イメージです。 CinemaScope Panavision等、 35mm映写機にフィルムの横幅を2倍に拡大するアナモフィックレンズを装着して投影します。 
 ④・・・費用面やいろんな制約から消え去る運命を背負った3台の35mm映写機を使った本格的シネラマ (Cimerama)についての説明図です(※但し、リンクはSmilebox版です。)
 上映に際しては、3台の映写機やサウンド用フィルム、各画像の明度や繋がり調整などの複雑なコントロールを必要としましたが、観客にとって未経験のその大画面は大変魅力的でした。 その魅力は映写機3台がそれぞれ湾曲したスクリーンの3分の1の範囲を受け持ち、横に並んだ3つの画像の繋がりを滑らかにするため、中央画面の両端と左右の画面にわずかな重なりを設定し、人の視角に近い146度をカバーする大迫力にありました。
 しかも、巨大湾曲スクリーンの映像は目を見張るほど鮮明で明るい映像だったのです。
 その訳は、 普通の35mmフィルムの映画がパーフォレーション4個分の1フレーム毎秒24コマで投影するのに対して、パーフォレーション6個分を1フレームとし、これを毎秒26コマで投影する映写機を3台使用したことにありました。下の写真がそのイメージです。●John Mitchell提供シネラマフィルム映像 H700
※3本の35mmフィルムの映像をスクリーン上でひとつにつなぎ合わせます。 贅沢で良質な画像・・・納得出来ますね。
 右は大きさ比較用の35mmフィルム・・・再登場『砦の29人』(1966年制作)の画像を使いました。
※かつて私のアマチュア映画作りに協力してくれた友人(私の転勤で30年近く話も出来なかった)と先ごろ再会!
 40年も前に『砦の29人』はお気に入り ・・・ 音楽もいいよ、と私が言ったことを覚えていてくれたばかりか、砦の29人のDVDをプレゼントしてくれました。ハイビジョンで改めて見直しました。岐阜県可児市のKさん!どうも有難うございました。(^-^) 
 
  

この元祖シネラマ方式には、莫大な製作費等とは別に気になる欠点がありました。
それは、3枚の画面のつなぎ目がどうしても目立つことと、映像や音響が最も好ましい状態となるスウィートスポット(特別席)から外れるに従い画像が歪んで見えるということにありました。特に3つの画面を移動するものが不自然に見えるのは、大変気になる現象だったかと思います。
なお、 DVD化された元祖シネラマの映画はデジタル技術で補正されたこともあり、 視聴に支障がないものに仕上がっているようです。(デジタル技術での元祖シネラマの補正事例)
かつて、35mm版で『西部開拓史』を映画館で見た私・・・改めて見てみたい1本です。
西部開拓史の補正前と補正後の比較映像 補正後の西部開拓史の映像例です

【大画面:フィルム時代のスクリーン例】シネラマ、Todd-AO・・・工夫の数々
巨大なスクリーンへの投影には様々な困難が伴いました。特に、元祖シネラマのスクリーンには工夫が必要でした。中心角が150度の円弧ともなると、スクリーンに投射され観客側に向かうべき映像の明るさが、湾曲したスクリーンでは左右部分から相互に対向面を照らしてしまいます。これでは映像にかなりのダメージを与えます。明るい部屋ではプロジェクター画像が見にくくなるのと同じ現象です。
そこで、下の写真の通常の材質・形状を変えて、①②のような小さな穴の開いた幅2cm程のテープをルーバー状に張り、 光の反射がルーバーの裏側や客席に向くように調整しました。
そのため、客席からは見えないある角度では裏側が透けて見えます。
シルバースクリーンからシネラマの巨大湾曲スクリーンへの張替え作業をご覧下さい。
⑦Cinerama Screen 001-1
当初、70mm映写機1台での湾曲スクリーン使用を想定したTodd-AOやその改良型D-150も開発されましたが、120度程の広がりの映像が限界と判断されたのか、結果としてその後は120度までの湾曲スクリーンか大型フラットスクリーンを使ったワイド化の道に進むことになったようです。勿論、適正な補正をおこなえば、どちらへも上映出来たと思います。  
 

【シネマスコープ CinemaScope】 アナモフィックレンズの発明  Anamorphic Lens
一方では、 元祖シネラマ映画と平行するように、35mmでのワイドスクリーン映画が20世紀フォックスから発表(聖衣 The Robe : CinemaScope・・・BGMがスターウォーズ、これはご愛敬) されました。その後、日本の映画館もワイドスクリーン化が進みましたが、当初はステージ幅の制限から上部をブラックマスクで覆って横幅を確保するなど、かえって迫力のない映像になったり、サイドのマスクから画面がはみ出すことも多く、 四角くても天井高いっぱいに映る映画に馴染んでいた私(子供時代)にはいまひとつ不満もありました。(笑)
下の写真③⑥シネマスコープ作品です。

また、 シネマスコープ(CinemaScope) の上映は従前の35mm映写機に横幅を2倍に伸ばすアナモフィックレンズを装着すればワイドスクリーンに変身!.... でも問題もありました。
同じ映写機の光源を使って画面を拡大すると、当然ながら画面が暗くなります。  ほとんどフラットなスクリーン(若干の湾曲はあり)では、映写距離の伸びる両サイドで一層顕著になったでしょう。(かつて、映画館の映像を撮影したことのある私・・・経験済です。) (#^.^#)
アーク放電 (炭素棒) を利用した光源、その後登場したキセノンランプも改良され、光量増大も進みましたが、 大変な高熱を発生することから、さらなる光量増は困難でした。 フィルムが燃えたり溶けたりするのを避けた結果、昔の古い映画館では上映中の館内を真っ暗にして、暗い画面をカバーした!?・・・考え過ぎでしょうか?
現在の日本では、消防法等の厳しい規制によって誘導灯は勿論、転倒防止用に座席下の客席誘導灯も基準に従い常時点灯しています。(停電時も一定時間の点灯を規定しています。)

もうひとつの対応にスクリーンの表面加工がありました。(下図)   しかし、 汚れた時でも映画館側ではメンテナンスが出来ない等、本家米国の館主もこの設置を敬遠したようです。
スクリーンの表面加工・・・プロジェクターで映画等を鑑賞される方は、いろんな表面加工の製品を検討されたかと思います。(もう、使っていませんが、私も数種類のスクリーンを持っています。)

【懐かしい70mm映画③】そして、35mmのワイドスクリーン映画
⑥西部開拓史 聖衣 その他
西部開拓史は元祖シネラマによる上映もされましたが、その後、湾曲スクリーンへの上映は70mmフィルムによるシネラマ、多くはスーパー・シネラマ方式 (Super-Cinerama) やほぼ互換性のあるD-150での上映となりました。また、スクリーンで対向面への反射の影響を抑えること等から、最大でも120度までの円弧となり、フラットスクリーンでの上映を含め、アナモフィックを使わない70mm映画のほとんどは 2.2:1 のアスペクト比となりました。
なお、ワイド化にアナモフィックレンズを使う35mmでは、70mmオリジナル映像の天地を切り取り、2.35:1で上映されるのが一般的でした。
そして、 フィルムの性能向上により、 逆に35mmフィルムから70mmへのブローアップ版も多く上映されました。(掲載した映画のポスター下部のコメントには、オリジナルのネガフィルム情報等があります。)
 
   ※ なお、70mmの大作『80日間世界一周』(1957年日本公開)の記載を忘れていました! 私がこの映画を映画館で見たことがなかったこともありますが、別な理由もあったようです。 
この映画はTODD-AO 65mmネガ、
30コマ/秒で撮影されました。 これは初期の70mm映画で使われた規格ですから、日本での公開は出来なかったと思われます。そのため、日本ではアナモフィック・レンズ使用の35mm(24コマ/秒)プリントだけだったのでしょう。その後のことは分かりませんので、ご了承下さい。
 
【懐かしい70mm映画④】35mmネガフィルムで高画質70mm・・・スーパーテクニラマ
⑨2017.11.6⑧遠すぎた橋 スパルタカス H700
かつて、フィルム時代には70mm映画というだけで多くの観客が映画館に足を運びました。
上映経費が高額な70mm・・・それでも、当時は採算がとれるくらいの集客が出来ていたと思います。私がたまに見に行った時のほとんどが満員に近かったことを記憶していますので。

そして、70mm映画の製作費を抑える手法のひとつが35mmフィルムからの70mmへのブローアップでした。  軽量ながらも高性能な35mmカメラの機動性を活かして撮られた70mm映画、ポスター写真下に簡単な情報を載せました。これらの多くは、アナモフィックレンズを装着したパナビジョン (Panavision) カメラが多く使われ、テクニカラー・システムのプリントと共に70mm映画は、絶頂期を迎えていました。
そんな手法が使える改良を重ねた優秀なフィルムが出来る前は、当然ながら大型フィルムの画質が優っていました。そのような状況での発想の転換!・・・これを35mmフィルムで可能にしたのが、ビスタビジョンテクニラマTechniramaでの撮影システムでした。
(追記:ビスタビジョンで撮られた最初の映画は『ホワイト・クリスマス』White Christmas です。 2018年9月30日号では主演のビング・クロスビーやローズマリー・クルーニーに触れています。) 
 

フィルムカメラ時代を経験した方は、35mmのスティルカメラにライカ版とハーフサイズがあったことをご存知かも知れませんね。 35mm映画はハーフサイズで撮影されて、上映もハーフサイズでした。一方、ビスタビジョンテクニラマは35mmフィルムを横に走らせてライカ版として撮影し、これを縦走行に変換、35mmに縮小プリントしたり、元の映像の上下をトリミングして、縦走行の上映用70mmフィルムにプリントしました。
なお、スーパー・テクニラマウルトラ・パナビジョンでは、大判ネガの撮影機にアナモフィックレンズを取り付け、ここから70mmへのプリントで一層のワイド化も可能でした。
   (注:映画ポスター写真下部のコメントに、35mm (horizontal 横走行) neg (ネガ), とあるものがこれに該当、
           35mm (
anamorphic) neg, は縦走行の撮影で横幅が半分に圧縮されたもの・・・を意味しています。)

【懐かしい70mm映画⑤】VistaVision, CinemaScope 55, & 35mmのBlowup 70mm
④王様と私  etc
ビスタビジョンやテクニラマの撮影システムは、それまでの35mm映画のフィルムは縦走行という固定概念を脱却した撮影手法だったことは、前項でお話ししました。
そして、たびたび触れてきたように高性能フィルムが手に入るようになると、オリジナルのネガ35mm、上映は音響面も考慮した70mmの立体音響!という選択肢も出来ました。
しかし、多くの映画館は70mmの上映には対応しておらず、ましてや巨大湾曲スクリーンを備えたシネラマ劇場は大都市に限られ、日本国内でも数えるほどしかありませんでした。
元祖シネラマの新作が製作されなくなれば、 シネラマ用の巨大湾曲スクリーンを持つ劇場は、他館との差別化を図るためにも、多くの70mm作品をシネラマとして上映する必要があり、これは海外でも同様でした。勿論、ブローアップ70mm版の多くも、その対象となります。

『では、さっそく上映しよう!』・・・なんて簡単なことではなかったのです。 解決すべき技術的な課題がいくつかありました。
3台の35mm映写機で投影した元祖シネラマの湾曲画面(横幅は多少狭くなります。)に、 1台70mm映写機で投影すれば、シネマスコープでも触れたように画面が暗くなります。
勿論、70mmでのフラットスクリーンへの投影でも光量は重要な要素です。オーディオ趣味でいうダイナミックレンジは映像でも大切です。大きな音から小さな音まで・・・映像で言えば明るい画面と暗い画面、特に暗さの忠実な再現は、 時に映画にとって大変重要な映像表現のひとつです。光量が十分確保出来ない劇場では、暗闇のシーンは見えにくくなるばかりか闇にかき消されてしまいます。嘘のような本当の話として、昔、光量が十分でない劇場での白黒映画の上映用に、ポジを淡く仕上げて配給するなんてこともありました。コントラストやグラデーションの低い映像・・・これでは、映画を楽しめません。(下は参考画像です。)
逆さ虹(環天頂アーク) 2013
自宅近くで撮った『逆さ虹』の映像を使って加工しました。 どの画像が良いかということではありません。 映像表現にどの部分を重視するかによって、どれがより適しているか・・・という視点です。①のように淡いフィルムでは、映像にメリハリがありません。光量不足の③は暗部が表現できません。仮に、柵の向こうに猫がいたら①②では見えるかも知れませんね。
猫が不要なら③は迫力があると感じるかも知れません。画像の明暗・濃淡の参考でした。
【参考:CGでの画像修正例等をE.T.の1982年オリジナル版と20周年記念2002年版で比べてみましょう。
 なお、自転車での逃走を阻止する警官隊・・・子供相手に銃を構えるなんて!というオリジナル版への批判に
 対応するため、高額な費用をかけたCGで銃を無線機に替えています。その他にも注目してご覧下さい。】

明るい画面のためとは言え、高熱を発する光源の増強は、ランプハウス等の冷却システムを強化出来たとしても、直接フィルムへ照射される熱でのダメージはゼロではありません。
フィルムが焼き付いたり溶けたり・・・これは初歩的な問題ですからフィルムのパーフォレーション等の損傷を事前にチェックすることで、映写機の空転は回避が可能でしょう。でも、光源の強化だけではフィルムへの熱量が増加・・・心配です。

それ以前からも映像の明るさ向上への工夫は、35mm・70mm共に映写機側の改良がなされて来ました。ここでも発想の転換がありました。いずれの映写機でも1秒間に24コマを間欠的に投影することは、このブログでも触れて来ました。(但し、元祖シネラマは毎秒26コマ、当初の70mmは毎秒30コマでした。その後、70mmは毎秒24コマが標準となりました。)
そこで、考えられた工夫とは・・・ 1コマの画像が停止している間の光量を増やしてはどうか、 また、照射量が増えれば、その熱でフィルムが反ったりするが・・・等の問題点を検討し、その対策が講じられました。(下図:http://graumanschinese.org/projection-2.html 提供)
●明るい映像への工夫 DP70のシングルブレードシャッター
照射量増加によるフィルムへの熱 ・・・  これは、一層高速となった回転するブレードに送風機の役割を持たせて、冷気をフィルムに吹き付けるような工夫もなされました。
これらの動画は "graumanschinese.org" にあります。当初上図 改良後35mm上図 改良後70mm上図

さあ、これで巨大湾曲スクリーンで70mmの大作が鑑賞出来る! いいえ、まだ確認する項目があります。スクリーンと映写室の位置関係が大変重要なんです。 
世界中の多くの映画館では、映写室の位置が画面中心から上にずれていました。仮にあなたが特別席に座って、スクリーンの左右上下の中心辺りと向かい合っているとしても、かなり上の映写室から投影された映像を見ることになるかも知れません。湾曲したスクリーンでも高さは概ね同じですが、このブログの写真でも分かるように、いかにもシネラマらしく中央に向かって滑らかに上下が縮んで見えます。美術の授業で学んだ透視図法そのものですね。

これは簡単に実感することが出来るのでやってみましょう。チラシなど長方形の紙の両端を持って湾曲させ、顔の前で近づけたり遠ざけたりしてみて下さい。同じ高さの紙がシネラマ画面になります。私たちは高さが同じと分かっているので、小さく見えるのは遠くだから、大きく見えるのは近くだからと判断します。しかし、映写機のレンズを通して放たれた光線はスクリーンに向かって広がって行きます。 上下が縮んだように見える中央部への映像も、遠慮なく拡大していくため、中央辺りでは上下がスクリーンからはみ出てしまうのです。
映画館によって、映写機からスクリーンまでの距離や映写角度が異なるため、それぞれ個別に対応することは大変です。この現象を少しでも抑えるために、特別なアパーチャマスクや特殊な補正レンズを貸し出すほか、フィルム自体に補正を施すことも必要でした。

8mm映画から入った私の映画趣味・・・家庭では操作面から背丈を超える高さからの映写は現実的ではなく、私の場合、概ねスクリーン中心部の高さに合わせて映写していました。
シフト機能等、いろんな調整が出来る現在の液晶プロジェクターと違い、8mm映写機本体には前脚の上下、ズームとフォーカスの調整以外出来ないため、これが最良となります。
(その雰囲気が少し分かる写真がこのブログにあります。    ’16/2/27の2枚目のオーディオ室写真 右端のキャスター付映写機専用台を中央に移動させて映写していました。)

【 湾曲スクリーン上での投影映像の変形 】補正・・・悪戦苦闘
これらの画像、スクリーンの湾曲具合がよく分かるものを選びました。スクリーンの高さは同じなのに、湾曲させることで一層奥行き感が表現出来そうですね。
では、この項のテーマについてのお話を進めていきます。説明用の写真のひとつはTodd-AOで撮影された70mm作品『サウンド・オブ・ミュージック』(フラットスクリーン)の画像を使って、私が作成したもので、実際のフィルムとは違う点をあらかじめご承知下さい。
⑬2017.11.6●※todd-ao-portugal H700-1
多くの劇場は、客席後方の上部に映写室を備えていました。そのため、フラットスクリーンに投影する映像は台形状に下部が拡大します。これは、スクリーン自体を後方に傾斜させることである程度の補正が可能なため、中小規模の映画館の多くのがこの方法を採用していたようです。目の錯覚もあり、慣れれば正常に感じるようになっていたのでしょうね。
しかし、映像がスクリーンからはみ出したり、逆に映っていなければ・・・ もはや錯覚に期待出来るレベルではありません。(以下、 光学レンズ関係には触れないで分かりやすい説明だけにします。)

(写真中央)は、理想的あるいは許容範囲の映写角度でフラットスクリーンへ投射した時のイメージです。 65mmフィルムのネガから70mm上映用フィルムに密着プリントが可能で光学的に最も無理のない方法です。 球面レンズ(Spherical Lens) を使用する最も一般的な70mm映画の上映方法で、おそらく皆さんの多くがご覧になった形式です。

湾曲スクリーン正面からの投影イメージで、正にシネラマ、Todd-AO、D-150を最良な状態で上映出来ます。しかし、①のフィルムをそのまま映写するだけでは不満が残ります。
それは、シネラマの欠点で触れたように、中央辺りの上下部分が切り取られてしまうことと、 スウィートスポット(特別席)から外れるに従い画像が歪んで見えるということです。(改めて私が作った画像を見て下さい。)
①と②を比べると、画像全体の構図は同じなのに、②では両端(バスケットにご注目!)に向かって画像がやや縮まっていることが分かると思います。
斜めから投影された映像は、スウィートスポット以外の席の対向面では伸びて見えます。
また、左右に移動するものは、この部分で速度が一瞬上がって見えます。 そこで、最終的な補正として、スウィートスポットとのバランスも考慮してこの形を設定したようです。
但し、ここでは投影した映像の歪みのイメージを説明することが目的のため、映写機のレンズ等での補正機能が必要としても、説明は割愛させて頂きます。
 映写機のアパーチャマスクは、おおよそこのイメージ画像の形だったようです。

の補正はとんでもないものです。説明のために6枚の画像を用意しました。  説明用とは言え、作成には苦労しました。(笑) また、ここでも光学系レンズ等での補正は省きます。
 特許を取った複雑な補正方法・・・とても私では説明しきれませんので、ご了承下さい。


かつて、 70mmを上映してきた世界中の大劇場でも、 その多くの映写室はかなり上方に設置されていたようです。そのため極端な場合、 フィルム①をスクリーンの両サイドに合わせて投影すると映像の中央上部はスクリーンの上部まで届かず、下部はスクリーンをはみ出してステージの床に投影されてしまいます。③の補正は、その逆のプリントを作り、スクリーン上で補正しようというものです。両サイドの圧縮は必要だったと思われますが、 フィルム前のアパーチャマスク・・・どんなものだったのか、見てみたいです。
 そして、これでうまく投影出来たのでしょうか? なんだか気になります。映画館では、映写レンズ等の工夫や苦労話なんて、一度も聞いたことがありませんでしたが・・・。 
 なお、②③ともイメージ画像は説明用のため誇張気味ですので、ご承知下さいね。
※どうしても特許の内容を知りたい方のために、発明者 : ブライアン・オブライエン博士の特許PDFと光学系の補正にも触れた新たな湾曲スクリーンへのアイデア in70mm.comから "Compound Curve Multi-format Screen Design: Ideas and Concepts" をご紹介しておきます。

70mm映写室の様子
下の写真では映写機の設置角度から、かなり下方にスクリーンがあるのが分かります。
●Projection rooms H500
35mm・70mm兼用映写機プラッターシステムの説明はジュリー・アンドリュースⅡの中ほどで触れていますので、参考にご覧下さい。
いろんな工夫があったことで、皆さんが大画面の映画を楽しむことが出来たのでしょう。
こんな問題を解決するのが仕事だったら ・・・大変だったでしょうね。ここでもプロでなくてよかったと、つくづく思っています。それにしても、技術者ってすごい!ですね。
 
【懐かしい70mm映画⑥】Todd-AO, Panavision 70,  驚きのBlow-up 風と共に去りぬ
 posters
これらも、いろんなバージョンで上映された作品ですが、特に『風と共に去りぬ』は1939年の作品・・・何と戦前に製作された映画です。日本では、映画は白黒が当たり前の時代に(日本での最初の長編カラー作品は、1951年にフジカラーで撮られました。) 米国ではこんな超大作がカラーで作られていたのは驚くべきことでした。戦後生まれの私、当然ながらリバイバルを70mmの大画面で見ました。35mmフィルムから70mmへのブローアップ ・・・ この手法はリバイバル上映の時期 (1967年頃)には特別なものではありませんでした。
しかし、これが一般的には退色が進んだと思われる戦前 ・・・ 1939年のネガから作成されたとは思えない驚きの映像でした。テクニカラーの優秀さを実感した映画のひとつです。
※「風と共に去りぬ」は、3本フィルムカメラ(Technicolor Three-strip camera) で撮られました。 光の三原色の各フィルター(赤・緑・青)を通過した光を3本のモノクロ・ネガフィルムに同時に記録するもので、ネガカラーフィルムに比べても劣化が少ないため、その後のテクニカラー・ダイ・トランスファー・プリントの製作での色彩の微妙な調整も可能で、美しい画像を永く残せました。
⑯2017.11.6●映画専門誌のひとつ H1000
テクニカラーシステムは上映用プリント作成のため、 3本のネガからマトリックスフィルムを作成するなど高額で、
他社から以前より格段に改良されたカラーフィルムが提供され始めると、1970年前後から使用が減少し、やがて使用されなく
なりました。
なお、当初は撮影に3本の三原色に撮り分けするモノクロームフィルムを使用していましたが、撮影時のコスト削減や機動性
を重視し、撮影はイーストマンカラー等の1本の多層式発色フィルムを使い、その後にテクニカラーシステムの三原色の3本
のマトリックスフィルムを作り、これにそれぞれの補色の染料を吸着させ、ポジフィルムに印刷するように転写するものでした。)
さらに、米国映画界では得意分野のマルチトラックへの音響の見直しを含めて、古さを感じさせないものでした。でも、ワイド化のために画面の上下で40%がカットされたこの映画、映画館で元の状態(デジタル修復後でも勿論OK)のままを見たいと思っています。

【懐かしい70mm映画⑦】
●※海底世界一周 H700
今回掲載したポスターの70mm映画には、35mmでのワイドや70mmフラットスクリーンでの標準的な上映の他、スーパーシネラマ、D-150などで公開されたものがあります。
前項の風と共に去りぬも、ある時はスタンダード、ある時は球面レンズでの標準的な70mmワイド上映、また、ある時は70mmD-150などのバリエーションがあったようです。このことは、当時の映画館の広告表示がそのようになっていましたので・・・。

また、ごく最近 (2015年) 、キル・ビルのクエンティン・タランティーノ監督によって70mmでヘイトフル・エイト(The Hateful Eight)が制作されました。 この撮影は65mmネガを使うウルトラ・パナビジョンだったのです。そんなカメラがまだ使えたことにも驚きましたが、あのタランティーノ監督の70mmフィルムでの上映へのこだわりと、これを実現した熱意に対して、驚きを超えた敬意を払いたいと思います。

もうひとつ、IMAXとPanavision カメラで65mmフィルムを使用し、一部が70mmフィルムで公開されたダンケルク Dunkirk (2017年)、これは今年のことなんですね。 
監督はバットマン新シリーズ『バットマン・ビギンズ』『ダークナイト』のクリストファー・ノーランです。 日本国内では、ごく一部の劇場で35mmフィルムで上映されたようですが、大型フィルムでの制作にこだわったノーラン監督には、IMAXの大画面は別としても、少々残念な劇場環境かも知れませんね。
そう言えば、この映画で使われた大型フィルムの撮影機にはハッセルブラッドやMAMIYAのレンズも装着されたようです。 大型フィルム時代を経験した私には、どちらもお馴染みの製品ですから・・・・やはり懐かしい。

【懐かしい70mm映画⑧ そして、最新の70mmフィルム映画2本】
⑱2017.11.6●※Song of Norway H700 1970
現在のデジタル・シネマは解像度や色彩等の映像面での向上は言うまでもなく、音響面でもかつてのフィルム映画館の音響を超えるようになっているかも知れませんね。でも、音響面での評価は映像の比較のように、そう簡単ではない!?・・・ そうです。このブログでも度々お話して来ましたが、良いソフトと立派な装置があっても、それだけでは必ずしも良い音や音場で再生できるとは限らないのです。  オーディオ関係に興味のある方は、このブログの『オーディオ趣味編をお訪ね下さい。ブログのPRです。(笑)

ところで、1970年以降、映画館の入場者数はほとんど増えていません。テレビの普及や高画質化、さらには娯楽の多様化が進む中、自宅で簡単に映画鑑賞が出来るレンタルビデオ・・・等々、これに対抗する映画館のあり方も変化して来ました。大劇場は改装や建て替えで、複数のスクリーンを持つシネコンへと移行しています。  良い映画を大勢の人に見てもらいたいのは、私の願いでもあり大歓迎です。良い映画は・・・フィルムとかデジタルとかに関係なく楽しめると思えるようになって来ました。 そして、入れ替え制でなければ、少々追加料金を払ってでも丸1日見ていたいですね。

【昔の映画の割引券】・・・お陰でお気に入りの映画を何度も見ることが出来ました。
●※映画割引券 H700
今回は、懐かしいフィルム映画、特に70mmを中心にお話して来ました。長いお話にお付き合い頂きまして、どうも有難うございました。
なお、 このブログにはシネラマ映画70mm映写について少し触れた号もあります。
をクリックすればその号に飛びますので、どうぞお訪ね下さい。
〔 70mm映画35mmから70mmへのブローアップ映画👈)へもどうぞ。〕 
 
また、近いうちにオーディオ趣味続編・・・そうでした、 ハイレゾにも触れたお話をしようと思っています。今回もご来訪頂き有難うございました。

(お断り:シネラマやD150用のスクリーンを備えた劇場は、今や海外でもほとんどなくなり、日本には1館もないと思います。そのため、説明用の写真等の著作権などの確認も困難で、万一にも本ブログへの掲載に支障があるようでしたら、管理者経由で
ご指摘下さい。速やかに善処させて頂きます。)
謝意:この項目をはじめワイドスクリーン関連の画像等は、以下の情報を参考にさせて頂きました。お礼を申し上げます。

  http://www.widescreenmuseum.com/ ,   http://www.imdb.com ,   cinematreasures.org,   IN70MM.COM ,                  Graumanschinese.org ,   http://home.earthlink.net/~stevekraus/cinerama.html,   http://incinerama.com ,  
  https://www.scienceandmediamuseum.org.uk/cinema , 
  http://www.film-tech.com/warehouse/index.php?category=3 ,  cinematheaters ,
なお、日本語の丁寧な説明で分かりやすいサイトもあります。→ http://www.tok2.com/home/rionawide/index.html

Notice : Currently, theaters with screens for Cinerama and D150 are almost gone in the world, and I think that there is not one in Japan, so it is difficult to check the copyright of explanatory pictures and so on to this blog.  If there seems to be trouble in posting, please point out via the administrator.  I will promptly do the best.
Acknowledgments: For the widescreen-related images etc., I referred to these information above. 
I would like to say thank you very much.
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【ジュリー・アンドリュース  Julie Andrews の魅力】
※ Julie Andrews and Dog H702

前回は、10代初め頃には生まれ故郷で英国BBC放送(日本のNHKに相当する公共放送局)のレギュラー番組への出演、米国では歌やダンスが欠かせないブロードウェイ・ミュージカル、また、歌も踊りもないヒッチコック監督のスリラー映画にも出演・・・等のお話でしたね。
確かに、彼女には観客を楽しませる才能があると思います。笑いをとるコメディも大丈夫という印象を私が持ったのも、いろんな出演作で見せる彼女の表情や動きに、演技以上の何かを感じていたからです。 おそらくそれは、演技は勿論、歌やダンスへの努力の積み重ねによる自信に裏打ちされた彼女の心の余裕から生まれるものなのでしょう。そして、その基礎となったのが、観客の反応が即座に判るブロードウェイでの長い経験だと思います。

では、ジュリー・アンドリュースの一面って・・・コメディエンヌ!? まずは証拠のひとつをご覧下さい。 一人三役のバラエティ番組・・・かなり昔の映像で不鮮明ですが、この際、画質や音質には目をつむって・・・おっと、耳もつむって、そんなジュリーをお楽しみ下さい。

卑怯者の勲章 The Americanization of Emily (アーサー・ヒラー監督 1964年 MGM映画)
※ The-Americanization-of-Emily 卑怯者の勲章 H700
卑怯者の勲章は、第二次世界大戦も終わりに近くなったノルマンディ上陸作戦で、無意味で危険な任務を命ぜられたことで起こる戦争ラブコメディです。(ジェームズ・ガーナー主演)
戦争が怖くて嫌でたまらず、危険が少ない任務を求める臆病なアメリカ海軍士官 マディソン少佐役のガーナーと名誉や伝統を重視する英国軍人 エミリー役のアンドリュース、彼女は彼の臆病なところがどうにも気に入りません。 まるで異なる価値観を持つ二人!   しかし、そんなマディソンの人柄に惹かれはじめるエミリー。そこに、マディソンへのとんでもない任務が! そして、銃弾の飛び交うノルマンディの戦場で足を取られてバッタリと倒れ込んだのを "勇敢な戦死"とされ、軍隊の広報活動によって英雄に祭り上げられてしまった。
マディソン自身は自分をドイツ軍の砲火に怯え、逃げ出したことで命拾いした卑怯者と恥じている。これに耐えかねて事実を公にしようとするマディソン少佐(チャーリー)、一方、マディソンを愛してしまった名誉と栄光を重んじるエミリー・・・この後、どうする?
 (※ 私のコメントは、以前にもお伝えしたように映画のあらすじを述べるものではありませんので、ご承知下さいね。)
エンディングについては、映画を見てもらいたいので言わないでおきます。 ヒントは、原題の"The Americanization of Emily"・・・エミリーのアメリカ化。 エンディングは意表を突いたものでしたが、皮肉を込めた反戦映画と言われたこの映画が、由緒ある賞にノミネートされたのもうなづけます。でも、コメディ!として分類されているんですよね。

それと、もうひとつご紹介したいのが、この映画の挿入歌でジャズ・スタンダードの名曲となっているエミリー Emily(ジョニー・マンデル Johnny Mandel 作曲)です
フランク・シナトラはじめ多くの歌手やジャズ・ミュージシャンが取り上げていますが、ここでは映画のシーンを織り込み、ジャック・ジョーンズでお聴き下さい。(※ジョニー・マンデルは同年公開の『いそしぎ』 The Shadow of Your Smile の作曲者で、アーサー・ヒラーは『ある愛の詩』の監督です。)

また、この映画はジュリー・アンドリュースにとって、唯一の白黒映画です。そして、この映画で共演したジェームズ・ガーナーも彼女同様、この作品がお気に入りだと話し、その後、二人は映画版『ビクター/ビクトリア』Victor Victoria (1982年 MGM映画)とテレビ映画の『One Special Night』(1999年放映)で共演していることは前回でも触れました。
なお、前年1963年に公開された『大脱走』でジェームズ・ガーナーと共演したジェームズ・コバーンも同僚士官として出演しています。(コバーンと一緒のノルマンディー上陸シーンの撮影中、ガーナーは肋骨を2本折っていますが、不幸中の幸いにもその日が撮影最終日! でも、そのお陰で治療に専念できたのかは・・・?です。)

モダン・ミリー Thoroughly Modern Millie (ジョージ・ロイ・ヒル監督 ユニバーサル映画 1967
※ 1967 julie-andrews-thoroughly-modern-millie 001
これは、ストーリー無視で楽しめるミュージカル! ジュリー・アンドリュースダンス、それに1920年代のモダンな彼女の衣装も見ものです。(※ダンスと衣装・・・メイキング映像です。)
この時代は "Roaring Twenties" (狂乱の20年代)と言われ、1929年ウォール街の大暴落までの活気ある時期でした。田舎から憧れのニューヨークに出て来た、やる気満々のミリーを中心に繰り広げられるドタバタのミュージカル・・・明るく元気な女の子が、さらに徹底的にモダンガールに変わっていきます。メリー・ポピンズやサウンド・オブ・ミュージックのジュリーとは、また違った魅力があります。その一部を写真で紹介しますので、是非DVDで見て下さいね。なお、監督のジョージ・ロイ・ヒルとは、前年公開の『ハワイ』でも一緒に仕事をしています。 そして、ヒル監督と言えば『明日に向かって撃て!(1969年公開)』『スティング(1973年公開』『華麗なるヒコーキ野郎(1975年公開)』などの作品で有名ですね。 (※石原裕次郎が出演したのは『素晴らしきヒコーキ野郎』ですから、お間違え無きように(笑)。)
※ Thoroughly modern millie  ②-1
※『モダン・ミリーは米国の一部劇場では6チャンネル・ステレオ音響の70mmフィルムで上映されました。撮影が35mmネガフィルム!ということは・・・当時、ミュージカル映画等を本格的な立体音響で上映する手法とつとして、35mmから70mmポジ・フィルムにブロー・アップ(拡大プリント)して6本のサウンドトラックを確保したのです。また、35mm映写機の劇場用には、光学式モノラル付き磁気式4チャンネル・ステレオのプリントがリリースされました。磁気再生機器に、万一トラブルが発生した場合でも取り敢えず音は出せますね。(笑) その後、音響はドルビーシステム、さらにデジタル化!もう70mmでなくも・・・。
撮影時に、65mm大型ネガフィルムを使った『サウンド・オブ・ミュージックとブローアップの70mm版の『モダン・ミリー、あるいは、35mmのリリースフィルム同士であっても、70mmからの縮小版と35mmで撮影されたものとでは、画質に差が出たかと思います。一般的には前者が有利です。(モダン・ミリーが日本で70mm版で上映されたかは、当方に資料がないため不明。)
 
【映写室・・・懐かしいフィルム映写機あれこれ35mm・70mmフィルム・・・ちょっと長い道草をします。
35mm版と比べ、高額な70mmプリント・・・ロードショーが終われば、日本に限らずその後は特別の事情がない限り、元々70mmの旧作品も35mm版で上映することが多かったようです。
観客数増大を図るためとは言え、70mmと35mmの映写機をそれぞれ揃えるのは、設備費や設置スペースの点でも大変ということから、フィルム走行部分の部品交換で両方のフィルムが扱える映写機もありました。しかし、映写技師さんの35mm/70mm切り換えやフィルムセットの作業は、実際に横で見ていた私には冷や汗ものでした。その理由・・・その日の映画は70mmと35mmの2本立てだったからです。わずかな時間での作業!次の映画を予定通りスタート出来るのかしらと・・・初めて見る複雑な作業の先が見えない素人の私が持った不安は分かりますよね。 でも、さすがに映写技師さんはプロ! 何事もなかったかのように次の映画が始まりました。
※その時の映画はスティーブン・スピルバーク監督の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(Indiana Jones and the Temple of
Doom) 35mmネガから70mmへのブローアップ・プリント、そして、もう1本がスポックを演じるレナード・ニモイ初監督作品『スタートレックⅢ ミスター・スポックを探せ!』(Star Trek Ⅲ: The Search for Spok) 35mmでの上映でした。 (1984年)

それから数年の間に、フィルムセットの回数を減らすため、数巻をつないだ長尺のリールをセットしたり、最終的には映画1本を全部つないで、円盤状のテーブルからフィルムを送り出し、映写後は別の円盤に巻き取る等の改善がなされて来ました。フィルム時代に映画三昧の映写技師っていい仕事ですね、なんて言おうものなら苦笑いしながら否定されましたが、何でもボタンひとつのデジタルの時代・・・今では映写室も様変わりしたでしょうね。最新のデジタル映画館の映写室・・・残念ながら私はまだ見ていません。

【少しの間、 フィルム映画時代の技術のお話しをします。】・・・興味のある方はどうぞ。
※①H700 Phillips-DP70-dual-gauge-35&70mm-projector
左端は35mm版『大地震』(センサラウンド再生)上映前の映写機(私が撮った写真です。) 当時は、それぞれ1巻のフィルムをセットした2台の映写機を交互にに切り換えて上映しました。セットしたフィルムが終わりに近づくと、スクリーン上に現れる映写機切り換えの目印を合図に手動で切り替えていましたが、その後ほとんどの映画館で、Changeover Systemという自動切換装置を使うようになりました。なお、大地震の音響効果センサラウンドの概要本ブログ 2016年3月19に少々述べています。
  

と同じ標準的なリールの映写機。 はフィルム・セットや映写機の切り換え回数を激減させた大型リールを追加装備した映写機。標準リールのカバーも残っています。但し、リールの大小にかかわらず、1巻が終了するたびに巻き戻し作業が必要です。また、こんな巨大リールに巻いたフィルム・・・映写機にセットするのは専用のリフターを使えますが、配給会社にこのままでは返却出来ないかと思います。(笑) 数巻のフィルムを1本に繋くごとで上映時が楽になる代わりに、映写技師は上映前にフィルムを繋ぐ作業と上映期間終了時にこれを切り離して元通りにする作業が必要になります。

はひとつの映画を丸ごと1本につないで、しかも巻き戻し不要のプラッター・システムを使った映写機です。 シネコンのような同じ建物内では、1本のフィルムで同じ映画を複数のスクリーンに上映することも可能でした。フィルムが次の映写機に届くまでに多少の時間差はあるものの、大きな劇場での収容人員分を小規模でも複数劇場で同時上映することで確保できますね。
この手法が日本でどの程度利用されたかは知りませんが、フィルム時代の技術面からのお話としてお聞き下さい。
⑥⑨は、1台で35mmと70mmの両方のフィルムを映写できるフィリップスDP70です。 は本機のマニュアルの一部で、光学式サウンドトラック35mmフィルムのセットを
破線- - - - 、磁気式のフィルムを実線で表しています。 従って、では35mm光学式のフィルムがセットされていることも分かります。

の上段の35mmフィルムはチャールトン・ヘストン主演の『十戒』、下の70mmフィルムはオードリー・ヘップバーン主演の『マイ・フェア・レディ』がプラッター・システムにセットされています。そして、70mmが先に上映されることも分かります。
このシステムでは、内側からフィルムを引き出して映写機に送り、映写されたフィルムは別の円盤の中心部に巻き取られるため、従前のような巻き戻しは必要ありません。 上映中は、どちらの円盤もフィルムの速度に合わせてゆっくり回転(巻き取り側には張力に滑り機能を持たせてフィルムの損傷を防止)しています。昔のカーステレオやカラオケで使われていた8トラック・カートリッジのエンドレステープを思い浮かべた人! かなりご高齢ですね!?  エンドレスかどうかは別にして、発想は同じです。よく考えたものですね。えらい!
そして、デジタル化された映画館では、
そういった機器どころかフィルムも不要となりました。 映像や音響等のデータさえやり取り出来れば、同じ建物内のシネコンは勿論、隣り町の映画館でも同時上映が出来ますね。・・・そうか、将来、自宅の再生機器にデータを送ってもらえれば、小規模な映画館になりますね。 エッ? 何を今さらって? デジタル放送やインターネットでの映画配信、前からやってる? な~んだ! もう現実なんだ !!  これからもっと、しかも一気に進歩するでしょう。
(※テレビの映画劇場・・・勿論有難いですが、ノーカット版でなければ、やはり不満が残りますね。2時間を超える映画がCM付でほぼ2時間に収まってる多くの民放地上波デジタル放送・・・一体どこをカットしたんだ? ディレクタース・カットなら許せるけれど・・・と言いたい映画ファンの私です。) 

スター!  STAR!】(ロバート・ワイズ監督 1968年公開 20世紀フォックス映画)
※H700  Star Julie for net
この映画でジュリー・アンドリュースが、サウンド・オブ・ミュージックで一緒に仕事をしたロバート・ワイズ監督と、再び楽しいミュージカルに取り組んだことは嬉しいですね。
しかも、撮影は前作同様、65mmネガ・フィルムを使うTodd-AOシステム・・・そして、上映は70mm6トラック立体音響! 但し、70mmが上映が出来ない映画館には35mm版をリリース、というのは、他に選択肢がないので当然ですが。
ロバート・ワイズ監督にはウエスト・サイド・ストーリー (1961年):撮影はSuper Panvision 70 (ネガは65mm)での70mm映画砲艦サンパブロ(1966年):撮影は35mmネガのスコープサイズから上映用70mmにブローアップ、同じくブロー・アップ70mmのスター・トレック(1979年)といった作品があります。

また、スター!には、おそらく皆さんもご存じの『ランボー』シリーズで、シルベスター・スタローン扮するランボーの元上官トラウトマン大佐役のリチャード・クレンナ Richard Crenna も出ています。
私の映画鑑賞は、こういった共演者側から俳優たちの繋がりを見ていくのも楽しみのひとつです。ランボーの1作目で、ランボーに好意的な(憧れに近い)感情を持つ地元警察の若い警官ミッチ・・・テレビのCSI:マイアミホレイショ警部補役のデビッド・カルーソ・・・なんて感じです。 但し、それも2回、3回と見ないと気付かないこともあり、これが出来ない入れ替え制が、私の映画鑑賞の大きなネックとなっています。欲張りですからね。(笑)

【ジュリーって、ほんとに楽しく面白い!】Julie is really funny.
※Julie is really funny H700
  ※いろんな場面から切り取ったジュリーの踊り・・・まったく違う曲に差し替えたイタズラが見事にシンクロ!
  アバ ABBA ダンシング・クイーン Dancing Queen ジュリーのダンでどうぞ!

さて、コメディも大丈夫なジュリー・アンドリュース、そしてコメディ映画と言えば、忘れてならないのがブレイク・エドワーズ監督 ・・・ジュリーの旦那さんです。
前回少し触れましたが、ブレイク・エドワーズ監督はジュリーと1969年に結婚(二人ともに再婚)、彼の死が二人を別つまでの41年間、ハリウッド映画界のベストカップルと言われていました。それまでのジュリーのコメディエンヌぶり・・・と、ブレイク・エドワーズ監督の抱腹絶倒の映画の数々、きっと運命の出会いだったのでしょうね。
ジュリーにとって、ブレイク・エドワーズ監督作品への最初の出演は、映画の製作中に結婚したことから『暁の出撃』(1970年公開)となりました。
なお、音楽について・・・ 以下の映画の音楽は、すべてヘンリー・マンシーニが担当しました。本当にいい曲を書きますね。そして、監督ともいいコンビでしたね。

暁の出撃 Darling Lili】(ブレイク・エドワーズ監督 1970年公開 パラマウント映画)
※H700 Darling-Lili-Blake Edwards for net
この映画は興行的にうまくいきませんでしたが、ヘンリー・マンシーニの音楽等、素晴らしいものがたくさんありました。中でもジュリーが歌う主題歌 "Whistling Away The Dark"
(邦題:暗闇にさようなら
は、私のお気に入りの一曲です。
ところで、『暗闇にさようなら』の映像・・・意識しないと気付かないかも知れませんが、このシーンは、一曲分がそっくりそのまま連続した映像として撮影されました。即ち、歌の初めから終わりまで編集が不要だったのです。 舞台上のジュリーの動きを捉えるカメラや照明は勿論、すべてに入念なリハーサルが行われたことがうかがえます。
通常、歌のシーンでは、途中で何回も画面が切り替わります。これは数台のカメラを使って撮影したフィルムから、アップや動きを捉えた引きの部分を必要に応じて編集したり、(テレビの歌番組では、歌手の表情や全体の雰囲気を伝えたり、映像にメリハリを付けるため頻繁に使われますね。)また、狙ったイメージごとに細かく分けて撮影し、歌の進行に同期させて滑らかで自然な流れになるように編集します。 しかし、ここではスポットライトに浮かぶジュリー、シルエット、アップと引き・・・これらを一度に、しかも見事な映像として撮影した例としてご紹介しました。
(撮影監督はラッセル・ハーラン Russell Harlan です。)  勿論、ブロードウェイで培ったジュリーの歌と踊りがあったからこそ、美しい流れの素敵な映像に仕上がったのです。

【この映画がヒットしなかった理由のひとつを私はこう思っています。サウンド・オブ・ミュージックは、当時の時代背景から全体として、ドイツに敵対するスタンスで描かれました。一方、この映画、時代背景は同じでも、ジュリーはドイツ側のスパイ! 
しかも、
ジャイアンツ Giant(エリザベス・テイラー、ジェームス・ディーン出演 、監督の
ジョージ・スティーブンソンはこの映画でアカデミー賞監督賞を受賞 1956年公開)等で、誇り高い人間像が定着していたロック・ハドソンを欺く、といった流れがジュリーのイメージと繋がらなかったのでは・・・。(この点はチャールズ・ブロンソンのウェスタンでヘンリー・フォンダの悪役への起用に通じるかも知れませんね。) 前号で触れたヒッチコック監督のスパイアクション引き裂かれたカーテン(同年のユニバーサル・ピクチャーズでは稼ぎ頭の作品)のように、冷戦時代のスパイ活動に巻き込まれてしまったジュリーとは、かなり異なります。勿論、ジュリーの歌や踊りは、ストーリー展開と切り離してそれ自体が楽しめますよ。
では、ブレイク・エドワーズ監督の作品をもう少しご紹介しましょう。

ビクター/ビクトリア  Victor Victoria】(ブレイク・エドワーズ監督 1982年公開 MGM映画)
※ H700Victor Victoria for net julie-andrews--
写真でもお分かりのように、ジュリーは男性のビクターと女性ビクトリアを演じています。これがこのミュージカルの面白さで、映画版では気の合うジェームズ・ガーナーと二度目の共演です。ひょうきんな二人が揃って、しかもジュリーの旦那さんブレイク・エドワーズが監督・・・やはりコメディの傑作になりました。 それに、ロバート・プレストンも加わった本当におかしくて楽しい映画! とにかく見てみましょうか!? 
    参考までに当時のポスターのキャッチコピーはこんなでした。(笑)
『ゲイの都パリで生まれた底抜けにおかしくて、とびきりゴージャスなビッグ・コメディ!』
     💛ゲイは身を助けるというけれど 私、とってもつらい !!  
          ・・・男性に化けたジュリーの心境・・・? それとも・・・?

ティファニーで朝食を  Breakfast at Tiffany's(ブレイク・エドワーズ監督 1961年パラマウント映画)
※H700 Breakfast at Tiffany's 01
有名な宝石店ティファニーの名が日本で十分に知られていない当時、映画のタイトルから、 ティファニーが高級レストランだと思った人もいたようですね。
オープニングシーン・・・早朝、タクシーでティファニーの前に乗り付け、ショーウインドウを覗きながらデニッシュとコーヒーを立ち食いする上品過ぎるオードリー・・・そこに、笑いを誘うように『ティファニーで朝食を』のタイトルが現れます。オードリー・ヘップバーン扮するホリーの素性を暗示しているかのようです。でも、確かにタイトルそのままですね。
※このオープニングシーンの撮影や演技は、構図や動きも単純で簡単そうに見えますが、オードリーはミスを連発して大変だったようです。それには、納得の理由がありました。 人影のない早朝・・・朝帰りらしい雰囲気を漂わせているこのシーンの撮影は、日曜日の早朝でした。しかし、 空が徐々に明るくなった撮影時にはカメラに写っては困る見物人が数百人も集まっており、 彼女はこの視線が気になっていたのです。ニューヨークでのロケ・・・他のシーンでも同様でした。
● Breakfast at Tiffany's 02
※『ティファニーで朝食を』と言えば、テーマソングの『ムーンリバー』・・・映画の中で実際にオードリーが歌っています。
作曲者のヘンリー・マンシーニは、オードリーのために特に作ったこの曲について、今まで多くのアレンジで演奏されてきたが、やはりオードリーの歌ったものが、私には一番しっくり来て最高と述べていました。ところが、公開に先立ち、打ち合わせ会議の席で
制作側幹部から、オードリーがムーンリバーを歌うシーンについて「こんなバカげた歌はカットするのが、まず最初だ」と言われたことにオードリーは立ち上がって「そんなことは絶対させません!」(Over my dead body ! ・・・ 日本語のニュアンスとしては、私の目の黒いうちはそんなことは許さない!・・・ という感じかしら) と主張、その結果、♩オードリーのギターの弾き語りシーンが残ったのです。このことは、後になってジョージ・ペパードが述べたものですが、この映画での彼も良かったですね。その後TVで放映された『特攻Aチーム』では、全く違った雰囲気のペパードに少々驚きながらも楽しめました。(笑)
では、ペパードが電話を借りようとオードリーと出会ったシーンを見てみましょう。勿論、伏線となるネコちゃんも登場します。

また、幼少の頃からバレリーナを目指してレッスンを続けていたオードリーは、ダンスも問題ありません。それにブロードウェイで活躍した実績もあります。マイ・フェア・レディでの歌はマーニ・ニクソンが吹き替え・・・なんてことは多くの人が知っているかも知れませんが、オードリー自身の歌が最初のバージョンでした。一般公開用に吹き替えられてしまったようです。
  (後にレーザーディスクで、オードリー自身の歌声のマイ・フェア・レディも販売されていました。)
今回は、ジュリー・アンドリュースとブレイク・エドワーズ監督が中心ですから、『ローマの休日』でのアカデミー賞主演女優賞女優としてのオードリー・ヘップバーンのお話しは、またの機会とさせて頂きますね。
     (では、おまけです:
 ティファニーで朝食をのラストシーン・・・ネコちゃん!ネコちゃん!・・・)

ピンクの豹~ピンク・パンサー(シリーズ)The Pink Panther 
   (ブレイク・エドワーズ監督 1961年~ユナイト映画)& (ショーン・レヴィ監督2006年、ハラルド・ズワルト監督2009年
※H700 524931
ピンクの豹(ピンク・パンサー)シリーズは人気のあるコメディで、そのルーツはサイレント映画時代のドタバタ喜劇そのものです。そして、ブレイク・エドワーズがずっと監督を続けていましたが、年齢面もありバトン・タッチとなりました。(途中で一部作品の監督が異なっていますが、8本にも及ぶシリーズはエドワーズが監督しました。)
ピーター・セラーズのクルーゾー警部、後のスティーブ・マーチンのクルーゾーも良かったですが、セラーズの何とも言えない雰囲気が、まさにクルーゾーにピッタリかと・・・。
それに、ヘンリー・マンシーニが作曲したこの映画のテーマソングも有名で、皆さんもおそらく一度は聴かれたことがあるのではないでしょうか。笑いのこみ上げる映画・・・説明で笑えるとなれば映画を見る必要もないことから、早々に切り上げますね。(笑)

グレートレース The Great Race(ブレイク・エドワーズ監督 1965年 ワーナー映画)
※ グレート・レース TheGreatRace - net ---
ピンク・パンサー同様、どこがどんな風におかしくて面白い、なんて説明は不要のコメディの大作です。いかにもお金が掛かっていそうな映画・・・本当に製作費は高額でしたが、米国だけでも製作費の2倍を稼ぎ出したヒット作となりました。
説明不要と言いながら、是非注目して頂きたいのは・・・あの手この手で悪さをするジャック・レモン扮するフェイト教授とピーター・フォークが演じる助手のマックス!・・・上下の写真の黒づくめのふたり(レモンは一人二役で某国ハプニック皇太子も演じました。)は 自業自得ながら度重なる痛々しい失敗・・・でも、なかなかめげません。まさに漫画の世界です。
このあたりはピンク・パンサーでも触れたサイレント映画!・・・しかも、これを超デラックスにした感じです。  その一部をYouTubeでご覧下さい。青紫アンダーライン部分をクリック)
※ H700 グレート・レース - Great Race, The_22 ---
最初の写真に有名なパイ投げ合戦のシーンがあります。このシーンで使われたパイは本物ですから、口に入っても美味しい!・・・しかし、二役のため?他の俳優の倍ほどのパイを投げつけられて、ノックアウトしたジャック・レモンは、1個のパイでも君の顔に当たれば1トンのセメントほどの衝撃に感じるよ、と言っていました。ナタリー・ウッドは彼女の空いた口をパイが直撃・・・あわや窒息という事態に・・・。また、パイが飛び交う中で、ひとりだけ無事に見えるトニー・カーティスも、実際にはとばっちりを受ける都度、これを想定して用意した服に何回も着替えたそうです。

そして、このパイ投げ合戦もいよいよ終盤、エドワーズ監督の声がかかった。『カット!』満を持してこの時を待っていた出演者たちが、監督に内緒で隠していた数百個のパイを取り出し、エドワーズ監督めがけて一斉に集中砲火を浴びせました。
パイ投げシーンの撮影終了後、記念写真よろしく収まったサングラス姿のエドワード監督、その後の事態を知る由もありません。(笑)
なお、出演者たちの逆襲の証拠が下の写真です。でも、監督の顔が見えている内に、もう一枚記念写真を・・・。(何を悠長なことを!)
※ The Great Race Pie Fight  03
※パイ投げ合戦をメインにおまけを組んでみました。ジャック・レモンをはじめとする彼らの笑い転げるような演技は、ブレイク・エドワーズ監督がお手本を示している? じゃあ、その面白さはエドワーズ監督そのものということ? う~ん、分かるなあ。
なお、金曜日から撮影を開始し、週末を挟んだ月曜日にはパイの生クリームなどが腐って、セットには強烈な悪臭が充満! この匂いを追い出すために大型送風機を併用しての大掃除、大変だったそうです。想像するだけで・・・逃げ出したくなりますね。

私はこのグレートレースを半世紀も前に、70mmの大画面で見ました。そして、最近BS放送で久々に見たこともあり、当時をなつかしく思い出すことが出来ました。勿論、今見ても、そのおかしさには新鮮さを感じるほどでした。 この半世紀、テレビや映画でいろんなバラエティ番組やコメディ映画を見て来て思ったことがあります。 グレートレースやピンク・パンサーをはじめ、ブレイク・エドワーズ監督の作品が、その後の映画やテレビ番組の制作に大きな影響を与えたのは間違いないと! 
 

※ちなみに、 グレートレースは"Panavision 35mm" カメラにアナモフィックレンズを装着(横を2分の1に圧縮)して撮影、これから35mm(上映時に横を2倍に拡大する)と70mm(ブローアップ版)のプリントを作っています。当時、私が見たのは後者の70mmです。 そして、半世紀を経た映像・・・デジタル処理で色彩を復元したかとは思いますが、カラー手法はTechnicolor ! その発色の素晴らしさによって、フィルム時代にはディズニーのほとんどの漫画映画に採用されていたものです。もし、タイトル等でテクニカラー (Technicolor)と表示された映画 ・・・ 製作費はアップしますが、 色の再現性は大変優れていたと思います。     また、機会があればフィルム時代の興味深い技術もお話ししたいですね。
なお、ブレイク・エドワーズ監督作品には、歌でもヒットした『酒とバラの日々』(Days of Wine and Roses 1963年 日本公開 ・・・ 主演:ジャック・レモン)や『ブラインド・デート』(Blind Date 1987年公開・・・主演:ブルース・ウィリス、キム・ベイシンガー)などがあります。音楽は・・・勿論、ヘンリ・マンシーニです。
下は、ヘンリー・マンシーニ亡きあと、20年前のヘンリー・マンシーニ・オーケストラのコンサート・リーフレットです。
ヘンリー・マンシーニ Henry Mancini Orchestra 20年前
さて、今回はちょっとばかり長いお話しとなりましたが、忙しい?私の仕事にこの数日間、ホッと出来る余暇が取れましたので、このブログの更新に向けて一気に頑張ってみました。元より映画好きなことから、他愛もないことも含めた情報や知識は・・・溢れるほど!?  でも、数万点もある映画関係の画像の中から選択して組合せする作業・・・楽しいけれど結構大変です。従って、毎晩のようにパソコン内の映画タイトル別、俳優別の画像ファイルから、皆さんに紹介したいものを少しずつ組み合わせて、必要に応じてコメントを打ち込んでいるのです。(コメントに英語が多い? 外国からのアクセスも多いようで・・・日本語が分からなくても、写真とコメントならばジョークもOKということですから、どうぞご了承下さい。)
  ➡  (以前このように書きましたが、私の受け止め方が少々違っていましたので、訂正します。・・・ 優秀な翻訳ソフトがあるので日本語の本文は分かるものの、写真のコメントは翻訳不可とのことですね。)(笑)

どうぞ、これからもご来訪下さい。
 (そういえば、ここしばらく愛犬ボルゾイのレオン君を忘れていましたね。)

 ☆;+;。・゚・。;+;☆。;+;--☆--:*:--☆--:☆;+;。☆;+。・゚・。;+;*:--☆--:*:--☆--;+;・。;+;☆;+;。・゚・。;+;*:-☆--:*:--☆--:☆;
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ジュリー・アンドリュース (Julie Andrews
※ Julie Andrews color portraits H705
皆さんもよくご存じの大スターですね。いつまでも元気で活躍して欲しいと願っています。
若い皆さんにとってはリアルタイムでないとしても、彼女の映画のいくつかはご覧になっていると思います。演技は言うに及ばず、歌も踊りも素晴しいオスカー女優!それが彼女。
メリー・ポピンズ』や『サウンド・オブ・ミュージック』以来、半世紀も経った今でも多くのファンがいるジュリー・アンドリュース・・・その歌声は、それまでに聴いたどんな歌手とも違う独特の雰囲気を持っていました。彼女の長いキャリアには、演出家や作家としての活躍も含まれます。また、多くの賞を受けていますが、その代表格がアカデミー主演女優賞(メリー・ポピンズ:1965年受賞)が馴染み深いかと思います。〘英国の女優〙

【メリー・ポピンズ  MARY POPPINS 】ウォルト・ディズニー・カンパニー1964年製作
※ Mary Poppins fantheory H700 ++
順風満帆の華やかな女優人生・・・しかし、これが彼女の弛まぬ努力がその基礎になっていることはご存じでしょうか。メリー・ポピンズとサウンド・オブ・ミュージックで初めて知った女優・・・それ以前のことを全くご存じない方がほとんどかも知れませんね。私にとっても女優ジュリー・アンドリュースは、素晴らしい才能をもった新人という存在でした。
その後、いろいろなキャリアを知れば知るほど一層お気に入りの女優となりました。そこで、今回のブログでは、その一部を当時の写真等でご紹介していきます。まずは子供時代から。
※ Young Julie Andrews  H718
ジュリー・アンドリュースは、ブロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディMy Fair Lady (1965年~長期公演) のイライザ役でその実力が認められ、ディズニー映画の『メリー・ポピンズMary Poppins  (1964年公開 ロバート・スティーブンソン監督) の主役に抜擢されるなど、演技力と共にその歌声は彼女の大きな魅力でした。そして、彼女の映画でのデビューがこの『メリー・ポピンズ』です。
また、同じ1964年に公開された『卑怯者の勲章"The Americanization of Emily"
(
アーサー・ヒラー監督)では、このブログでも触れてきたジェームズ・ガーナーと共演、二人ともこの映画が自分にとってのお気に入り作品だと語り、その後『ビクター/ビクトリア』(1982年公開 ブレイク・エドワーズ監督作品)、テレビ映画の『One Special Night』(1999年ロジャー・ヤング監督)の3本の映画で共演しています。

【マイ・フェア・レディ  My Fair Ladyブロードウェイ・ミュージカル (1956年3月15日初演)
※ Julie Andrews My Fair Lady - Eliza Doolittle_H700 ++
『マイ・フェア・レディ』って、オードリー・ヘップバーンのミュージカルじゃないの、と思う方も多いのではありませんか? 映画ではそうですが、ブロードウェイのミュージカルでは、ジュリー・アンドリュースのイライザ役が大当たりだったのです。
ところが、映画界ではまだ無名の彼女を映画版で起用するのは冒険過ぎるということから、オードリー・ヘップバーンが主役を務めることになりました。そして、皮肉なことに主役のイライザ役を外されたジュリー・アンドリュースが、マイ・フェア・レディの主役オードリー・ヘップバーンを抑えて、同じ年に公開されたメリー・ポピンズでアカデミー主演女優賞を受賞したのです。二人とも私のお気に入りの女優さん、
今となれば複雑な気持ちですよね。

【ボーイ・フレンド  The Boy Friendブロードウェイ・ミュージカル (1954年~)
※ Julie Andrews Broadway-debut in THE BOY FRIEND -01
また、子供時代
は別にして、ブロードウェイ・ミュージカルでのジュリーのデビューは、『ボーイ・フレンド』(1954~1955年)、  その後『マイ・フェア・レディ』(1956年初演)、
テレビ番組の『シンデレラ』(1957年)、 ブロードウェイキャメロット』(1960年)、 映画『メリー・ポピンズ』(1964年)へと続きます。
〔※掲載した上下の写真は時系列にはなっていません。また、リンク先は半世紀以上も前の動画・・・画質不良等はご容赦下さい。
 では、タイトルをクリックして当時のジュリー・アンドリュースをご覧下さい。〕

キャメロット(Camelot)、 シンデレラ Rodgers and Hammerstein's Cinderella
※1957 -julie-andrews-CINDERELLA (1957) H700++
1965年には、70mm映画の大作『サウンド・オブ・ミュージックThe Sound of Music(ロバート・ワイズ監督作品)が公開され、大ヒットしました。
※撮影はTodd-AO方式カメラ、ロードショーは70mm・4チャンネル立体音響で上映されました。なお、70mmフィルムが上映出来ない劇場には、35mmフィルムのワイド版も準備されました。大画面でのオーストリアの景色も美しかったですね。
※ロジャース&ハマースタイン・・・ブロードウェイ・ミュージカルでは、この二人はそれぞれ既に名が知られた存在でしたが、その後コンビを組んでからの大ヒット作品は、映画化によってミュージカルのファンに限らず、多くのファンを獲得しました。  エッ? この二人の名前をご存じない? でも、その楽曲はきっと耳にしていますよ、
リチャード・ロジャース Richard Rodgers〔米国の作曲家 1902–1979〕
オスカー・ハマースタイン二世 Oscar HammarsteinⅡ〔米国の作詞家 1895–1960〕
このコンビのミュージカルで映画化された作品には、公開年順に『オクラホマ!(1955年)』『回転木馬(1956年)』『王様と私(1956年)
南太平洋(1958年)シンデレラ(1965年"TV")』『サウンド・オブ・ミュージック(1965年)などがあります。   タイトルをクリックして代表的な楽曲をお聴き下さい。    もう一つおまけで、X-Menシリーズでお馴染みのヒュー・ジャックマンのミュージカル『オクラホマ!』からの一場面です。
さらに、本場で高い評価を受けた渡辺謙のブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』もどうぞ。
⑦2017.6.25※ julie-andrews-in-the-sound-of-music-H700++--
そして、いろんな作品でアンドリュースは良い意味でコメディも大丈夫!という印象を与え始めたようです。『モダン・ミリー』や『ビクター/ビクトリア』等がそんな作品かと思います。 逆に、歌わない彼女のスパイ・サスペンス『引き裂かれたカーテンTorn Curtainという出演作もあります。  この映画では、東西冷戦時代の東ドイツに亡命する米国科学者、アームストロング教授を演じるポール・ニューマンと共演しています。ジュリー扮する教授の婚約者、サラの表情からもヒッチコック映画の雰囲気が伝わって来ますね。

引き裂かれたカーテン Torn Curtain (アルフレッド・ヒッチコック監督 1966年 ユニバーサル映画)
※TORN CURTAIN Julie_Andrews_Paul Newman H700
ジュリー・アンドリュースの前編はここまでとします。次回は、彼女ならコメディも大丈夫!なんて思わせる演技の幅の広さ・・・そして、後にブレイク・エドワーズと結婚、彼との死別までオシドリ夫婦と言われ続けた・・・理想の夫婦。・・・そうなんです、ブレーク・エドワーズと言えば、ティファニーで朝食を』『ピンク・パンサー・シリーズ』『グレートレース』など、楽しい映画を作り続けた映画監督です。皆さんも、いくつかはご存じかと思います。

さて、ここしばらくアクションや西部劇など男性向き?の映画が続いていましたので、反省を込めて、努力家ジュリー・アンドリュース前編としました。
※今回の分にも、さらに楽しいトリヴィアなどを追加していく予定です。お楽しみに。
どうもご来訪、ありがとうございました。

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ご来訪頂きまして有難うございます。
前回は『大脱走』(The Great Escape:1963年公開)でのスティーブ・マックイーンをはじめ、共演者たちのお話をしました。そして、スティーブ・マックイーンの第二弾はテレビの西部劇『拳銃無宿』(Wanted Dead or Alive)で頭角を現し、その人気を決定づけた『荒野の七人』 (The Magnificent Seven: 1960年公開) やブリット (Bullitt: 1968年公開) など、寄り道がいっぱいのお話しをしたいと思います。例えば名前の出た共演者やその作品、せっかくですから印象的なシーンを選んでYouTube他で紹介したいと思います。
ネタバレが心配? 四半世紀から半世紀も前の映画ですし、 皆さんもきっと見られているはずだから大丈夫!と勝手に判断しました。(笑) おそらく改めてDVDやBlu-ray Discで見たくなります。 かなり盛沢山ですので、リンクへのクリックは、取り敢えず気になるところだけにしましょう。 そうしないと時間がいくらあっても足りません。)
※拳銃無宿 Wanted Dea or Alive H700
『拳銃無宿』は1958年から1961年頃(日本での放映は翌年から約2年間)まで放映された賞金稼ぎジョッシュ・ランダルが活躍する西部劇です。 この中でランダルが使う銃が特徴的で、ウィンチェスターライフルの銃身と銃床を切断したものでした。  大きくて重いそんな銃で、主人公ランダルの早打ちは大丈夫?という心配をよそに、時にはランダルの早打ちを見ることが出来ました。(この銃、日本では主人公の名に因んで「ランダル銃」という呼び名がありました。米国ではMare's Leg)
※拳銃無宿 H720
ランダル銃が登場・・・ウェスタン:Once Upon a Time in The West 】・・・トリヴィア
そして、この銃のインパクトが強烈だったからか、セルジオ・レオーネ監督の『ウェスタン(Once Upon a Time in The West: 1968年公開) のオープニング・シーン、三人の殺し屋のひとりに扮したウッディ・ストロードがこのタイプの銃を持って、チャールズ・ブロンソンが乗った列車を待ち構えていました。銃のクローズアップもあり、こんな銃のストロードとやり合うブロンソンの運命は・・・予感は的中?! でも、ブロンソンが主役ですから・・・(笑)
実は、レオーネ監督の頭には、当初この三人の殺し屋についてとんでもない?構想があったようです。それは、続・夕陽のガンマンで共演した3人のゲスト出演というものでした。
クリント・イーストウッドリー・バン・クリーフ、そしてイーライ・ウォラック・・・残念ながらイーストウッドを手配できず・・・残念ながら?・・・幸いにも?これはボツになりました。(笑)
① Once Upon a Time in The West H700 ++
〔役者以外も演技!?〕・・・ハエ君の登場!
【オープニングで殺し屋のひとり(ジャック・エラムまたはイーラム)の顔を這いまわるハエを相手の長~い長~いクローズ
アップのシーンがあります。長いこと以外に気にならなかった人はそれでよいのですが。かつて入れ替え制導入前の映画館・・・私は支障がない限り、続けて2回、出来れば3回同じ映画を見ることにしていました。勿論、映画にもよりますよ・・・。 すると、冒頭のこのシーンは次に来る展開を暗示しているように感じたのです。 長椅子の側板にとまったハエ・・・銃を抜くエラム扮するスネイキー・・・たかがハエ一匹を銃殺するのか?と思った瞬間、一気に銃口を側板に押し付けてハエを銃身に閉じ込めてしまったのです。ひょうきんで頼りなさそうな殺し屋・・・ところが、ここでタダものでないと思わせます。これが恐そうな他の二人では、その落差はさほどのものではありませんが、エラムだから効き目があるのでしょう。 そして、しばらく銃身の中でもがく羽音を聞いた後、ハエを逃してやるのです。余裕の殺し屋となりました。(笑)   さすがにレオーネ監督、ハエを役者に雇ったようです。 では、トリヴィアです。監督はどうやってハエに演技をさせたのでしょうか? ハエへの報酬は? ハエは一匹、安くついた?  一匹だからいいのです。汽車でやって来るブロンソン扮するハーモニカひとりですからね。
真面目に考えては体に悪いので、早々と答えを言います。 エラムのヒゲ面に薄く蜂蜜やジャムを塗り、画面に映らない顔の下の瓶からハエを1匹ずつ逃がしたのですよ。勿論、ハエのこと・・・瓶を出てからどこへ行くのか尋ねるわけにもいきませんが、甘い匂いに誘われてエラムの顔にとまったハエ君がいたことで、あのシーンの撮影に成功しました。
待機していたハエ君たちの数・・・私は知りませんが、演技をしたハエ君への報酬は・・・蜂蜜やジャムでした。(笑) 】

※Once upon a time in the West 01
ウェスタン』でシャイアン役ジェイソン・ロバーズ、はじめは極悪非道の悪人!といった感じでしたが、映画が先に進むほどに人間味のある人物として描かれており、ファンになった人も多いかと思います。
ジェーソン・ロバーズにまつわるトリヴィア】
ウェスタン』撮影初日、ロバーズはぐでんぐでんに酔っぱらって現れた。怒ったレオーネ監督は、次にこんなことがあればクビだ!と息巻いたが、その原因がロバート・F・ケネディが暗殺されたことにあり、その日は演技が出来ないほどに打ちのめされていたこと知ったレオーネ監督は撮影を中止した。 その後、ロバーズが撮影が終わるまでシャイアン役を無事(真面目)に演じきったことは、完成した『ウェスタン』を見ればわかりますね。

一方、今までの多く映画で、善良で真面目な人柄がにじみ出る役柄を演じてきたヘンリー・フォンダ (Henry Fonda) がこの『ウェスタン』では何と悪役という設定。しかし、 さすがに圧倒的な存在感を見せつけました。映画も終わり近くのチャールズ・ブロンソンとの決斗シーンクリックをどうぞ。
ところで、当時、日本や欧州で好評だった『ウェスタン』・・・アメリカでは今ひとつ盛り上がりませんでした。その理由として、アメリカの良心を体現する俳優と言われるヘンリー・フォンダの悪役を多くのファンが望まなかったからと言われています。以前このブログでも触れた『十二人の怒れる男』(1957年シドニー・ルメット監督作品)をはじめ『ミスタア・ロバーツ』『荒野の決闘』『西部開拓史』『バルジ大作戦』『ミッドウェイ』など、多くの出演作品があります。 また、彼の最後の作品となった『黄昏』On Golden Pond(1981年マーク・ライデル監督作品)では、アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
※Jason Robards and Henry Fonda H700

イーライ・ウォラック Eli Wallach について
お話が『荒野の七人』から脱線することも多くなりますが、トリヴィア・・・ご了承下さい。
この映画が「映画界の巨匠 黒澤明監督」の『七人の侍』の西部劇版リメイクであることは、皆さんもご存じかと思います。また、『荒野の七人』については、 さわりの一部をYouTubeでご紹介していますので、是非前回もご覧下さい。
ジョン・スタージェス監督の『荒野の七人』の成功で、スティーブ・マックイーンの他にも、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーンなど、将来が嘱望される俳優を発掘した映画になったと思っています。
また、盗賊団の首領カルヴェラ役のイーライ・ウォラックも独特の雰囲気を持つ、私の好きな俳優のひとりでした。 悪役カルヴェラのイメージから、その後出演したシネラマ超大作『西部開拓史』(How the West Was Won:1962年公開)でも無法者の首領を演じました。
とは言え、彼の人間性がにじみ出る悪党役・・・どこか憎み切れないものを感じるのですが、 如何でしょうか?    それを特に感じる映画がクリント・イーストウッド The Good (善玉)、   リー・バン・クリーフ The Bad (悪玉)と共演したセルジオ・レオーネ監督続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(The Good, the Bad, and the Ugly: 1967年日本公開)でした。
※イーライ・ウォラック& 銃の概要説明
上の写真は、イーライ・ウォラックのいろんな雰囲気をお伝えすると共に、荒野の七人で出てくる銃のお話しを少しでも分かりやすくするために掲載しました。西部劇が好きで、もう少しコルト45について知りたい方はYouTubeをどうぞ。

イーライ・ウォラック (Eli Wallach) は The Ugly・・・卑劣漢と訳されています。但し、一部の予告編等でリー・バン・クリーフをThe Ugly、イーライ・ウォラックをThe Badと言っているものがありますが、映画本編では正しく表示されていますので、このEnding Scene クリックで確認出来ますよ。) で決斗後の字幕を見て下さい。
でも・・・なぜ、そんなことに? イタリア語から英語への翻訳ミス!とのことです。 (^_^;)
Uglyの使用例には、The Ugly Duckling (アンデルセンの童話、みにくいアヒルの子)、そうそう!皆さんもよく耳にする「キモかわいい」といった雰囲気・・・puglyなんて言い方もあるみたい。カワイイわんちゃんのパグ (pug) +みにくい (ugly) の合成語 パグリー pugly、"pretty ugly" もあると聞いています。それに"Ugly Betty"という人気TVドラマもありましたね。・・・かっこいい悪役イーライ・ウォラック擁護の余談となりました。2014年没〕
   ランダル銃からかなり脱線・・・お待たせしました。本題に進みます。(笑)

【荒野の七人・・・秘話?! 】
The Magnificent Seven(※2016年リメイク版ではありません。)
※①荒野の七人 H719
さて、これが秘話はどうかはともかく、荒野の七人でのユル・ブリンナーは、いろんなシーンでスティーブ・マックイーンが目立つことに苛立っていたようです。オープニングの埋葬に向かう馬車のシーンでは、マックイーンがショットガンに弾を込める前の一瞬、耳元で散弾銃シェルを振ってみたり、日差しを確認するようにカウボーイハットを脱いで空にかざしたり、ほんの些細な仕草なのに、ブリンナーよりうんと目立っていました。 その後もマックイーンは観客の視線を自分に集めるかのように、ちょっと帽子のつばに触れてみたり、それどころか多くのアクションシーンでは帽子を脱いでいます。 他の俳優たちが、ほとんどのシーンでカウボーイハットをかぶっているのとは対照的ですね。
ブリンナーはこれに怒って『それを止めなければ、私も帽子を脱ぐぞ!そうすれば、その後のシーンで君を見る観客は誰もいなくなる!』とまで言い放ったようです。これはブリンナーのトレードマークのスキンヘッドを見せる、ということですね。実際にブリンナーは溝堀り作業のシーンでスキンヘッドを見せています。   それでも、 おそらくその後のシーンは ・・・ やはり ブリンナーよりマックイーンの方が注目されたと思いますよ。(笑) 

【スティーブ・マックイーンが目立つワケって?】
※マックイーンは何故目立つ
※何故、マックイーン扮するヴィンは目立つのか ・・・ ブリンナーではありませんが、私が感じるところをいくつかお話しします。
ヴィンは流れ者(The Drifter)の設定です。そのため他の6名とは服装から異なっています。 ガンマンのブリンナーやヴォーンとは対照的です。 どこかでカウボーイをしていたのか、まるで『ローハイド』の1シーンから抜け出したように、いつもジーンズの上にチャップス(Chaps) を付けています。また、 カウボーイハットは 他の誰よりも汗じみのような汚れが目立ちます。常識的には7人の中では、一番カッコ悪い身なりとも言えます。
しかし、これが役作りだとすればカッコ悪さが逆に目立つことにもなりますね。 そして、 極め付けは・・・そうです、 ホルスターから銃身がはみ出す銃でしょう。 早打ちに不利な銃は、ガンマンでないことを表しながら、ショットガンの扱い方などに精通したその人物像は複雑に見えます。 さらに、 いろいろな苦労を重ねて来た流れ者の落ち着きのなさなど、 動きの少ない場面で帽子や額を触ったり・・・ちょっとした表情も増幅されるでしょう。目立つ!


両者とも自己主張がかなり強い役者・・・競争の厳しい映画界では、こんなことは当然かも知れません。この動きは他の俳優にも影響を与え、彼ら皆がスタントマンを使って目立つアクションシーンを作ろうとし始めました。そして、ブリンナーは自らが望んだマックイーンのヴィン役への起用・・・後悔したそうです。  その後、皮肉にもマックイーンをはじめとした俳優さんたちが、大いに活躍することになりましたね。そんなシーンのいくつかを、私なりに映画から切り出してみようと・・・。皆さんへのトリヴィア提供のためですよ。
※Steve McQueen gun-shot H800
上はスティーブ・マックイーンの見せ場の一部です。盗賊を追うため馬に走り寄るヴィン・・・飛び乗る直前、 急に髪が伸びます。 たとえ、 主役クラスの役者が危険を伴うシーンを自分でやりたいと主張しても、万一の場合を想定する監督や映画会社はスタントマンを用意します。(今はCG合成・・・何でも可能ですが。)仮に大スターが大ケガでもしようものなら撮影は延期、最悪の場合には製作中止などの大損害を被ることも起こりかねません。 当然、映画会社側はこれを回避しようとしますから、これは大目に見ましょう。
中央と右端はコルト45 シングル・アクション・アーミー「キャバルリー(愛称)」(銃身長:約19cm)での早打ちシーンです。
ホルスターからはみ出すほど長い銃身の銃は本来早打ち用ではないそうですが、マックイーンは見事な腕前を見せてくれました。
また、他の6人の銃は、ほとんどが同じコルト45ながら銃身が約14cmの「アーティラリー
(愛称)
」を使っているようです。
(但し、銃については映画の中かモデルガン程度しか知らないの素人の私、記載に間違いがあってもご容赦下さい。)

※The Magnificent Seven + H800
※西部劇でのカッコよいアクションシーン・・・その一番は何と言っても早打ち! 私のように何度も繰り返し見る観客には、よりカッコよく見せる緻密な演出?が分かって来ます。 盗賊との銃撃戦に直面して銃をホルスターに収めることは考えられませんが、早打ちのインパクトを一層強烈にするためには、現実にはあり得なさそうな演出も必要なのでしょうね。
また、この演出は西部劇で売り出したマックーンの他、ロバート・ヴォーンにも使われています。上の左から2列目・・・中の様子を窓から確認したあと、拳銃をホルスターに戻し、ドアを蹴破っての早打ち! アッという間に3人の盗賊を倒し、人質を解放!
カッコいい! 「・・・ちょっと待った!」「・・・なあに、ヒゲ爺」・・・ヒゲなし爺だけど、空気を読まずに質問・・・。
ヴォーン扮するリーの銃!  飛び込む前の銃と・・・ちょっと違わない? どう見てもダブル・アクションのリボルバーでは?
シングル・アクションでは撃鉄を起こしてから、引き金を引く必要があるのですが、動画では撃鉄を起こす雰囲気を感じません。でも、あの名画「シェーン」での早打ち・・・実はダブルアクション・リボルバーをシングルアクションの銃に見立てて、敢えてファニングして見せました。とにかくカッコよく見える工夫、ヴォーンのこの銃・・・詳しいことは分かりませんでした。(笑)


ところで、この映画のテーマ曲も有名ですが、エルマー・バーンスタインが作曲したこの曲の録音時、オーケストラのメンバーだったのが、今や映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズで、ピアノを担当していたそうです。オリジナル・サウンドトラック・・・注意して聴いてみます。
では、荒野の七人のテーマ曲Orchestra at Temple Square のライブでお聴き下さい。

前号でお話ししたように、同じジョン・スタージェス監督のもと「大脱走」で主役の座を得たスティーブ・マックイーンと共にチャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンも、大脱走では重要な役割を担って、その存在感を大いにアピールしました。(前号をご覧下さい。)

【ブリットBULLITT 】ピーター・イエーツ監督作品〕
荒野の七人から8年後、スティーブ・マックイーンのポリス・アクション映画『ブリット』 (Bullitt : 1968年公開) では、ナポレオン・ソロで人気を博したロバート・ヴォーン(チャルマース上院議員役)と対峙する刑事役で、再び共演することになりました。また、その6年後『タワーリング・インフェルノ』(The Towering Inferno : 1974年作品)では、消防隊のオハラハン隊長役のマックイーンとパーカー上院議員役のロバート・ヴォーンの共演も見ることが出来ました。この映画の主役、ポール・ニューマンとマックイーンがほぼ同格としてクレジットされました。共同製作の映画会社2社は二人の格付けに苦労したとのことです。
『タワーリング・インフェルノ』ワーナーブラザースと20世紀フォックスのそれぞれが超高層ビル火災をテーマにしたパニック映画の製作を計画しており、予算面から共同での製作となった作品です。
※Bullitt-H705
【ブリット秘話】(時間のある方は、アンダーラインのある青紫文字をクリックして動画を見て下さい。)
この映画の見どころのひとつが、サンフランシスコの坂道でのカーチェイスです。ご存じの通りマックイーンは運転が得意! しかし、この映画でも彼自身が危険なカーチェイスを演じることは制限されていました。それでもマックイーンは多くのシーンを自らが演ずることに執着したようです。その訳は ・・・『大脱走』のオートバイでの鉄条網越えの名場面が頭をよぎるからと言われていました。当初、これはマックイーンの運転によるものとされていたのですが、いつしかこれが彼の友人であるバド・イーキンズのスタントであることが漏れていたのです。エキストラを含め大勢のスタッフの目の前で繰り広げられたシーン ・・・いずれ知れることとは言え、マスコミ?からこれを問われたマックイーンは、事実を認めざるを得ませんでした。そして、これを大変恥ずかしいことと思い悩んだマックイーンは、その後の映画では、スタントを使うことを本当に嫌がったようです。
危険なシーンでのスタント、CG技術がなかった時代では当然のことと私は思っています。
従って、俳優が恥じることなど全くなく、逆にスタントマンやスタントウーマンは、スターに代わってこれらのシーンを演ずることに誇りを持っていたはずだからです。
※Bullit 001 H1050
『ブリット』では、高速で走る車がジャンプするシーンが多く続きます。また、急カーブでの危険なシーンもありますが、これらの多くは、やはり大脱走と同じくバド・イーキンズの運転です。(その後もイーキンズは、いろんな映画で運転のスタントをしていました。)
また、上中段の写真でバックするマスタングのシーンは、道を曲がり損ねたマックイーンがとっさに車をバックさせて、追跡を再開するところです。 本来ならカーブを一気に曲がるシーンでしたが、監督からも『カット!』の声がかからず、運よくカメラマンがそのまま撮影を続けていたのです。そして、運転ミスから生まれた迫力ある名場面となったのです。

※上の写真、左下のドライバー(ヒットマン:フィル役)はビル・ヒックマン Bill Hickmanです。俳優でありながら、有名なカーアクション・コーディネータ、勿論 自らもスターのカースタントをして来ました。 『フレンチ・コネクション』では、高架を走る電車 (地下鉄) に乗った殺し屋ニコリを追うカーチェイス  ・・・ ここでジーン・ハックマン扮する刑事ジミー・ドイル(愛称:ポパイ)の迫力満点のカーチェイスをこなしました。 なお、本編でビル・ヒックマンは麻薬捜査官の役で出演しています。
ハラハラドキドキのカーチェイスも見ものですが、思わず笑えるカーアクションもあります。映画007シリーズの第7作ダイヤモンドは永遠に』Diamonds are Foever (1971年 ガイ・ハミルトン監督作品)で、 ボンドのスタントとしてのビル・ヒックマンのカーアクションをご覧下さい。クルマは奇しくもフォード・マスタング! 色は真っ赤ですが・・・。(クリックをどうぞ)


大事故の危険が伴うカーチェイスで、運転のプロが代役となる必要性をご理解頂いたところで、先にお話ししたサンフランシスコの追跡シーンもう少しおまけしますね。
マックイーンが乗るマスタングの車内からの映像で、ルームミラーにマックイーンの顔が写れば本人が運転、顔が写らない角度にルームミラーを調整したものはイーキンズのスタントです。それと、マックイーンが運転するシーンで、彼はチューインガムを噛んでいますよ。これは、どうってこともないお話し!?・・・トリヴィアですからね。(笑)
※Bullitt H700
なお、この『ブリット』と時を同じくして、クリント・イーストウッド主演のポリス・アクション『マンハッタン無宿』(Coogan's Bluff : 1968年公開)が封切られ、後者はその後、『ダーティ・ハリー』や警部マクロードの原型となった作品でした。一方『ブリット』には続編もなく、マックイーンの刑事役はこれが最後となったようです。

そして、『ブリット』と『ダーティ・ハリー』(シリーズ)の音楽を担当したのが、ジャズ畑でもあるラロ・シフリンです。 彼の作品では『スパイ大作戦』『燃えよドラゴン』そして、『危険がいっぱい』では、ジミー・スミスのオルガンをフィーチャーした "The Cat"が有名ですね。 その他にも、「シンシナティ・キッド」「暴力脱獄」「太平洋の地獄」をはじめ「マンハッタン無宿」「戦略大作戦」「鷲は舞いおりた」「ラッシュアワー」シリーズ等、映画音楽だけでも多くのラロ・シフリンの作品があります。

荒野の七人のお話から随分と脱線もありましたが、多くのスターが故人となった今、有難いことに多くの思い出の映画を自宅で見ることが出来ます。しかし、かつての大スクリーンと素晴らしい音響、さらには大勢の観客と共有できる喜怒哀楽・・・映画館で感じた名作の魅力は
今でも忘れられません。
素敵な映画館 H700
お約束したジュリー・アンドリュース関連の作品・・・仕事が忙しくてなかなか準備が出来ません。エッ? リタイヤ爺だったのでは・・・。実は、定年退職後、依頼を受けてNPO法人の事務局長として、既に7年以上活動している現役なんです。豊橋市南端から名古屋まで往復4時間というハードな通勤!・・・ご納得かと思います。😊 そのお陰で元気なのかも!
では、次回も是非お立ち寄り下さい。お待ちしています。

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懐かしい映画Ⅳ・・・その前に、ジュリー・アンドリュースをはじめセレブたちのウィンクをご覧下さい。なんとも楽しい雰囲気の写真ですので説明も要りませんね。なお、レオンのウィンクはおまけの再登場です。 Julie Andrews  borzoi Leon
※①Elle-21-awkward-celeb-winks H700
さて、今回は『大脱走The Great Escape (1963年 ユナイト映画)についてのお話です。主演のスティーブ・マックイーン (Steve McQueen) は、1980年に50歳という若さで亡くなっていますが、私の中では今も数々の映画を通して生き続けています。
私がスティーブ・マックイーンを初めて知ったのは、テレビの『拳銃無宿』(Wanted Dead or Alive) でした。そうです、かなり昔ですね。(^_^;)  この頃のテレビ番組はこのブログの’16/2/18にあります。日付をクリックするとそこへ飛びますよ。

(ブログの更新が、ここしばらく出来なかったのは、こういったリンクを貼る作業を進めていたためです。 映画なら画質を優先した予告編等〔そのため、英語版や日本語字幕版とは限りません。〕、音楽なら音質を優先して選び、皆さんにご紹介しようということです。
いずれにしても、オリジナルの良さは、是非DVDやCD等で味わって下さい。 その他にも、いろんな資料を参考のため過去の号に追加してみました。)
※②●The Great Escape  H700
本題の『大脱走』はジョン・スタージェス監督が、その3年程前に監督した西部劇『荒野の七人』に出演したスティーブ・マックイーン (Steve McQueen)、 チャールズ・ブロンソン (Charles Bronson)、 ジェームズ・コバーン (James Coburnの他、当時テレビの『マーヴェリック Marverick』で人気が出たジェームズ・ガーナー (James Garner)※、 そして、多くの英国人、ドイツ人俳優を起用した力作でした。このブログの映画スターⅠⅡⅢに既出)
John Sturges,  Charles Bronson,  James Coburn,  James Garner,  (Bud Ekins: Motorcycle stuntman) 

第二次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜となった連合国兵士たちの収容所からの脱走という実話①を基にした大脱走への出演がきっかけとなって、その後の映画やテレビドラマで一層活躍する俳優も出ました。Richard Attenborough,  David McCallum,  Donald Pleasence,  Gordon Jackson  
実話と映画② ここでは、鉄条網を飛び越えるシーンと機銃掃射で鉄条網に突っ込むシーンについての説明があります。スティーブは、当然ながら自分で演じるつもりでしたが・・・。

【秘話】当初、この映画で飛んでる?アメリカ兵捕虜ヒルツを演じるマックイーンは、自分勝手に脱走を企てるだけのキャラクターではお気に召さなかったみたいで、ヒーローとしての見せ場を得意なオートバイで撮ることを条件にヒルツ(Hilts)役を承諾したようです。脚本まで書き直させる・・・人気映画スターならではの要求かも知れませんね。
さらには、ヒルツがドイツ兵からオートバイを奪うために道路にワイヤーを張って、これにより転倒するドイツ兵の役をスティーブが監督に申し出て、スティーブ自身が演じました。そして、これでもかと言わんばかりのスティーブはドイツ兵の軍服を着て、ヒルツをバイクで追いかけるドイツ兵のひとりとして、観客を欺き?自分!?を追跡するシーンを演じました。当然これを知らなかった当時の私ですが、そのドイツ兵の運転姿勢やハンドル操作の雰囲気がスティーブとそっくり! 妙な印象を持った記憶がありますが正解でしたね。(大爆笑)
※すぐ上のアンダーラインの4分20秒あたりでUターンするドイツ兵がマックイーン! 上の実話と映画②の5分50秒あたりにはその説明も・・・そして、マックイーンの友人でスタントマンのバド・イーキンズ本人が登場しての思い出話しもあります。

また、デビッド・マッカラムがスティーブ(鉄条網越えは彼の親友が身代わりスタント)が突っ込んでいく鉄条網の作りについてのネタばらし・・・これらは訳さないでおきますね。バイクで鉄条網に突っ込んでいったシーン・・・本当に痛そうだったので・・・。(笑)
とは言え、撮影現場で時間の空いた出演者はスティーブをはじめ全員とスタッフ・・・料理人までが合間をぬって、この鉄条網作りに協力したようですから、さぞかしすごい鉄条網?が出来たことでしょうね。

それと、この長編映画を退屈させずに見させることに大きな役割を果たしたのが、エルマー・バーンスタイン。 いろんな場面で『・・・このあと・・・どうなるんだろう?』なんて思わせる音楽が、観客を惹きつけてくれている・・・とマッカラムは言ってます。私も同感です。
エルマー・バーンスタインは、私が影響を受けた音楽家のひとりです。(バーンスタインと言ってもウェストサイド・ストーリー』の作曲者レナード・バーンスタインとは別人です。レナード・バーンスタインは日本の著名な指揮者佐渡 裕が最後の弟子となったクラシック界の大御所(故人)です。)
実話と映画③ この脱走でドイツ軍の犠牲となった連合国兵士たちに触れています。

なお、チャールズ・ブロンソンジェームズ・コバーンはジェームズ・ガーナー同様、それぞれ主役の映画がいくつもありますが、今回は触れないでおきますね。
また、荒野の七人 (The Magnificent Seven)の主役、ユル・ブリンナー(Yul Brynner)は当時から大物スターで『王様と私』その他多くの出演作があります。中でも日本で活躍する米軍救助隊を描いた日米合作映画『あしやからの飛行(Flight from Ashiya)で、マイク高島曹長(Master Sergeant=MSgtを曹長と訳しましたが正確でないかも知れません。ご了承下さい。)を演じたブリンナーのキャラクターも印象的でした。この映画には『アラモ』『西部開拓史(How The West Was Won)』等、多くの作品に出演した性格俳優のリチャード・ウィドマーク(Richard Widmark)、『ウエスト・サイド物語』『ブーベの恋人(Bebo's Girl)』で人気を獲得したジョージ・チャキリス(George Chakiris) も出演していました。
     (あしやからの飛行 Flight from Ashiya : マイケル・アンダーソン監督 1964年ユナイト映画・大映合作)
※②●大脱走 James-Garner_H700
大脱走にお話を戻しましょう。でも、このブログでの映画のお話は、あらすじを紹介したりするものではありません。 旧作ながら、これからご覧になる方には・・・ありがた迷惑かも知れませんので・・・。その代わり、登場する俳優の魅力や映画製作の裏話や苦労話等に力を入れるようにしています。トリヴィア(trivia)= 雑学・豆知識程度のものかと思いますので、この点はあらかじめご承知下さいね。 その手助けをしてくれるのが各種の情報へのリンクですが、皆さんがリンクして道草されるのも・・・少々悔しいかな? そこで、このブログにひと通り目を通して頂いた後で、興味のあるところに戻ってもらえると嬉しいですね。
リンクは本文の下線青部分でマウスのポインターがに変わる場合です。但し、行先は私の独断と偏見?で決めました。)

Big X” という重要な役回りのリチャード・アッテンボローは、『ジュラシック・パーク』『飛べ!フェニックス』『砲艦サンパブロ』『ドリトル先生不思議な旅』等での俳優というだけでなく、『遠すぎた橋』『コーラスライン』『チャーリー』といった監督作品もあり、『ガンジー』ではアカデミー監督賞を受賞しています。(2014年90歳没)

書類偽造屋のコリンを演じたドナルド・プレザンスは、『007は二度死ぬ』での悪の組織のボス、ブロフェルド役をはじめ多くの映画に出演しました。『大脱走』での繊細で物静かなコリンとジェームズ・ボンドと対決する冷酷なブロフェルドでは正反対の役ですね。
※②●The Great Escape _for H700
エリック役のデビッド・マッカラムは年配の方はご存じかと思いますが、大脱走公開の翌年から放映された『0011 ナポレオン・ソロ』のイリヤ・クリヤキン役で人気者になりました。
また、テレビの『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』で、検視官ドナルド・"ダッキー"・マラードを演じています。ショーン・コネリー同様、いい歳の取り方をしていますね。
なお、荒野の七人での早打ちガンマン役、そしてナポレオン・ソロのロバート・ヴォーン・・・残念ながら昨年(2016年11月11日)83歳で亡くなられています。
※②●The Great Escape Steve-McQueen-H700
スティーブ・マックイーンは車の運転は勿論、オートバイでも卓越した技量の持ち主でした。大脱走では、ドイツ兵から奪ったバイクでその腕前を見せてくれました。 実は私・・・高校生の頃からバイクを乗り回していました。当時、二輪免許の取得やバイクの乗車については、学校から特段の指導はなかったように記憶しています。Honda製のそのバイクはマフラーが羽根のように後方に跳ね上がっていました。(笑) (その後、四輪派になって廃棄!)
バイクが好きだった私・・・半世紀も前の大学時代には、友人のバイクを借りて後年通行禁止?になった京都四条通をノーヘルのスーツ姿で爆音を響かせて走ったものです。(当時はヘルメットなしでの運転もOKでした。)そのバイクは、私が京都・相国寺近くに下宿していた頃の友人のもので、排気量は450cc。今では中型でしょうか?  大型の750ccともなると、 私の体格(足の長さではありませんよ)では持て余すので、 250ccクラス大歓迎。 大型自動二輪免許を持った私、 今となってはフルフェイス シールドのヘルメットと革ジャンでも、 怖くてとても乗れません。ましてや、バイクの操縦全般に大きな支障の出る大脱走の国境フェンス越えのシーンような草原でのフルスロットル・・・当時の私も敬遠したでしょうね。
ヘルメットと言えば、真面目?で暴走族でもない私・・・当時、ヘルメットの集団に狙われていたかも・・・。・・・機動隊? いいえ!バイクの代わりに角材や鉄パイプを持った集団・・・。

しばらく更新がなかった割に『大脱走』のお話し・・・秘話も中途半端ですが、取り敢えず、ここまでで区切りとします。思い出したりした時には、その都度追加しておきますね。
それとボルゾイのレオン、そうそうジュリー・アンドリュースについても準備する予定です。
また、懐かしい音楽・・・これは予告編等で今回は代えさせて頂きました。どうぞご容赦を。
では、またお訪ね下さい。

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ここしばらく、魅力的な映画スターとして、主にジェームズ・ガーナーの作品に触れて来ました。 そして、今回もう少しグラン・プリ』(Grand Prix:MGM1966年作品)について、その魅力の一部をご紹介したいと思います。フィルム時代の70mmシネラマの代表作です。
●②-1Grand Prix Cinerama H720
 監督:ジョン・フランケンハイマー 出演:ジェームズ・ガーナー、イブ・モンタン三船敏郎、エバ・マリー・セイント、ブライアン・ベドフォード、ジェシカ・ウォルター、フランソワーズ・アルディアントニオ・サバト等、そうそうたる俳優が名を連ね、さらに本物のレーサーたちも出演しています。(アンダーライン青文字のクリックでリンクします。) 
      John Frankenheimer,  Actors : James Garner, Yves Montand, Toshiro Mifune, Brian Bedford, Antonio Sabato...

この映画の映像!その特徴は、ジョン・フランケンハイマー監督の指揮の下、ジェームズ・ガーナーイブ・モンタンブライアン・ベドフォードアントニオ・サバトといった知名度の高い映画スターが、実際のコースを時速200キロを超える速度で走行!・・・これを撮影したレースの迫力にあります。
但し、ブライアン・ベドフォードについてIMDb(Internet Movie Database )には、若干皮肉を込めて、彼の運転シーンでは顔を隠すようにゴーグルのすぐ下までバラクラバをマスクのように引っ張り上げている・・・とか彼が使っているヘルメットと同じデザインの物が他にもあって、本物のレーサー名まで出してスタントマンの存在を匂わせ、4人の俳優の中では彼だけが実際に運転していないと、書かれていました。 どのように撮影したかはともかく、高速走行時の彼の映像は合成でなく本物ですからね。なお、彼はこの時、普通運転免許証も取得していなかったのは周知の事実らしいですよ。それならば、彼がこの映画で一度も運転していないという話は・・・事実でしょうね。

同じ情報源で、イブ・モンタンが撮影中に誤ってスピンアウトした後、それに続くシーンで恐怖のあまり求められるスピードが出せなくなったため、フォード GT40に牽引された改造レーシングカーに乗ることで、自らの運転よりも快適な走行をすることになった(勿論、時速200km可能)なんてことも書いてありました。ブライアンも同様の手法かも・・・。(笑)
では、その答え!写真をご覧下さい。とは言え、高速で走行したのは間違いないですね。
            There are strange expressions in English at times, please forgive me as a unique jokes.  (#^.^#)
●①6def2c9f1 H712++
  そんな中、ジェームズ・ガーナーだけは全てのシーンを自らが運転し、さらにレース中、出火のため停止した直後、火だるまになるシーンもスタント無し! これには保険会社も怒って、保険を解約させられたようです。レーシングカーでの高速走行・・・プロでも恐怖心があるのに、ジェームズ・ガーナーという俳優は、やはりスゴイですね。Grand Prix

さらに70mmフィルムによる大劇場の巨大スクリーンに映し出される、シネラマ画面での迫力ある臨場感にもあります。 もはや、70mmフィルムや巨大スクリーンでの上映は出来なくなったこともあり、若い世代の皆さんにかつての大画面の印象を言葉で伝えるのは難しいですね。そこで、ちょっと手抜きになりますがシネラマをはじめとするワイドスクリーンカラーサウンド等々、その歴史や技術面などをまとめたサイトをご紹介します。英語版ですが、 "The American WideScreen Museum"  をクリックすると飛びますよ。
なお、70mm映画の多くは "Panavision 65 Camera" で撮影されましたが、湾曲したシネラマ規格の巨大スクリーンに上映可能な映画を『シネラマ方式』と称した?ようです。他にTODD-AO、D-150、スーパーテクニラマ等、各社が大画面競争を展開した時期がありました。この規格で撮影されたものを“Super Panavision 70” とか“70mm CINERAMA" などと表現していたと思います。

今回の写真は、グラン・プリでのレースの映像がどうやって撮影されたのかをメインに組みました。 CGのなかった時代・・・生の迫力を伝えられる喜びが命掛けの俳優さんたちにあったのではないでしょうか。 現在は本物のレースでの生の映像も小型軽量のデジタル・ムービー・カメラでリアルタイムで撮れますが、ここでは昔のアナログでの苦労をじっくりご覧下さい。撮影カメラ搭載のフォードGT40もわずかに面影を残すだけですね。(#^.^#)
●②-2grand prix H720
いかに大型ムービーカメラとは言え、あのフォードGT40の雄姿が変わってしまう程の架台やフォーミュラー1に搭載するカメラもしっかりと固定されています。そこまで必要なの?と思う人も多いでしょう。う~ん、 そうですね・・・ 高速道路を時速100kmで走行中、窓から手を出したことのある人には分かるかも知れません。勿論、安全を確認しての話です。その時に手のひらにかかる風圧・・・何かに触れているような感覚を超えて、何かをつかむような感じだったのではありませんか? PANAVISION Cameraは優秀なカメラで、しかも大変小型になりましたが、それでもその大きさは手のひらどころではありません。そして、時速200km~250kmの高速走行中でも安定した映像を求められ、さらに必要に応じてパンさせることもあるのです。万一、激しい振動や風圧でカメラが脱落すれば大事故につながることから、撮影機器の堅牢な固定の重要性・・・皆さん納得!ですよね。 
 

また、別の背景として、70mmシネラマでの上映のため、撮影はすべてPanavision 65mmカメラで撮ることが求められ、当時現存したカメラのすべてを使う必要があったようです。カメラの破損・・・許されない状況だったのですね。(※撮影はサウンド・トラックが不要のため、65mm幅のフィルムで撮影し、編集を経て上映用の70mmフィルムに焼き付けすることにより、音響情報のスペースが確保出来ます。)
●③grand-prix-W568++
ところで、この映画の音楽を担当した『モーリス・ジャール (Maurice Jarre)』 の作品の数々・・・ご存じでしょうか? スケールの大きな映画音楽を提供して来たフランスの巨匠ですが、1924年生まれの彼も2009年故人となりました。
代表作は、史上最大の作戦 The Longest Day (1962)、 アラビアのロレンス Lawrence of Arabia(1962)、ドクトル・ジバゴ Doctor Zhivago (1965)、今回のグラン・プリ Grand Prix (1966)、インドへの道 A Passage to India (1984)・・・その他、多くの作品がありますが、ここでは『アラビアのロレンス』から【序曲】と『ドクトル・ジバゴ』から【ララのテーマ】、もう1曲『裸足のイサドラ』・・・これは、ポール・モーリア楽団でお聴き下さい。
 (上記曲名アカデミー作曲賞受賞)
なお、サントラ盤はCDでお聴き頂くとして、ここではライブ映像でお楽しみ下さい。
 (当初、リンク先URLを記載していたのは、どこに飛ぶのか心配!ということがないようにするためでしたが、簡素化を目指して、極力省略することにしました。どうぞ安心してクリックして下さい。)

アラビアのロレンス【序曲】 ジョン・ウィルソン指揮 BBCコンサート・オーケストラ
ドクトル・ジバゴ【ララのテーマ】 モーリス・ジャール(指揮)Soundtrack 
裸足のイサドラ【Isadora】ポール・モーリア楽団 Paul Mauriat Grand Orchestra(静止画です。) 

【レオンと彼のお友だち】
さて、レオンのお友だちを紹介しますね。みんな元気いっぱいです。
◎レオンとお友だち H720+++
白いネックレスは、ボーダー・コリーのこはる ちゃん (Koharu)、甲斐犬のこうめ ちゃん(Koume)、元気に走り回るトイ・プードルの Noel ちゃん。そして、ラン(Run) はもうお馴染みですね。レオンも楽しい1日を過ごすことが出来ました。
どうも有難う! また、遊ぼうね。
◎貨物列車JR-EF200だよ H720  +
ドッグランでしっかり遊んだ後なのに、レオンがもう少し散歩したいと言うのでJR東海道線二川駅周辺を散策しました。 踏切にさしかかると、貨物列車がやって来ました。何両もの貨車を引くこの電気機関車、EF200は大変な力持ちなんです。粘着式鉄道(車輪とレールとの摩擦によって車輪の空転を抑え込む)では、力の強い機関車は車両重量を重くすることが可能となり、その結果として粘着力が増加し、より多くの貨車を牽引することが出来ます。この列車は余裕の20両くらいでしたが・・・私、鉄道も好きなんです。(笑)
レオンも目の前を通過する貨物列車を見て、なんとなく嬉しそうに見えますね。なお、左端の場所は、豊橋総合動植物公園近くの高台で撮ったものです。広々としていいですね。
では、今回はこのあたりで切り上げます。次回もどうぞご来訪下さい。どうも有難うございました。
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【懐かしい映画スター】
  魅力的な映画スターのひとりとして登場するのは、以前このブログでも紹介した砦の29人(Duel at Diablo:1966) のジェームズ・ガーナー (James Garner)です。惜しくも2014年に亡くなりましたが、ジェームズ・ガーナーの出演作品は大抵の方が何かしらご覧になっているかと思います。
大脱走(1963年公開) "The Great Escape"グラン・プリ(1967年公開) "Grand Prix" 等  どんな役でも存在感のあるスターでした。 コメディタッチからシリアスなものまでこなせる不思議な俳優だったと思います。そんな中でも、今回は特に前述の2本をお薦めします。
そして、噂の二人 (The Children's Hour:1961) ではオードリー・ヘップバーンとビクター/ビクトリア (Victor/Victoria:1982)ではジュリー・アンドリュースと共演しましたが、彼の役柄は180度の違ったものでした。また、かわいい女(Marlowe:1969) ではブルース・リー、マーベリック (Marverick:1994) ではメル・ギブソン、ジョディ・フォスターやジェームズ・コバーン、そしてスペース・カウボーイ (Space Cowboys:2000)ではクリント・イーストウッドやトミー・リー・ジョーンズとも共演していました。

では、映画グラン・プリから、迫力あるレースでのジェームズ・ガーナーをご覧下さい。
       YouTube :   https://www.youtube.com/watch?v=XsJ8aYc7AHM
この映画には本物のレーサーたちも参加、ジェームズ・ガーナーをはじめイヴ・モンタン(Yves Montand)、ブライアン・ベドフォード(Brian Bedford)、アントニオ・サバト(Antonio Sabàto)ら俳優陣とのレースを一層迫力あるものにしました。
また、CINERAMA70mm)の大画面上映のための撮影の舞台裏ものぞいて下さい。
グラン・プリ序曲がBGMです。 YouTube :  https://www.youtube.com/watch?v=TSNr86XM4cA 
こちらもどうぞ。YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=Ghyr2iG-its

そして、不思議な魅力のジェームズ・ガーナー、その雰囲気を感じさせる写真もご覧下さい。
Andrews
次に登場するのはスーパーマンⅡ 冒険編 (Superman Ⅱ:1981) で強烈な個性で悪役ぶりを印象付けた二人、ゾッド将軍に扮するテレンス・スタンプ  (Terence Stamp) とアーサ役のサラ・ダグラス (Sarah Douglas)!  勿論、 レックス・ルーサー役のジーン・ハックマンも欠かせませんが、スーパーマン (Superman) 役のクリストファー・リーブ同様、他の作品でも紹介する機会があるかと思いますので、今回はこの二人を中心に組んでみました。
テレンス・スタンプについては、モニカ・ヴィッティと共演した唇からナイフ (Modesty Blaise)での若くてハンサムな時代を知っていたので、ゾッド将軍役には少なからず驚きがありました。(笑) 一方のサラ・ダグラスは妖艶な魅力がいっぱいのアーサ役・・・正にはまり役でした。いかがでしょうか?  その後、アーノルド・シュワルツェネッガーのキング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2 (Conan the Destroyer:1984) には、女王タラミス役で出演していますね。(サラ・ダグラスの役柄いろいろ・・・おまけです。)
 SupermanⅡ, Modesty Blaise
【お気に入りの懐かしい音楽】  My favorite music,  Old but good music,  
さて、久々の音楽鑑賞・・・懐かしい音楽編です。なぜ懐かしいものばかりが登場するのか?
・・・それは、新しい楽曲については、このブログで紹介するまでもなく、若い方の方がよくご存じだからです。 半世紀も前の楽曲とは言え、メロディやハーモニーの美しいイージーリスニングには良い曲が多く、若い皆さんにも聴いて頂ければと思うからです。また、年配の皆さんにはその時代の懐かしい記憶を呼び戻すことで、若返って頂こうという作戦です。楽しかったことばかりでなく、辛く悲しいことも乗り越えて・・・そして、今があるのですから、これはその1ページです。(#^.^#)         

では、今回やっと登場することになったのは、ベルト・ケンプフェルト  (Bert Kaempfert) 楽団です。 そうです!『私が影響を受けた音楽家(楽団名含む)』に最初に挙げた作曲家・演奏家なんです。そして、その中でも、一番のお気に入りだったのが『愛の誓い』(Till)トランペットをフィーチャーした心地よい楽曲で、トランペットにはまっていた高校時代の私の18番でした。YouTube :愛の誓い』Till    同様に『星空のブルース(Wonderlad by Night) 真夜中のブルース(Midnight Blues)   他にも『夜のストレンジャー(Strangers in the Night) https://www.youtube.com/watch?v=N85cwvwGBak 
LOVE』→ https://www.youtube.com/watch?v=YN915VrD51wダンケ・シェーン(Danke Schoen)  https://www.youtube.com/watch?v=yt6J3c2z7e0 等々・・・トランペットが主役でなくなると、私には少々さびしくなりましたが、今度は独特のベースギターの使い方が新たな魅力を引き出してくれました。試しにこれらをネットで聴いてみて下さい。現在の楽曲にはない、 かつてのイージーリスニングの心地よさを感じることが出来るかも知れませんよ。
なお、曲名のは、ベルト・ケンプフェルトの作曲です。 また、彼が作曲した夜のストレンジャージェームズ・ガーナー主演の『ダイヤモンド作戦』(A Man Could Get Killed:1966) の主題曲でしたが、その後フランク・シナトラが歌って大ヒット! 皆さんもきっとご存じでしょうね。【参考:フランク・シナトラ盤 → https://www.youtube.com/watch?v=hlSbSKNk9f0 
Bert Kaempfert H460
そして、忘れてならないもう一人のドイツの楽団・・・ジェームズ・ラスト楽団(James Last Orchestra) です。両名とも故人ですが、良い曲や演奏を多く残してくれています。
今回、多くの中から特にお気に入りの3曲を挙げますので、YouTubeでご試聴下さい。
  ロマーナの祈り』(The Lonely Shepherd)
  サンタ・マリアの祈り』(Who Are We)
  『ルシアナ』(Luciana
James Last Orchestra H455
きっと皆さん・・・これらの名曲をじっくりお聴き頂いている最中と思いますので、今回はここまでとしますね。次回もどうぞお立ち寄り下さい。どうも有難うございました。
(ボルゾイのレオン君は? ・・・そちらは次回ということでご容赦下さい。)  
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【なんでもありの趣味のお話し続編 : 映画、工作・・・】
 アポロ11号、人類初の月面着陸 (1969) ・・・アポロ13号、輝かしい失敗(1970)
★Apollo_11 (1) H700 ++
宇宙科学が進んだ現在でも、宇宙へ飛び出すことには大変な困難が伴います。それを半世紀も前の1969年7月、アポロ11号のクルーとNASAのスタッフによって、人類最初の月面着陸と無事生還という偉業が成し遂げられたのです。上の写真中央のクルー3人がその英雄たちです。ところが、これに続くアポロ12号での2度目の月面着陸成功した翌年1970年4月、月に向かったアポロ13号で大事故が発生したのです。その事故の詳細等については、のちにトム・ハンクスの主演で映画化されたので、ご覧になった方はご存知かと思います。
そして、リアルタイムでこの事故の成り行きを心配しながら見守っていた人々の中のひとりが私でした。
下の写真は、当時、私が切り抜いていた新聞記事の実際のスクラップブックです。当初からアポロ計画(NASAの月への有人宇宙飛行計画)全体を興味深く追いかけており、アポロ11号の大成功は勿論、アポロ13号の悲劇からの奇跡の生還!も目の当たりにしたという訳です。(注: 情報のデジタル化が進んだ現在、新聞や雑誌の切り抜き・・・もう、皆さんもしていないかも知れませんね。勿論、今は私も必要な情報はデジタル化してストックしていますので、切り抜きでのスクラップはしていませんよ。) 

【アポロ計画 "Apollo Project" に関するスクラップブック】
   (半世紀も前の新聞記事)Several newspaper articles about half a century ago.
★アポロ11&13 NASA資料とスクラップと愛用の辞書 コメント
これらのスクラップブック・・・いかにも時の経過を感じさせますね。 当時、宇宙開発の情報は新聞がメインで、これらの情報が掲載される気象や天文雑誌は月刊誌ということからどうしてもリアルタイムではありません。さらに、その頃のテレビやラジオからの情報では詳細が分からないばかりか、個人では保存することも出来ませんでした。(ビデオなんて、ない時代でしたから・・・)  そんなことから、当時の私はこれらの月刊誌・・・定期的に購読しており、断捨離の餌食になる十年程前まで本棚にありました。廃棄決断のきっかけは当然インターネットの普及ですが、溢れるばかりのインターネットの情報がすべて正しい訳ではないことも、頭において参考にしていますよ。😊

では、今回2本のお薦め映画をご紹介します。
アポロ13』 "Apollo 13"(ロン・ハワード監督1995年日本公開)
ライトスタッフ』"The Right Stuff"(フィリップ・カウフマン監督1983年日本公開) 
☆03宇宙飛行士とライトスタッフ・キャスト net +
アポロ13』はドラマよりドラマチック、なんて表現がピッタリのドキュメンタリータッチの作品で、説明の必要もないでしょうね。
その一方、『ライトスタッフ』は地味ながらも有人宇宙飛行への道筋をつけたマーキュリー計画を、面白おかしくも真面目に【正しい資質ライトスタッフ)】を描いた作品です。
なお、マーキュリー計画とは当時のソ連とし烈な宇宙開発競争を繰り広げた有人宇宙飛行の入口となる計画(1959年~1963年)でした。そして、船外活動を遂行したジェミニ計画、月面着陸を成功させたアポロ計画へとつながっていきます。これら宇宙開発の流れを含め、科学技術の変遷や成果を数多く見て来た私、・・・ただの年寄りの知識だけで終わらせたくないですね。大して役に立ちませんけれど・・・。(*^。^*)
≪上の写真説明≫ 左の4枚・・・上段の2枚は、実際のマーキュリー計画のパイロットたちです。そして、下段2枚は映画『ライトスタッフ』の出演者たちです。中央はケネディ大統領が宇宙飛行士のジョン・グレン氏からフレンドシップ7の説明を受けている写真です。
右端の上段は前述マーキュリー計画の7名、その下は映画でロッキードF104をバックにしたチャック・イエガー役のサム・シェパードです。
この2本はSF映画全盛のその時代、丁寧に事実に基づいて製作された作品だと思います。老若男女、大勢の皆さんにご覧頂ける映画かと、お薦めしたいと思います。
Apollo 13 & The Right Stuff for net H670
では、YouTubeで『ライトスタッフ(The Right Stuff) のエンディングを映像と音楽でお楽しみ下さい。
   
=工作編(オーディオ趣味) スピーカーボックス、オーディオラック、何でも作った!
工作編 ・・・と言っても、その写真はほとんどありません。多忙だった現役時代の定休日の日中は音の出る作業を主に行い、比較的音の出ない仕上げ作業等は夜中にコツコツと・・・とても写真と撮るなんて余裕はありませんでした。 ここに残っている作業途中の写真は、長期間、私の部屋での作業が続いていたことから、趣味の写真で残ったフィルムでたまたま撮ったという訳です。  
下の写真、右端のオーディオ・ラックは10日程で3本作りましたが、市販のキットではありませんよ。太鼓張りでは音に悪影響が出る懸念があり、合板をカットして作った強固なものです。従って、重いオーディオ機器を置いても、棚板がへこんだリ、たわんだリすることはありませんでした。丈夫なことから、現在は庭の物置内で整理棚として使っています。
★自作スピーカー H700++
スピーカー・ボックス(エンクロージャー)やオーディオ・ラックのようなミリ単位の精密さが要らない犬小屋等を含め、木工では必ずイメージ図と作業手順を含めた設計図を描き、これに従って作業をしていました。 特に製作期間が長期にわたる場合、これが作業の効率化やミス防止に不可欠だったからです。 また、スーパーウーファーに使用したいユニットのパラメータを基にした設計に1年以上なんてことも度々でした。パソコンのない時代・・・電卓片手に悪戦苦闘の末、出来た設計図をメーカーの担当者に送ってチェックをお願いすることもありました。しかしながら、スピーカーユニットの低音再生能力を重低音に特化して活かそうとすると、とんでもない大きさや重量になってしまいます。
結局は比較的小ぶりに収まる40Hzあたりまでの低音で妥協しました。それでも、製作途中で設計変更なんてことも・・・。 当初設計では開口部に接続予定の大きなホーンは設置スペースでの問題も発生・・・ しかも、その大きさの割に効果が低いことから、床をホーンの延長として利用するという計画を見直しすることに。   そのため、上下逆に設置して床の影響を減らす等々・・・低音部の音づくりは難しいと改めて実感する羽目になりました。(上の写真左から4枚、下は私の設計図例)
①サブウーファーの設計案
お気に入りメインスピーカーに、小型のサブウーファーを比較的低予算で簡単に増設できるなんて・・・重低音再生には、大口径ウーファーを収めた巨大スピーカーが常識だった40年以上も前には夢のようなことでした。 こんなことって、若い人たちには信じられないかも知れない!? では、その当時の重低音用ウーファーの広告などを紹介します。(*^。^*)
Woofer unit PR H600
こんな冗談みたいな大きさのサブウーファー、家で地震が起こせそうですね。中央のサブ
ウーファーは当時150万円 ・・・仮に買えたとしても、今度は設置できる部屋が・・・。
やっぱり不可能への挑戦!? 結果として、低域再生周波数で妥協して自作することになりました。良質な重低音は、高音部に比べるとはるかに困難が多いと身に染みたようですね。
それに、エッジの柔らかいウーファーでは、以前にもレコード盤の再生では低周波?によるウーファーコーン紙にふらつきが出ることがあり、20Hzへの挑戦はおろか、パワーアンプのサブソニック・フィルターで常に30Hz以下をカットしていました。(^_^;) そのため、 
口径46cmウーファーの現物がありながら、設計段階で製作を断念することになりました。 
我が家では、大きいことは・・・良くないこと・・・♪ ・・・でした。
   Super Woofer,  Sub Woofer,  Big Loudspeaker,  スピーカーの設計図、巨大スピーカー
【模型趣味】
ミニチュア蒐集・・・一種のロマンを感じます。 鉄道模型の他にミニカー、航空機などがこのブログにも登場しているのでお気付きかも知れませんね。可愛らしいミニチュア!
スタートは小学生時代の粗削りな木製飛行機の工作・・・プラモデルのない時代、何でも自作。
でも、大きい方が好みなのは・・・そうですね、一般的に低音再生に無理が少ないと言われる大型スピーカー あっ、そうでした・・・愛犬も大きいですね。かわいいですが。
⑧2017.1.22★鉄道模型+小物 Net H700
今回はボルゾイが登場しませんでした。たまにはいいかな、なんてガマン!がまん! 
次回をお楽しみに。 どうぞ、またお訪ね下さい。 

 ☆;+;。・゚・。;+;☆。;+;--☆--:*:--☆--:☆;+;。☆;+。・゚・。;+;*:--☆--:*:--☆--;+;・。;+;☆;+;。・゚・。;+;*:-☆--:*:--☆--:☆;
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オーディオ機器の使いこなしから音楽・映画・カメラ趣味の皆さん、そして、愛犬家・・・中でもボルゾイ・ファンの皆さん!ご来訪頂き、有難うございます。 何でもありの趣味のブログ、楽しく進めさせて頂きます。
3か月、4か月、3歳半・・・レオン Net Size
さて、オーディオ趣味のお話も一段落、何とか自分の気に入った音の音場再生が出来るようになったようです。 これから先は、私のお気に入りの音楽や映画などについて、気ままにお話をさせて頂こうと思っています。
勿論、看板にに偽りがないように『愛犬』のお話し・・・というより写真で綴っていきますので、愛犬家の方には、写真をメインに楽しんで頂ければ幸いです。と言うか・・・『私も初代のアーサーやレオンの世話をしているのです。』なんて言える程も頑張っている訳でもありませんので、お話しは、事実上のご主人様からの情報を基に綴るってことになります。これって、看板に偽りの部類かな? とはいえ、レオンの視線・・・いつも私を追っているようですから、おそらく影のご主人様と思ってくれているのではないかな?・・・と。 
いいえ、むしろ同列のお友だちと思っていますよ、なんて声が聞こえて来ますので、この件は一旦打ち切りますね。

【愉快な家族レオン 愛犬二十面相・・・】
それにしても、ボルゾイほど表情が豊かなワンちゃん・・・見たことがないですね。特に、目が物を言います。それに、ボルゾイスマイルとか言うボルゾイ独特の笑顔には思わず笑ってしまいます。人間のように歯を見せて (*^。^*) なんて・・・。でも、この事態に初めて遭遇した人・・・思わず一歩引いてしまうでしょうね。うれしい表情とは言え、歯をむき出しにして、ニヤニヤと迫って来るのですから・・・。 もし、レオンのボルゾイスマイル写真が見つかったらUPしますね。
・・・それにしても、皆さん、レオンって笑顔よしだと思いませんか?(親ばか?)
Leon 二十面相の① for Net
確かに、うれしくてご機嫌・・・おねだり・・・ごめんなさ~い・・・さびしいよ・・・
どうしよう・・・なんて、すぐ分かりますからね。 でも、ボルゾイスマイル・・・これはちょっと難しいですよ。どうも本当にうれしい時、しかもその前後の状況と落差が大きい時に、そんな表情になるように感じます。例えば、家族が外出から戻った時、お気に入りの人と久々出会えた時・・・等々。あっ、そうそう、玄関のインターホンが鳴ると、サンルームから居間を駆け抜け、玄関ドアを開けてくれるのを待ち構えています。そして、来客がお気に入りのタイプなら・・・勿論、ボルゾイスマイルでお出迎えです。  レオンをよく知っているお客さんならいいのですが、そうでないと、決まって『おお!』の声・・・。 これは想像に難くないですね。その後のレオンの笑顔?を見て、笑い声に変わります。但し、勝手に門扉の取っ手に手をかけようものなら、見えないところからこれを察して、ワン!の一声となります。といっても、家族が在宅時には、それ以上無駄吠えはしませんが。

【映画の楽しみと映画製作~上映までのこだわり・・・フィルム全盛時代のことです。】
さて、私がジャンルを超えて音楽を楽しんでいること、そして、そのため自分にとっていい音の再生を目指して、オーディオの勉強にも積極的に取り組んで来たことをお話しして来ました。 また、その音楽趣味の原点が半世紀以上も前の白黒テレビから始まったこと、その影響から映画については観賞だけでなく、撮影機、映写機、カラーシステム、画面の大きさ(フィルムの規格からアスペクト比、映画館のスクリーンの大きさ・・・)、さらには音響機器、サウンドシステムに至るまで、全般の勉強?をして来ました。・・・そんなことには気を止めず映画を楽める方・・・私には、ある面うらやましく思うこともありますが。

【35mmフィルム映画の説明用資料を作りました。】(掲載画像は説明用ですから、ご承知下さいね。)
③35mm Film Format 0005
では、そんなことに拘ることになったエピソードのひとつ(大学時代)をお話ししますね。
私のお気に入りの俳優のひとり、ジェームズ・ガーナー (James Garner)が主演した西部劇『砦の29人』👈(Duel at Diablo) の上映でのお話しです。
(但し、商業上映でなく、大学の講堂での映画祭。ロードショーもとっくに終わった3番館的な無料映写会でしたので、私には既にお気に入りの映画でした。)
この映画は、西部劇ながらラルフ・ネルソン監督得意の人間ドラマになっています。他に、シドニー・ポワチエ、ビビ・アンデショーン、デニス・ウィーヴァー、ビル・トラヴァースらが好演、私にとって一層、見応えのあるお気に入りの映画になりました。
『砦の29人』のオープニングシーンは真っ暗の画面 ・・・ ナイフがザクッ、ザクッ!と最初から驚かせます。そして、ニール・ヘフティ作曲のテーマソング👈に乗ってタイトルが始まります。♪♫ この曲もいいですよ。♪♫  YouTube(TV, バットマンのテーマソングの作曲者です。)
砦の29人 0002
 【本編以外の主な作品】  この映画、まだご覧になっていない方のために内容には触れません。(下線は予告編等にリンク) 
  ラルフ・ネルソン監督 「ソルジャー・ブルー」「まごころを君に」「誇り高き戦場」「雨の中の兵隊」「野のユリ」
  ジェームズ・ガーナー 「きみに読む物語」「スペース・カウボーイ」「マーヴェリック」「ビクター/ビクトリア
             「夕陽に立つ保安官」「墓石と決闘」「グラン・プリ」「大脱走」「噂の二人
  シドニー・ポワチエ  「ジャッカル」「夜の大走査線」「いつも心に太陽を」「招かれざる客」「野のユリ」「暴力教室」
  
デニス・ウィーヴァー 「TV:ガンスモーク(チェスター役)」「TV:警部マクロード」「激突
  ビル・トラヴァース  「野生のエルザ」「野生のポリー」
  ビビ・アンデショーン(・・アンデルセン) 「エアポート’80」「民衆の敵」「仮面ペルソナ」「野いちご」
  

【上映は指定アパーチュアで! アスペクト比は重要!】

『砦の29人』の上映は縦横比を1:1.66(昔、スタンダードサイズと言えば1:1.33=3:4でした。)と、明確に指定しています。しかし、その講堂での上映はスタンダードサイズだったのです。上映時、映写機にマスクをセットしていれば問題はなかったのですが、後に上下をカットすることを前提に、スタンダードサイズ(スティルカメラで言えばハーフサイズ)で撮影されたアスペクト比でそのままプリントし配給・・・・しかも、映写技師が指定を守らなかったため、映画が佳境に入る頃に、何と会話する役者の頭上の青空に銀色のマイクロホンがしっかりと映ってしまっていたのです。西部劇ですよ! これって、第2次世界大戦、例えば、コンバットのサンダーズ軍曹がスマホを使っているようなものです。いや、それは時代考証のミス。サンダース軍曹の後方上空に、上映時にはマスクされるべきステルス戦闘機が飛んでいるようなものです。
今回のお話とは根本的に問題点は異なりますが、西部劇の背景に飛行機雲が映っていた、という話を聞いたことがあります。せっかくの作品もこれでは台無しです。 勿論、デジタル主流の現代なら不要なものは簡単に消せますから、日本の時代劇でも苦労した電柱を樹木で隠すなんて・・・ロケハンの苦労がうそのようですね。とにかく、この講堂で「砦の29人」を初めて見た人・・・本当にお気の毒でした。どうぞ、DVDで完全版を。
こんなことに出くわしたこともあって、その後はより詳細な映画技術や上映技術を勉強するようになったのです。でも、その方面の仕事に就く予定はありませんでした。趣味の世界にいる方が楽しいからでしょうね。それに、現在は劇場映画の製作も映写もデジタルの時代、当時のハード面での知識など・・・もう不要でしょうね。

映画についての今回の雑談・・・映画好きの私でなくても、上映サイドのプロやセミプロのそんな失敗、監督や俳優の気持ちを思うと文句も言いたくなりますよね。では、次回も映画や音楽について、気ままにお話しさせて頂きますので、是非お付き合い下さい。ボルゾイのレオン、登場しますよ。
どうもご来訪頂きまして有難うございました。

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ご来訪、有難うございます。

さて、私の目指した音づくり その④です。
ここでは、愛機Altec A7の明るく力強い鳴り方や能率の高さによるメリット、あるいはその特徴ゆえのデメリットなどを知り、試行錯誤しながら、これを活かしたり、時には抑え込んだり・・・『自分にとって良い音』『心地よいと感じる音』づくりに向かって、どんな苦労をして来たか等をお話しします。
でも、これは私の機器に限ったお話しですから、皆さんも愛用のオーディオ機器から『自分にとっての良い音づくり』に挑戦してみてください。皆さんの装置の今までとは違った魅力に気付いたり、新しい音を引き出せるかも知れません。
 
その前に、初代ボルゾイの愛犬アーサー、当時の写真をもうひとセットお見せしますね。
以前、触れた2軒目?のアーサーハウスからどうぞ。 
アーサーハウス ~
自分にとって良い音』・・・心地よいと感じる音づくりの前に、まずはオーディオ機器の性格を知る必要があります。  ここではスピーカーを対象にしたお話しがメインとなりますが、 再生音は各機器の能力結集の結果ですから、当然ながら他の機器にも触れることになります。
なお、敢えて(スピーカーの)性格と言ったのは、スペックの数値では表せない音の全体像を含めたニュアンスとご理解下さい。

アルテックの資料(A7-500-8の導入数年後、オーディオショップに並べられていたパンフからの抜粋。)
※●Altec Lansing catalog H1500
【Altec A7-500-8の特徴】
軽くて丈夫なコーン紙を使うことで高能率を実現している。 
森本氏をはじめ吉田氏やウレダ氏といった音響専門家からそのメリットを聞いていますがここでは私が説明しやすいような例を挙げてお話しします。
アンプのボリュームは同じ位置なのに、高能率のスピーカーでは音量が大きくなります。
それだけスピーカーがアンプの電気信号を音に変換する能力が高いということです。一般的なスピーカーの能率が90dB(デシベル)程度とすると、100dB超のA7は10dBも能率が高い訳です。3dBで2倍、6dBで4倍・・・10dBでは10倍の差となります。これは、アンプの出力が10分の1になっても、同じ音量で音楽が聴けることを意味します。アンプの出力 ・・・100Wが10Wで済む・・・省エネにもなりますね。
  ( 3dBの差は音圧・電圧では1.41倍、音響パワー・電力では2倍の差となります。)
また、 コーン紙が軽いということは電気信号が入って来た時の立ち上がり動作が素早く、電気信号が止めば動作もすぐに止まれます。こんな特徴があると、その音をスピード感がある明快で締まった音などと表現・・・でもこの形容って、私たちには何とも分かりくい言い回しですね。
では、 車を例に言い換えてみます。(私、見かけによらず大の車好きですから・・・。)

アクセルを踏んだ途端に、シートに押し付けられるような鋭い出足や加速・・・ブレーキを踏めばたちどころに止まる・・・ハンドル操作も無駄な遊びがなく切れが良い・・・なんて言えば分かりやすいかも・・・。そのためには、車が常に路面をしっかり捉えていることが必要ですから、いつも私はタイヤの状態に注意して来ました。(スピーカーで言えば、適切でしっかりした設置!)
『ちょっと待って! そんな車、かえって危なっかしくて街乗りなんか出来ないよ!』という反論がありますね。街乗りでは、ゆったりしたセダンに比べると『足回りは固くて乗り心地なんて最悪! そんなレーシングカーみたいな車、とても乗れたもんじゃないですよ!』というご意見。 あれ?そんな感じの反論・・・前にも聞いたような記憶が・・・。
そうですね。前回『私の目指した音づくり その③で登場したPA (SR) への反応です。

ある意味では、そのアドバイスは当たっているでしょう。でも、これらの特徴を出来るだけ活かしたスポーツクーペで、それをうまく制御出来たら・・・ どうでしょうか?  私 ・・・ 実際にこんな感じのクーペに乗っていました。実に魅力満載のスポーツカーでした。オーディオで言えば、周辺機器とスピーカーの使いこなし次第!ということですね。
余談ですが、運転者をドライバー、そしてスピーカーの音源となる部分もドライバー(ホーン・ドライバー)と言います。また、ドライバーには指定、あるいはドライバーの性能を活かせるホーンを取り付ける必要があります。 その写真は、このブログ『音楽再生への意識の変化』のスピーカー画像右端にあります。

同じように、Altec、JBL、EV(エレクロボイス)等のSR機器、うまく使いこなせるならば、そのサウンドは大変魅力的なものになると思います。
あの巨大なA7も、Altecの劇場用スピーカー群の中では小型のシステムでした。そのためA7A5は、オーディオマニアには勿論、オーディオ評論家の中にも愛用者がいたほどです。
ホーン型スピーカーの魅力に触れる選択肢があってもいいのではないでしょうか。
Altec A4 & A7 - The Vooice of The Theatre
★Altec A7シリーズ全般・・・ダイナミックレンジが広い楽曲の再生が得意
CD等のデジタル音源の再生に限ったことではありませんが、消え入るような小さな音から聴力が耐えられない程大きな音まで、アンプへの負担も少なく再生する能力があります。
ちなみに、アンプからA7に1Wを入力し、1mの距離で聞こえる音圧の100dB(デシベル)とは、どれくらいの音量でしょうか。多くの資料には『ガード下で聞く電車の通過音』が例として載っています。 そのため、A7を一般家庭の音楽鑑賞に使う場合、80Wとか100Wという出力のアンプは必要なく、10W×2(ステレオ)もあれば、十分にダイナミックレンジの広さが味わえます。A7にとってのアンプは量より質ですね。
そして、これらの能力によって再生音に独特の魅力が加わる結果になったのでしょう。
では、デメリットはどういう点なのでしょうか。

充実した中音域の再生を優先した結果、40Hz以下の重低音や10kHz以上の高音域の再生に弱点が出て来てしまった。
これはAltecに限らず、2Wayのスピーカーが多いSR機器の主な使用目的から、当然帰着する弱点かと思います。音を吸収しやすい大勢の聴衆に向かって、幅広く、かつ遠くまで明瞭で締まりのある大音響を飛ばすことが、最優先の役割ですから、これは止むを得ません。
一方、家庭での再生にそんな能力は要らない代わり、間近で小音量で聴いても低域から高域まで、時には迫力があり、時には繊細さのある音を要求します。低音再生には重いコーン紙を使えば有利になりますが、重いものを動かすためには大きな力・・・大きな出力のアンプが必要となります。ひと度動き始めるとこれを止めるためにも力が要ります。高音部については、何十メートルも音を飛ばす必要がないことから、いろんなタイプのユニットから音質の相性が良いものを選択することも出来るでしょう。おっと、脱線してますね。このあたりのお話しは、A7から離れますので、機会があれば触れるとして、ひとまず切り上げます。

音が荒い、・・・言い方を変えると繊細さに欠ける、といった印象を持たれやすい。
長期間、A7の音に向き合って来た私は、その原因のひとつを次のように考えています。
・特に繊細さを感じさせるバイオリン等の弦楽器管楽器の伸びやかな高音部の艶やかさの『基音』が集中する周波数帯(主に300Hz~3000Hzが含まれる中高域)が伸びやかな設計になっているのかも・・・。 この帯域に人の聴覚が最も敏感に反応することから、そういう音作りをすれば、劇場やホール等の広い空間でも音を遠くまで明瞭に届けることが有利なのでしょう。しかし、このことが家庭での再生では、刺激的・・・うるさい・・・繊細さに欠ける・・・歪っぽく聞こえると言った印象を与えているのかも知れませんね。さらに、強調気味のこの基音倍音が何重にも重なって楽器独特の音色を作り出すため、場合によってはこの印象が一層強調されてしまうのではないかと推測します。
(よくも、ここまでボロクソにけなす言葉を並べ立てたものだって? これって私が言っているのではありませんよ。そんなことを言う人がいるので、列記しただけですから。)
でも、基音と倍音を心地よいバランスで調和させれば『和音(ハーモニー)』・・・これは大歓迎ですね。いろんな楽器の基音周波数の分布は、少し下の図表にあります。

【音楽を聴く環境・・・オーディオルームの状態】
さて、次はオーディオ室の様子です。 転勤前の過去のオーディオ室(『私が影響を受けた音楽と音響の専門家たちに掲載したモノクロ写真)ではなく、現在のオーディオルームのお話しとなります。

広さは、6m×4mの24㎡に作られた石膏ボード内張りを2重(約25mm厚)にした部屋の中に、さらに吸音材と遮音シートを挟んで石膏ボード下地に吸音性のある専用ボードを張った壁面としました。しかし、内装用にビニール系のクロスを張ったので、高域の吸音性はなくなったかと思いますが、低音の吸音については、壁面の弾性がいくらか有効に作用しているでは・・・と考えています。検証は出来ませんが。

天井は、壁と同じ構造ですが、仕上げ材は装飾模様の凹凸があり吸音性を残しています。 は鉄筋のメッシュで補強したベタ打ちコンクリートに水平をしっかり取った大引き(柱を倒して横に並べた感じです。専門用語の大引き・・・ご存じの方への説明は不要ですね。)を50cmごとに置き、耐水ボード下地に寄木合板張りで厚さ3cm超・・・重量のあるピアノやエレクトーンは勿論、オーディオ機器の重量にも全くたわむこともなく頑丈です。
なお、部屋の中に部屋を設置・・・そのため、若干部屋が狭くなっています。天井も同様の理由から、実質高は2m60cmまで低くなってしまいました。

二重サッシです。流行りのペアガラスではありませんが、2列のサッシ(外側・内側共しっかり施錠できるタイトな仕様)枠と内壁は勿論、部屋のコーナーや下地ジョイント部の(二重のボードはそれぞれジョイントをずらして張ってあります。)すべてに遮音テープを張ったりして気密性を一層高めています。

室内ドアも二重とし、部屋側は遮音効果の分かるメーカー製の防音ドア、外側は重量のある特注ドアで必要に応じて両方閉めます。普段は室内側だけ閉めることが多いです。 また、設計の際に遮音の次に気になっていた反響(余分な残響)については、建材と丁寧な施工のお陰で問題もなく、杞憂におわりました。(とんでもない施主に当たったのが問題!だったかも知れませんが、その後の施工能力への評判!・・・元が引けたかも。)
そして、新たな環境で『自分にとって心地よいと感じられる音』への道に、再び踏み入れることになるのです。
●基本周波数 frequency spectrum - Genx Beats & Audio room 02
※①アンプのトーンコントロール操作で変化する周波数の一例です。これで変化の範囲をイメージとして掴んで下さい。
②いろんな楽器の出せる音程 (基音)をピアノと比べて下さい。 これに倍音が幾重にも重なり、楽器独特の音色となります。
③見えない音源から流れ出る音楽をここで初めて聴いた人・・・豊かな低音の響きやボーカルでの息づかい、チェンバロや
弦楽器の繊細で伸びやかな響き(ちょっと手前みそかな?)とレースのカーテンの様子から、大きめのスピーカーだと感じた
訪問者、『いい音だ』と言って下さっても、A7のようなSR機器だなんて、 全く当てられませんでした。オーディオ機器への
 思い込みや先入観の排除 ・・・ちょっと意地悪なブラインドテストの威力!予想通りでした。あっ!答えを言っちゃった。
④オーディオルームへようこそ! ドアを2枚閉めると・・・そこは別世界!・・・いいえ、そこには思いもよらない静寂地獄
 が待っていた!・・・ミステリー小説? 恐怖の始まり・・・この続きは次号ですよ。右端はおまけです。壁断面!(^.^)
 

こういった特性の‟Altec A7-500-8”の音質を、プリアンプのトーンコントロールで調整することは困難、というより不可能なことやA7専用のネットワークのアッテネーターでは、こんな調整が出来ないことも分かっていました。
一般的なトーンコントロールは、ターンオーバー周波数(低音や高音の音量が増減し始める周波数)を1kHzに設定していることが多く、A7の強烈な1kHzから3kHzを下げつつ、倍音の多い4kHz以上を増加させ、10kHz以上増強させずにそのままを維持・・・なんてことは出来ません。高域を下げると、高音に行くほど音量がさらに減少することになるのです。低音も同じで、80Hz以下をブーストしようとすれば、もう十分な100Hzから500Hzが盛り上がり、せっかくの締まった低音も台無です。
これをグラフィック・イコライザーで調整しようとしたこと、勿論ありました。A7の特性の調整・・・例え測定器を使ったとしても、おそらくは無理だったでしょうね。 雰囲気を変えることは出来ましたが、やはり何かが変! アルテックの良さだった魅力的な音の飛び方が感じられません。しかも、原音は基本的にはステレオのため、左右の音質をはじめ、音量のバランスなど、最適なリスニングポジションはそんなに広くありません。まして理想的な位置・・・スウィートスポットはたった1点かも知れません。座る場所や顔の向きで音が変わる・・・こんなのやってられませんね。   結局、このグライコは周波数による音の特徴を勉強する道具になっていました。

その後、dbx社のダイナミック・レンジ・エクスパンダーを使って、LPレコードやテープの音にメリハリを付けたり、A7の持ち味を活かす工夫をして来たことから、A7の魅力も出始めました。エクスパンダーの機能・・・簡単に説明すると、音楽や映画の音量レベルのあるポイントを境に、これより大きな音はより大きく、これより小さな音はより小さくする機能があり、そのポイントは任意に、また音の増減も0から50%増まで任意に設定出来るという装置です。コンプレッサーの逆作用をします。 そして、A7での繊細さの表現・・・繊細な音は小さくて当然、パーカッション等の迫力ある音は大きくても不思議はない・・・こう言った聴覚の錯覚や日常経験する常識での脳の働きをベースにこれを活用しました。 今は、CDをはじめとしたデジタルの時代!元よりノイズは少なく、ダイナミックレンジも広い・・・もう、こう言う装置は要らなくなりましたが。
そして、こういった経験や音響のプロから学んだことをヒントに、新しいオーディオルームでの挑戦が始まりました。
今回、最後に『自分にとって良い音』への対策の方向性まで触れ、具体的な作業等については次回お話しします。
『あ~あ、A7を隠すレースのカーテンの秘密・・・早く話してよ!』って?(オッ!まだバレていないようだ!) ハイ!分かってますよ。でも、どうぞ次回までお待ち下さい。

【基本的な作戦】・・・高音域はJBL 2405Hを選択 
A7の良い部分は残そう そして、弱い?と言われる高域、特に繊細さを感じさせる8kHz以上を直すためとは言え、A7の魅力をなくしたのでは、本末転倒! 
そこで選択したのが、ここから上の周波数帯域を別のスピーカー(トゥイーター)で補うという方法です。(A7はハイカットしないありのままで(^^♪)鳴らします。双方の干渉での影響は?・・・ないと言ってもいいでしょうね。聴感ではむしろ良い印象です。)

一方、締まりがあり過ぎて、低音?が出ないという指摘・・・・でも、じっくり聴けば実に朗々と鳴り、音量を上げても絶対崩れない良い低音を持っているのですが・・・。これ以上グラっと来る低音?・・・これは必ずしも要らないのに・・・。そこで試したのが、部屋の壁を利用して低音を極力自然に、しかも確実に増強しよういう作戦です。
幸いこの部屋の中の部屋・・・壁の内側には吸音材がたっぷり詰まっており、しかもこの壁は建物構造にベッタリ緊結せずに幾分独立性を持たせてあります。低音域の振動を壁が受け止め熱に変える・・・つまり低域の吸音、普通の部屋とはちょっと違う作りにしました。
A7の低域の特徴を壁の影響で余り失いたくないということでの設計です。 2度目のオーディオルームですからね。 そのため、壁に何かを取り付けるとか、ビスを打つことは表面の吸音壁の材質から出来ません。付けるとしても掛け時計程度です。これに代わるものが、現代の住宅からほとんど消えた廻縁(まわりぶち)です。 木製で下向きの加重にはかなり強く、これが脱落することはまずないでしょう。木が割れたりする程の重量・・・これは試したことはありませんが、必要に応じてワイヤーやチェーンで吸音材、反射板、絵画、大抵のものを吊ることが出来ると思います。勿論、そのメリットは天井と壁の隙間を遮音シートの使用と相まって気密性(遮音効果)を高めることにもあります。

さて、次回はこういった作戦、結構うまくまとまった様子などを、視覚・聴覚・・・錯覚・奇策?何でも試そう。気に入った音と音場を創造するために! どうぞお楽しみに。
最後まで、どうも有難うございました。お疲れさまでした。
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お訪ね頂きまして有難うございます。
では、前回の続き『私の目指した音づくり その③』をお話しさせて頂きます。
愛犬家の皆さんにはずいぶんお待たせしていましたので、前回で小さな頃のレオンの様子を掲載しました。
そして、今回は1歳くらいを中心に昨年の1枚をアップしますので、オーディオのお話しをもう少しさせて頂きます。また、 本文の割に写真が少なく、 がっかりなんて方もお見えかも。 でも、追い付きで途中途中にいろいろな写真の追加を考えています。
1 - 1歳過ぎの写真~現在
   1歳頃のレオン。その右はひょうきん者のレオン・・・兄貴分のアーサーが時々間違えられた牛君たちにもご挨拶! 仲良しのワンちゃんの肩?に手を置いてのお話し・・・何を言っているのな?・・・残念ながら分かりませんね。
右端1枚は7歳・・・ご機嫌の表情! ポーズ!(画面のクリックで拡大して見れますよ。)
 

音の拡散と音場   = "Sound diffusion" and "Sound field" =
前回、部屋に置かれたスピーカーから出た音は、多かれ少なかれ部屋の影響を受けることについてお話ししました。また、音源から出た音は周囲に拡散すること、高音より低音の方がより拡散する性質があることもお話ししました。 仮に音の水平の広がりを上から眺めたとすると、その指向特性は扇子をある角度で広げた時の形としてイメージできます。そして、開いたその扇を垂直方向(上下への広がり)の指向性の角度で扇いだ時、その動きの範囲の空間が、音楽をしっかり聴ける音場とイメージできます。勿論、相手は空気中を伝わる音!
厳密に制御するなんてことは不可能ですね。スピーカーの指向性は、左右方向だけではなく、上下方向にもある・・・これを知ることもスピーカーの設置の際には重要なことです。
  

低音から高音までバランスよく均等に周囲に拡散できるスピーカーでは、音楽を聴く位置が変わっても、音質や音量の変化をあまり感じさせません。・・・・これを指向性が広いとか指向特性が良い(この場合の『良い』とは、聞ける範囲が広くなるのは聞き手にとって都合が『良い』という意味か・・・)などと言っていました。
さらには、指向性が全くない無指向性スピーカーもあります。  これなら部屋のどこにでも置けそうですが、壁ぎわに置いたり、壁にあまり近づけ過ぎるとその特性が活かせません。逆に指向性が鋭いスピーカーでは、聴く位置が限られてしまうことになります。
 
もっと分かりやすく説明するため、これを光に例えてみるのもいいかも知れませんね。
同じ乾電池と豆電球を使い、一方は裸電球のままでもう一方は懐中電灯として点灯します。
8畳や10畳の部屋の端で点灯した場合、おそらく裸の豆電球では部屋を明るくすることは困難です。しかし、懐中電灯として灯せば部屋の反対側まで光は届き、小さな探し物も見つかるでしょう。一方、懐中電灯が狙った方向以外では、ほとんど光が届かないことが問題になることもあるでしょうね。
 
では、この例を音に戻しますね。
*指向性の低いスピーカーでは音が拡散することで広い音場ができ、部屋の影響を受けながらも音楽を聞けるエリアが広がります。その代わり音を遠くまで届かせるのは苦手かも。
 また、届いた場合でも音の明瞭さや力強さを維持するのは難しくなるでしょう。せっかくのジャズトリオの演奏、オブラートに包まれてしまいそうですね。
*指向性の強いスピーカーでは聞けるエリアが狭くなる代わりに、多少距離が遠くなってもジャズトリオの演奏があたかも目の前のライブのように感じられるかも知れませんね。
 
おっと!これらは私の感じ方ですから、指向性の少ないスピーカーも、天井・壁・床などの影響を上手に活かす工夫次第では、大編成のクラシックでも繊細さ・力強さ、さらに音場の広がりも十分楽しむことができる筈ですよ。 かなり以前になりますが、Pioneer製の中域と高域にドーム型ユニットを装着したCS-10は、こんな表現がぴったりの良いスピーカーでしたね。(大きさ・・・床置きには小さ過ぎる、棚置きには大き過ぎる・・・結果メインの座はCS-100(以前、写真で登場)となりました。悔しかったでしょうね。CS-10は)
指向性について +++
【指向特性のいろいろ・・・知っておきたい長所と短所】  = Directivity of sound =
こんなことから、劇場やホールで使用されるスピーカーの音が気に入っていた私は、音の飛ぶ方向を一定の範囲に定めた・・・定指向性のスピーカーに注目したという訳です。これはプロ用がほとんどで中高域がホーン型となっており、昔は大抵大型でかつ高額でした。
ところが、オーディオショップなどで、そんなのが欲しいなんて言おうものなら多くの場合は否定的な答えが返って来ました。今でもそうかも知れません。使いこなしが大変難しく、後々まで手が掛かって販売担当者としてはたまったものじゃないし、将来クレームになっても困る・・・時として、そんなプロ用機器の音を聴いたこともないと思われる店員さんから『あれはPA(SRという表現は後年登場)、あんなので音楽は聴けたものじゃないです。何たってPAPA』と言われるのがおちです。 (さすがに、プロ用機器も扱っているショップの担当者には、そんな言い方をする人・・・いませんでしたが。)
 
※ご存知の方、この部分は読み飛ばし可ですよ!)  
PAとはPublic Address≫身近なところでは運動会で先生が使う拡声器(メガホン)や駅のアナウンスの拡声装置など。また、PAの仲間でも、コンサートホールや劇場で活躍するSR≪Sound Reinforcementと、 前記のPA、 私はこれらの言葉を明確に分けて使っています 
とは言え、例に挙げたPA機器などについて、諸性能が劣っているような誤解を与えないためにも少々補足します。
PA用の機器の中には、特殊な用途のために開発されたり、改良されたりしたものも多く、皆さんの生活にすっかりお馴染みのものや軽量小型で音楽再生に使えるものも当然あります。
 
それでは、自慢げにPAの優れた一面を紹介します。(SRを褒めちぎった反省?)
*片手で操作できる軽量メガホン、ハンズフリーも!・・・アウトドアの催事や災害時での使用にも耐える堅牢で防水性能があるもの等々、運動会などでは声をからす先生たち・・・確実に減りますよ。
*駅のホームで能力を発揮するPA機器・・・当たり前のように『次の電車は・・・』なんてアナウンスを聞いていますが、台風などの暴風雨でも氷点下の寒風の中でも、本日体調不良のため機器はお休み、なんてことあります? どんなに優秀なオーディオ機器でも水をぶっかければ終わりなのに・・・。
もう少し真面目に言えば、外部の劣悪な環境に負けないのは当然で、その上で本来の大切な役割を果たしている優れものなんです。 
 

【指向特性・・・積極的な活用】    = Practical use of "Directivity of Sound" =
では、駅のホームにいる自分を思い浮かべてください。あなたはホームで◎◎行の電車を待っています。そこへ、それほど離れていない反対側ホームに◇◇行の電車が入ってきます。この時のアナウンス、ちょっと耳を傾ければ間違った電車に乗ることはありませんね。わずかな距離なのに反対側のアナウンスは遠くから聞え、乗ろうとするホームのアナウンスはうるさいほど近くに聞こえます。 これなどは指向性のあるスピーカーをうまく利用した例ですね。でも、間違って反対側のホームに行ってしまった人には聞こえないのでは?それは残念ですね!・・・いいえ!間違った電車に乗ろうとしても『この電車は◇◇行の・・・』なんてアナウンスが間近に聞こえる筈ですね。ひと電車遅れるかも知れませんが、目的地には確実に着けるでしょう。指向性が強いから使える技ですね。
勿論、双方の音声が干渉しないくらい離れていれば、逆に無指向性のスピーカーが向くかも知れませんね。
*展示会などのブースでの客盗り合戦・・・これも各ブースのPA、気配り上手です。目の前のお客様への説明はしっかりと、隣のブースには聞こえにくい・・・これなどもお互い節度を保って成り立つ指向性利用の例です。
まだまだ、いろんな活用法はありますが、私がお話ししたいのは、広義のPA機器にはそれぞれの長所短所があり、これを適材適所に使うことが重要で、土俵の異なるこれらの特徴に優劣をつけても意味がないということです。
 

【映画館の音響・・・正にプロの現場!】    = Acoustic of Movie Theatre =
話を戻しましょう。SR機器についての知識がないことから来る『PA機器の音響は音楽向きじゃない』といった先入観や偏見・・・これでは音楽鑑賞の楽しみの選択肢を奪うことにもなりますね。でなければ、ミュージカル映画や歌手の伝記映画等での音楽や歌声・・・・映画館では、聞くに堪えないということになります。
サウンド・オブ・ミュージックウエスト・サイド・ストーリー王様と私マイ・フェア・レディ巴里のアメリカ人サタデー・ナイト・フィーバー美女と野獣最近では、アナと雪の女王・・・どのサウンドも聞くに堪えなかったのでしょうか。 おそらく、どの作品も映像・音響とも素晴らしかったのでは?・・・。
  (上のリンクは参考です。DVD・・・可能なら映画館でご覧下さいね。)
古くは、映画の始まる前に、時としてどん帳が降りたままで聞こえてくる『序曲』・・・・ベン・ハーアラビアのロレンスドクトル・ジバゴ ・・・等々。幕が上がって映画が始まるとタイトルバックで聞こえるメインテーマ曲 ・・・ 今ではエンドクレジットでも延々と流れていますね。
ミュージカル映画
また、戦争映画の戦闘シーンでの強烈な爆発音や銃撃戦は勿論、航空機の爆音・・・西部劇での銃声、ドラマでのささやきや叫び声・・・みんな同じスピーカーからの音です。映画館やコンサートホールで活躍する音響機器に不得意な分野は許されません。どんな音でも引き受ける劇場スピーカー等の音響機器、これを実現し、支えているのがプロの音響技術者の皆さんです。 そして、自宅A-7の再生音への期待が間違いではなかったと確信させたのも、音響の専門家たちとの出会いだったのです。
そして、もう一つ・・・長年オーディオを趣味として来たベテラン(高齢者なのは当然ですが。)が使うスピーカーにホーン型が多いように感じるのですが、いかがでしょうか。音楽鑑賞を通して分かったホーン型スピーカーの能率の高さや伸びやかな鳴り方などの特徴が、オーディオ趣味のベテランを惹きつけているのかも知れませんね。 
≪ちなみに Altec A7-500-の数字が意味するのは、A7の低音部(ウーファー)と高音部(中高音ホーンドライバー)のクロスオーバー周波数[低音・高音の各スピーカーユニットが受け持つ周波数帯の境い目]が500Hz、インピーダンスが8Ωということです。≫
 
しかし、こんな話を聞いたからと言って、長年にわたって染みついた彼らの先入観や偏見がすぐにも払拭でき、広義のPA技術の進歩やSRの実力を受け入れられるものなのか? なかなか難しいでしょうね。何故?・・・これは、その魅力を自らが引き出せた時、初めて感じられるもの、満足感なんですから。そして、それでこそ自分にとって心地よい音』になると思うからです。ですから、これを人に分かってもらおうとか、押し付けることでもないでしょうね。厳しいプロの現場ではなく、所詮趣味のお話しですから。でも、言ってしまう。
映画館の音 Altec_VOTT, JBL, EV
  ※【参考】スクリーンの裏側では映画を支えるスピーカーが頑張っています。Altec、 EV、 JBL 等のSR機器です。 
 
余談ですが、 映画館での私、 場内の明かりがつくまで席を立ったことはありません。 そこまでが映画と思っているからです。 また、 映画技術についてもサウンドシステムと同様、 大変興味を持っており、半世紀も前の中学高学年くらいから難解な映画技術の専門書を読みあさっていたほどです。現在ならNETで分かるような内容ですが、当時の私にとっては非常に興味をそそるものでした。 そういう意味からも、昔はほとんど表示されなかったエンドクレジットは、正にその映画の製作に関わる情報の宝庫!なんて思っています。
   (ちなみに昔々読みふけっていた専門誌の一部の写真です。その号はこちらをどうぞ。
※現在にかなり近いの機器 コメント付き
次回、私の目指した音づくり その④では、音楽の再生に当たっての苦労や工夫・・・どんなふうに聴覚の錯覚を利用したか、等々・・・いろんな奇策を含めて今日に至った様子もお話ししたいと思っています。勿論、映画のことも。
※当初は、ここからのお話を先にして、その後にそれらの理由等に触れるつもりでしたが、私の音づくりには奇策?もいくつかあることから、趣味とは言え、一旦常識はずれの変人と思われると、そこで終了! ブログを通してのいろんな趣味仲間の輪まで進まなくなるのを心配しての判断です。これで多少は、分かりやすくするための前置きや仮説に時間を割くに至った訳をご理解を頂ければと思います。
 
あっ!そうそう、お気に入りのAltec A7・・・何故レースのカーテンで隠したのかにも触れますよ。 またのご来訪、お待ちしています。
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前回、私が影響を受けた音楽家や楽団、そして、私が出会った音響の専門家のお話しを始めました。 しかし、彼ら音響の専門家と出会う前に、私はすでに'Altec A7-500-8'との悪戦苦闘の日々を送っていたのです。このあたりはもう少し説明しておきたいと思います。

私がトランペットを始めた中学時代やオーディオ趣味に第一歩を踏み入れた大学時代、多くの住宅は遮音性(気密性の低さも一因)が低く、この面では音楽の再生に向いているとは言えませんでした。(当時のオーディオ室の写真は2016.12.14号に掲載しています。
必要かつ十分な音量が出せなければ、せっかくのステレオも実力は発揮できません。また、人の聴覚の特性は、音量を下げていくに従って高音域と低音域が聞こえにくくなります。 この高域と低域の補正がうまく出来なければ、俗に言うドンシャリ音になりかねません。
でも、これが『心地よい音』と思っている人には、それはそれでよしとし、他人がとやかく言うこともありませんが。

そんなことから、私がオーディオルームを備えたマイホームを建てた際の最優先事項は、『望ましい音量』を確保するための『遮音性能』でした。趣味が隣家や家族に迷惑を掛けることになれば、間違いなく彼らは私のオーディオ趣味に理解を示してくれないからです。
そして、完成したオーディオルームに、決断から2年以上の歳月をかけて手に入れた念願のA7が収まったのです。 この時期の映像が『オーディオ趣味・・・私が影響を受けた音楽と音響専門家たち』のモノクロ写真です。(2016年02月27日掲載)
では何故、A7にそれ程こだわったのでしょうか。
※今も現役SPたち
それは、学生時代の映画館の音響への興味から始まり、社会人の仲間入り、そしてかなり後になり名古屋でのポール・モーリアカーペンターズなどのコンサートで聴いたSRの音!で決まったと言えるでしょう。ポール・モーリアのコンサートでは客席の中央前方の一角に音響調整卓らしき機器が並び、音響監督?やオペレーターが付きっきりで作業をしているのを間近に見える席!しかも、オーケストラのメンバーの広がりに合わせた間隔で、舞台左右の客席寄りに2本1組で計4本・・・これは正しくA7 !  2,000人も収容できる会場でのA7の実力、勿論、演奏の方も素晴らしく、まだ若々しい頃のポール・モーリアさん、独特の指揮ぶりを含めて十分満喫しました。亡くなられてから、もう10年も経つのですね。
エーゲ海の真珠』をはじめ、私のエレクトーンのレパートリーの多くが彼の演奏のコピーだったことを思うと、とても残念です。

【Altec A7-500-8 と JBL  Paragon D44000WXA】
                    (本棚の古いオーディオファイルの中からこんなものを見つけました。)
※●Altec A7 and JBL Paragon H1400
さて、オーディオショップ等でそれまでも度々聴いていたA7、他のスピーカーとは明らかに鳴り方が違うと感じていました。ピアノやボーカル・・・的確には説明できませんが、生々しくて、とにかく素晴らしかったのです。 但し、店舗で聴かせてくれた曲の多くがジャズでした。そして、これがその後、我が家でA7と悪戦苦闘することにつながることになったのです。とは言え、今までじっくり聴き比べて選んできたスピーカー、ユニットのタイプには何らこだわりがなかったにも拘らず、写真のようにトゥイーターは全てホーン型ですね。

どうやら、ホーンの鳴り方が好きだったのでしょうね。学生の頃、映画館の音響・・・一体どんなスピーカーから鳴っているんだろうか、と素朴な興味がわきました。普通ならばここで終わるところ、よく行った映画館(ロードショー館でなく、三番館。昔はロードショーが700円位、その後は350円ほど? ・・・ 学生にはこれ位でないと度々行けません。学食の定食が100円台の頃です。)最終回の映画が終わって観客がいなくなるまで粘って、スクリーンの後ろや映写室を見せてもらえる程、劇場で働く人たちと親しくなりました。残念ながら、その映画館にAltecはありませんでしたが・・・。
  
別冊ステレオサウンド「ALTEC」(記事のクリックで拡大します)・・・ この出典は今となれば不明です。
別冊ステレオサウンド・ALTEC-02
Altec A7-500-8を取得した人のブログかと思いますが、2006年以前の投稿でもあり、もはや記事の掲載への許可が取れません。万一支障があるような場合は、是非連絡先を記載してご指摘下さい。A7-500-8で音楽を楽しんでいる私、内容に共感しています。 
 
【Altec "Voice of The Theatre" 】=brochure=
Voice of the theatre catalog 001
※こんな資料も出て来ました。40年以上も経つと変色等もひどかったのですが、上の通り何とか修正できました。(笑)  導入前にいろんなショップで、A7は勿論、A5もじっくり聴きました。大規模な映画館や劇場等を想定したA5は良くも悪くもとにかく強烈で、 とても私の手に負えるようには思えませんでした。それに比べ "A7" はむしろまろやかで繊細な印象だったのです。そして、その鳴り方は憧れの音そのものでした。参考までに掲載しました。

悪戦苦闘
A7は元々映画館用に作られたスピーカーで、小出力のアンプしかなかった時代、映画館の後方まで十分な音量でセリフや効果音・音楽が聞こえるように設計されたものです。しかも、スピーカーの前には丈夫なスクリーンが張ってあります。小さな穴が規則正しく空いているとはいえ、スクリーンを通して明瞭に音を伝えるのは大変なことです。周波数帯域については広帯域化より、必要な音声を明瞭に伝えるための中音域の充実を求めた訳です。
技術的なレベルは別として、その頃はそれでもよかったのでしょう。
その後、劇場用スピーカーは幾多の改良がなされ、A7も高域は20kHzまで再生が可能となりましたが、これをスクリーンのない家庭に持ち込んでも、かまぼこ型の周波数特性(ドンシャリの逆)を適正に補正しなくてはかん高いばかりで、とても聴けませんでした。
これが、悪戦苦闘の概要です。

そんな時に出会えたのがマーク・ウレダ氏だったのです。
講演とその後のお話しで、私が興味のあるところを抜き出してみます。というより、講演の主題である『Apparent Apex Theory』は私ごときに理解できる筈もないので・・・。
mantaray horn AB+
 ※写真の左は、その時マーク・ウレダ氏から頂いたサインです。

・アルテックのスピーカーは昔から軽いコーン紙能率の高さを優先してきた。(音楽再生 時に瞬発力があり、楽器のリアル感が失われにくい。)
高能率なスピーカーが、デジタルサウンドの広いダイナミックレンジの再生には不可欠。
・1940年代は映画館用の設計で周波数レンジも狭かったが、今では(お話しの当時)コンピュータの活用と素材や技術の進歩によって、使用目的に応じたスピーカーを作れるよう になった。
・アルテックにとってデジタルサウンド (CD・現在はネット配信の楽曲・映画館の音響等)は大歓迎のソース。
・必要な周波数帯域をバランスよく調整することで、どんなジャンルも十分再生できる。等々 ・・・・。そして、私との会話の最後に『私もA7を愛用しているよ。』と。
     (ウレダ氏は日本語を話しません。ついでながら。)
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その後、我が家のAltecの周波数帯域ワイド化に挑戦、A7の守備範囲には手を加えず、その良さを残しながら、JBL 2405H用に8kHz以上のハイパスフィルターを作り、これでカバーすることにしたのです。
勿論、氏がJBLに移られる(2010年)ことなど、私は予想だにしなかったが、我が家でのAltecとJBLのコラボ・・・・不思議な縁ですね。
また、重低音強化のためサブウーファーを設計、これも2年がかりで製作
これの駆動は  “dbx Dynamic Subharmonic Synthesizer” で超低域を抜き出し、専用のアンプで2本のスピーカーをパラレル接続で鳴らしていました。現在のように小型で高性能なものがあったなら、そんな苦労は不要だったのに・・・。
1本55kgのこのサブウーファー2本、その後20年近くA7の台を兼ねていたが、10年程前に私の音楽ソースのデジタル化の波に押され、A7の持ち味でもある張りのある締まった低域をパソコンで調整することも可能になり、廃棄となった。(※近い将来、この秘策を!)
いよいよ、我が趣味もデジタルサウンド時代への移行となりました。(※10/24をどうぞ)

【JBL 2405Hについて】 
JBL 2405H -01
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ところで、いかにスピーカーに特化したお話しとは言え、メインスピーカーの A7-500-8や元メインだったPioneer CS-100、CS-770以外のオーディオ機器はどうなっていたの?という質問、ありですね。アンプ等の機器、一部は前回の写真で登場していますが・・・使わないものはお払い箱。そうです! これも断捨離精神の餌食・・・😢  でも、これは次回までにできるだけ写真を探してみますの・・・。 愛犬レオンと愛車
  レオン君、登場はもう少し待ってね。 スポーツクーペRX-8』をバックにすまし顔のレオン。
  怪人二十面相ならぬ、愛犬二十面相 カメレオンレオン、近々登場! 乞うご期待!
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お訪ね頂きまして有難うございます。

さて、タイトルの内容に入る前に、少し雑談をさせてください。
音楽好きの皆さんに『いつもどんな曲を聴いていますか?』と尋ねると、案外素直に、J-Pop、Rock、映画音楽、イージーリスニング、演歌などと返事が返ってきますよね。尋ねる方も気楽です。
ところが、『オーディオ趣味』『オーディオマニア』だと思われる人に対して、同じことを尋ねる時は、どうも様子が違ってくるようです。例えば『オーディオが趣味で・・・』と私が言った途端に、少々敬遠気味に『やはりクラシックですか?』と先手を打たれることがほとんどです。また、オーディオに興味がある人にスピーカーはAltec A7・・・と言うと『ジャズを聴かれるんですね。』と・・・。

『いやあ・・・何でも聴きますよ。でも、強いて言えば演歌はあまり・・・』と私は答えていました。決して演歌が苦手という訳ではありません。オーディオルームでは比較的大きな音を出すことから、人生模様がしみじみと、あるいはストレートに伝わる曲(フォークソングなども該当しそうですね。)を大きな音で鳴らすのは少々気恥ずかしいからです。 
そのため、普段はイージーリスニングをはじめ映画音楽やシンフォニックなロック(?)、フルバンドのジャズ・・・そして、クラシックもダイナミックレンジの広さを体感しつつ、楽しんでいます。  その一方、ピアノソロや小編成のジャズも好きですが、ソロや小編成だったりしても、それなりの音量を求めてしまうので、隣室の室内犬?ボルゾイのレオン君をはじめ、家族には何かしら迷惑をかけているかと思っています。
  ※ピアノソロの「 スターウォーズを聴いてみましょうか。テクニックや迫力も十分! すごいですよ。
 演奏は・・・ 
Sonya Belousova ・・・途中、ダース・ベイダーを彷彿とさせる黒のレザー手袋をしての演奏!びっくり!

下の写真は、昔の自宅、春日井市高蔵寺のオーディオルームです。時代が判る白黒写真。
以前のオーディオルーム 01
 ※これは、30年以上も昔の自宅オーディオルームです。一応、遮音には気を使って設計した部屋です。
 二重のサッシやドア、そして換気扇も吸音ダクト。音響の専門書を参考に、極力室内から外への音漏れを減らしました。 

 30ago 02-2-2-2
     そして、転勤となり現在の自宅オーディオルームの様子は少し前の
                       
オーディオの道・・・苦労の始まりと終わり。でアップしています。
   こちらは遮音性能もぐっと向上していますので、夜間の使用でもほとんど問題はありません。
    広さ24㎡の部屋の中にもうひとつ部屋を作るコンセプトで自分が設計したものです。 


では、本題に入りましょう。
影響を受けた音楽・・・オールディズやTV等ののテーマソングについては、ジャケットで一例を挙げていますので、今回は作曲家、楽団名やその指揮者たちを参考までに列挙します。 興味がおありの方は、ネットで検索してみてくださいね。
まず最初はドイツのベルト・ケンプフェルト(Bert Kaempfert)、名前は知らなくても彼の作品、皆さんがよくご存じの曲がいくつもありますよ。高校時代、私がトランペットでよく吹いていた曲が彼のヒット曲の一つ『愛の誓い Till』です。また他の演奏でのベースギターの特徴的なリズムや音作りも気に入っています。
                        YouTube  :    https://www.youtube.com/watch?v=fbepQSb3heQ 
それでは、故人も多くなりますが、ランダムに名前を列記します。彼らやその楽団からどんな影響を受けてきたか、どんな曲がお気に入りか、想像してください。
なお、ビートルズ  (The Beatles) や カーペンターズをはじめロック、ジャズ、クラシック関係は今回は除きました。これは次の機会ということでご了承ください。
でも、お気に入りの “I just called to say I love you” (Stevie Wonder) 聴きましょう。

アーサー・フィードラージョン・バリージェリー・ゴールドスミスエルマー・バーンスタインエンニオ・モリコーネカラヴェリサン・プルージェームス・ラストジョン・ウィリアムズネルソン・リドルヘンリー・マンシーニパーシー・フェイスビリー・ヴォーンフランク・プールセルフランシス・レイポール・モーリアマントヴァーニラロ・シフリンリチャード・クレイダーマンレイモン・ルフェーブルモーリス・ジャールニニ・ロッソ・・・
ジャズ関係他多数・・・海外勢ばかり?・・・ ではありません・・・・冨田勲羽田健太郎来生たかお中島みゆき岡村孝子松任谷由実(荒井時代から)五輪真弓久石譲  ・・・
みんな素晴らしい人ばかりですね。(敬称略)

そして、私のオーディオ趣味に大きな影響を与えてくださった音響のプロの皆さんには大変感謝しています。
では、その中のお一人、Mr. Altecとの異名を持たれている森本雅記氏、日本、いや世界でもアルテックの機器ことでこの人に勝る人はいない程の人物です。勿論、アルテックに限らず、大変幅広く深くプロの音響技術に関する発表もされています。 Altec等、音響システム発展の歴史などについてお知りになりたい方、必見!
http://www.mnsv.co.jp/index.html 
Altecの歴史コーナーhttp://www.mnsv.co.jp/ALTEC/index.html

30年以上も前になりますが、何回か直接お会いしてお話しができたり、大ホールでの催事のためのSR機器セッティングや調整作業等の様子もしっかり勉強できたのは、正に私の財産です。
また、この頃、興味のあった高性能プロジェクターに関する勉強もさせてもらいました。
森本氏ご本人は勿論、氏の多くの音響関係資料がネットでご覧になれますので、是非お訪ねください。

また、森本氏や吉田氏からご連絡を頂いたお陰で、1983年夏にアルテック社のマーク・ウレダ(Mark Ureda)氏とお話しする機会が持てました。
それは、アルテックの劇場用新型スピーカーの紹介や試聴を含んだ講演会、そのサウンド・セミナーでの講師がマーク・ウレダ氏だったのです。
新型スピーカーシステムとは、3000シリーズのウーファーとマンタレーホーン500シリーズを装着した強力ドライバーでの2ウェイ数タイプです。かなり時が経ちますが、アルテック
のスピーカーに興味をお持ちの方なら『マンタレーホーン』をご存知かも知れませんね。
そして、アルテックの新たな音響理論に基づくボイス・オブ・シアター新シリーズに使われているこれらのユニットを開発したのが、当時アルテックの技術部長だったマーク・ウレダ氏その人で、セミナー終了後、うれしいことに氏とお話しする時間を取って頂けました。
03-Altec A6 System
でも、そのお話しは次回となります。
なお、ウレダ氏はアルテックを退社後、JBL Professionalの副社長、Northrop Grumman Corporationの企業戦略・技術担当副社長、そして、現在はHarman Internationalのプロ用のスピーカー部門を担う、副社長だとお聞きしています。
MBA 資格をお持ちの技術者、さすがですね。
【参考:Altec Woofer 3000 series,  8000 series system,  Altec Mantaray Horn】
●Altec 3000series & 8000series
上図右端のウーファー・ユニットとLFシステムの周波数特性を下に掲載します。
3000シリーズを使ったウーファーとマンタレーホーンでのシステムは、当時のウレダ氏のセミナーで聴きました。 正にAltec "Voice of The Theatre" の雰囲気を感じることが出来ました。(試聴した曲はフラッシュダンスのCD・・・ "What a Feeling" が印象的でした。)
また、その数年後、千人以上が入る会場(映画館ではありません。)での映画上映会のスクリーン後ろのスピーカーが何とAltec A6A! 舞台の袖やスクリーン裏を自由に動くことが許されていた私、スピーカーすぐ横4~5mほどの位置でこれを聴いたのです。とにかく、これほど強烈な大音量は経験したことがありませんでした。当然、家庭での使用が前提の私には、A5、あるいはA6Aのような強烈なドライバーは不要との判断は間違いではなかったと痛感した次第です。(勿論、客席の最後部でも明瞭な音が聞けることを確認しました。)
それでも、低音部分については、下図中央の"8182"や"8154"の導入を検討したこともありました。しかし巨大!・・・狭いオーディオ室への設置には、課題が多過ぎたようです。(^^;)
Altec Woofers  001+2+3
それでは、次回A7の音づくりについて、30年以上も前のお話しとは言うものの、Western Electricの流れをくむAltec(そして、兄弟JBL)、ウレダ氏のお話しやアドバイスなどのお話をしたいと思います。
参考までにJBLの資料も掲載します。 左端のトゥイーター"2405H"は導入しましたが、右端のサブウーファーB460・・・高額! さすがに導入はあきらめました。
中央のパラゴン・・・高嶺の花?・・・そうですね・・・正に高値の花!でした。(笑)
※JBL Paragpn 2405H B460 H1000
では、またお越し下さいね。
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